ドイツを中心に争われている人気のGT3レースであるADAC GTマスターズが、7月31〜8月2日にラウジッツリンクで開催予定の開幕戦に向けて、プレエントリーリストを発表した。今季はベントレーが復帰し、ドイツメーカーを中心に8ブランドのGT3マシンと、トップクラスのドライバーによる競演が実現する。
ADAC GTマスターズは、ドイツの各サーキットを中心にオーストリア、オランダを舞台に争われているGT3カーのレース。ニュルブルクリンク24時間やスパ24時間にも挑戦するチームが主戦場としているのがこのシリーズだ。
現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大型イベントの開催規制を行っているドイツだが、「7ラウンド14戦を開催するうえで、ウイルス感染拡大防止のためのセキュリティ計画を確立した」とADACスポーツプレジデントのヘルマン・トムチックが述べるように、ドイツのVLNニュルブルクリンク耐久シリーズに代表されるような衛生・安全面を十分配慮し、独自のガイドラインを作成しており、当面は無観客レースとなるほか、チームやオフィシャル関係者の参加を最小限に減らすなどの対応策をとる。
2020年シーズンに向けてトムチックは「ADAC GTマスターズは、非常に興味深いドライバーラインアップを誇り、ヨーロッパで最強のGTレーシングシリーズのひとつとしての役割を担っている。過去数ヶ月に渡るコロナ禍の厳しい状況ではあるが、エントリーリストを見る限り、過去最高基準ともいえるレベルのドライバーやチームが集まった」と誇った。
「8メーカーのマシンに、25人以上のプロまたはファクトリードライバーのほか、才能あふれる若手育成ドライバー、そして有能なプライベートドライバーも多数乗り込むことを喜ばしく思う」
今季の参戦チームの内訳をみると、ドイツのみならず近隣のオーストリア、ベルギー、チェコの20チーム33台がエントリーをしている。車種別では、アウディR8 LMSが昨年に続き圧倒的な人気を誇り14台がエントリー。次いでメルセデスAMG GT3が6台、ポルシェ911 GT3 Rが4台、BMW M6 GT3が3台、ランボルギーニ・ウラカンGT3が3台参加する。フェラーリ488 GT3、ベントレー・コンチネンタルGT3、キャラウェイ・コルベットC7 GT3-Rがそれぞれ1台だ。
■国際色豊かなドライバーラインアップ
ドライバーの出身国籍も、欧州各国を中心にオーストラリア、南アフリカを含む13ヶ国と国籍色豊かなラインアップとなっている。また注目ドライバーも多い。クース・チーム75ベルンハルトから参戦するポルシェワークスドライバーのシモーナ・デ・シルベストロは、インディカーやザウバーのF1テストドライバー、フォーミュラEへの参戦、V8スーパーカーなど数多くのカテゴリーを経験した持ち主で、今季から本格的にGTマシンのキャリアを築くとともに、フォーミュラEではポルシェのテスト/開発ドライバーを務める。
また、昨年までBMWからDTMに参戦していたジョエル・エリクソンは、実兄で元GT2ドライバーのジミーがザクスピードのメルセデスAMG GT3をドライブするため“兄弟対決”が実現するなど、各ドライバーの経歴も興味深く、FIAドライバーカテゴライズのプラチナ所有者が11名も参戦するというハイレベルのドライバーラインアップで、例年以上の激しい戦いが予想される。
一方で、スーパーGT GT300クラスにAudi Team Hitotsuyamaからフル参戦を予定していたクリストファー・ミースだが、現在は新型コロナウイルスの影響で日本に渡航できずにいる。ADAC GTマスターズにも強豪ラント・モータースポーツからシリーズエントリーしているが、10月3〜4日の富士と11月7〜8日のツインリンクもてぎがADAC GTマスターズと重なっているほか、10月24〜25日の鈴鹿とスパ24時間がバッティングしている。
ミース自身の今季のスケジュールは、現在のところ日本の活動が優先とされているが、今後の渡航制限や欧州レースの日程によってミースが来日不可能となった場合は、スケジュール調整が行われるとのことだ。
今季は新型コロナウイルスの影響で国外レースを縮小し、ラウジッツリンクでの7月31日〜8月2日開催の開幕戦を皮切りに、ADAC GTマスターズはドイツ国内を中心に、オーストリアのレッドブルリンクやオランダのザントフールトを転戦し、7ラウンド14戦が行われる予定だ。すべてのレースはドイツのスポーツ無料放送のSport1で生放送されると同時に、オフィシャルライブストリーミングでも視聴が可能となっている。
ADAC GTマスターズ 2020年レースカレンダー
7月31日〜8月1日 ラウジッツリンク(ドイツ)
8月14日〜8月16日 ニュルブルクリンク(ドイツ)
9月18日〜9月20日 ホッケンハイムリンク(ドイツ)
