世界最大級のオンラインレース『ル・マン24時間バーチャル』は6月14日、ドライビングシミュレーターのrfactor2を使用し24時間に渡る長きレースのチェッカーを迎えた。レースは盤石の戦いをみせたルイス・デルトラス／ラファエル・マルチェッロ／クバ・ブレジンスキ／ニコデム・ウィズニュースキ組1号車レベリオン・ウイリアムズ・Eスポーツが優勝を飾った。
この『ル・マン24時間バーチャル』は、新型コロナウイルスの影響により開催が9月に延期されたル・マン24時間の、本来の開催日である6月13〜14日に行われたバーチャルレース。ドライビングシミュレーターのrfactor2が使用され、各チームは最低2名のプロドライバーと最大2名までのシミュレータードライバーで挑んだ。クラスは2カテゴリーに絞られ、LMP2を使用するLMPクラス、そしてLM-GTEクラスで争われた。
複数の現役F1ドライバーを含む200名のドライバーが世界各地からオンラインで参戦し、元NBAプレイヤーのトニー・パーカーのスタートフラッグを合図にスタートしたレースは、序盤からアクシデント含み。現地時間に合わせて少しずつ日没、ナイトランと設定されるなか、バーチャルレースらしいトラブルも起き、現役F1ドライバーのマックス・フェルスタッペンとランド・ノリスが乗り込んでいたチーム・レッドラインの20号車もリタイアを喫した。
さらに、サーバーのトラブルによる修復のために、レースは途中二度赤旗中断となった。そのたびにレースはセーフティカーランから再開されることになった。
そんなレースでリードを築いたのは、デルトラス／マルチェッロ／ブレジンスキ／ウィズニュースキ組1号車レベリオン・ウイリアムズ・Eスポーツ。シミュレーターでも速いリアルドライバーのデルトラス、マルチェッロの活躍もあり、レース途中から盤石のレース運びに。そのまま逃げ切り、優勝を飾った。
一方終盤に盛り上がりをみせたのは2番手争い。レース中盤に2番手を走っていたレベリオン・ウイリアムズ・Eスポーツの13号車と、ポールポジションからスタートしたが、直後にフライングのペナルティをとられていた04号車バイコレス・バーストEスポーツとのバトルとなる。
残り20分でこれを制した04号車バイコレス・バーストEスポーツのトム・ディルマン／エステバン・グエリエリ／ジェルネイ・シモンチェク／ジェスパー・ペーターゼン組が2位でフィニッシュ。13号車レベリオン・ウイリアムズ・Eスポーツのアグスティン・カナピノ／ジャック・エイトキン／マイケル・ロマニディス／マルク・ガスナー組が3位となった。
2台が参戦したTOYOTA GAZOO Racingは、序盤のクラッシュでタイムロスを喫したセバスチャン・ブエミ／ブレンドン・ハートレー／山下健太／ユーリ・カスドルプ組8号車が11位でフィニッシュ。マイク・コンウェイ／小林可夢偉／ホセ-マリア・ロペス／マキシム・ブリアン組7号車が序盤トップ争いを展開しながらも、14位でレースを終えた。
「今回、バーチャルですが本格的なレースに参戦して、こんなに疲れるのかと思いました。みんな本気で戦っているので負けると悔しいですね。でもこうして良い機会を作ってもらえたので、皆さんに感謝しています」と山下はレースを振り返った。
また可夢偉は「レースとしては非常に面白かったと思います。実際に戦っているようなレースでしたね。ただ僕たちは力不足だったので、その点は少し悔しいです。チームとして戦うことはできたので、9月（の現実のレース）に向けていい機会になったのではないでしょうか、チームに感謝しています」と語った。
LM-GTEはクラスポールポジションのニック・タンディ／アイハンカン・ギューベン／トミー・オストガート／ジョシュア・ロジャース組93号車ポルシェEスポーツ・チームがそのままレースを制圧。ポルシェが初めてル・マンを制して50年という節目の年を祝った。2位はニッキー・ティーム／リチャード・ウェストブルック／ラッセ・ソーレンセン／マヌエル・ビアンコリッラ組95号車アストンマーティン・レーシングが2位となった。