10月2日〜10月4日 ザクセンリンク(ドイツ)
10月16日〜10月18日 レッドブルリンク(オーストリア)
10月30日〜11月1日 ザントフールト(オランダ)
11月6日〜11月8日 オッシャースレーベン(ドイツ)
ADAC GTマスターズ 2020年プレエントリーリスト
No | Team | Car | Driver |
---|---|---|---|
3 | アウスト・モータースポーツ | アウディR8 LMS | M.ハックランダー/N.ロジブィ |
4 | アウスト・モータースポーツ | アウディR8 LMS | H.フォン・ダンウィッツ/TBA |
7 | HBレーシング | フェラーリ488 GT3エボ | TBA/TBA |
8 | ルートロニック・レーシング | アウディR8 LMS | D.マルシャル/C.シュライナー |
9 | シューベルト・モータースポーツ | BMW M6 GT3 | A.リード/J.エリクソン |
10 | シューベルト・モータースポーツ | BMW M6 GT3 | J.スクォーグ/N.イェロリー/E.ヨハンソン |
11 | EFPカー・コレクション・バイ・ティース | アウディR8 LMS | E.エルハート/P.カッファー |
12 | EFPカー・コレクション・バイ・ティース | アウディR8 LMS | F.シュペングラー/M.ウィンケルホック |
14 | MRS GTレーシング | BMW M6 GT3 | M.ズーグ/J.クリングマン |
17 | クース・チーム75ベルンハルト | ポルシェ911 GT3 R | S.デ・シルベストロ/K.バハラー |
18 | クース・チーム75ベルンハルト | ポルシェ911 GT3 R | D.ヤーン/J.フィッツェ |
19 | GRTグラッサー・レーシングチーム | ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ | C.シュミット/N.ラグランジュ |
20 | チーム・ザクスピードBKKモービルオイル・レーシング | メルセデスAMG GT3エボ | D.ボコラッチ/TBA |
21 | チーム・ザクスピードBKKモービルオイル・レーシング | メルセデスAMG GT3エボ | D.ケイルウィッツ/J.エリクソン |
22 | トクスポーツWRT | メルセデスAMG GT3エボ | M.エンゲル/L.シュトルツ |
25 | BWTミュッケ・モータースポーツ | アウディR8 LMS | M.ベックフーゼン/I.ワリルコ |
26 | BWTミュッケ・モータースポーツ | アウディR8 LMS | S.ミュッケ/R.フェラー |
28 | モンタプラスト・バイ・ラント・モータースポーツ | アウディR8 LMS | M.ホファー/C.ハーゼ |
29 | モンタプラスト・バイ・ラント・モータースポーツ | アウディR8 LMS | K-L.シュラム/C.ミース |
30 | チームWRT | アウディR8 LMS | TBA/TBA |
31 | ルートロニック・レーシング | アウディR8 LMS | P.ニーダハウザー/K.ファン・デル・リンデ |
32 | チームWRT | アウディR8 LMS | TBA/TBA |
33 | チームISR | アウディR8 LMS | F.サラカルダ/F.スティップラー |
36 | シュルツ・モータースポーツ | メルセデスAMG GT3 | TBA/TBA |
47 | HTP-ウィンワード・モータースポーツ | メルセデスAMG GT3エボ | I.ドンヘ/M.ゲーツ |
48 | HTP-ウィンワード・モータースポーツ | メルセデスAMG GT3エボ | P.エリス/R.マルチェッロ |
63 | GRTグラッサー・レーシングチーム | ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ | F.ペレラ/A.コスタ |
71 | T3モータースポーツ | アウディR8 LMS | M.ポール/N.ランゲベルト |
72 | T3モータースポーツ | ベントレー・コンチネンタルGT3 | C.ショール/TBA |
77 | キャラウェイ・コンペティション | コルベットC7 GT3-R | J.シュミット/M.ポマー |
82 | GRTグラッサー・レーシングチーム | ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ | T.ジマーマン/S.ショトホルスト |
92 | SSRパフォーマンス | ポルシェ911 GT3 R | C.エンゲルハルト/M.アマーミューラー |
99 | プレコート・ヘルベルス・モータースポーツ | ポルシェ911 GT3 R | S.ミューラー/E.レナウアー |