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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2020.09.21 12:00
更新日: 2020.09.21 12:19

WEC:8号車がル・マン3連覇。トヨタは2019/20シーズンのチームチャンピオンを確定

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ル・マン/WEC | WEC:8号車がル・マン3連覇。トヨタは2019/20シーズンのチームチャンピオンを確定

 9月20日(日)現地時間午後2時半、第88回ル・マン24時間レースがゴールを迎え、TOYOTA GAZOO RacingのトヨタTS050ハイブリッド8号車が3連覇を成し遂げた。ポールポジションから前半首位を走行したトヨタTS050ハイブリッド7号車は、トラブルで後退するも追い上げ3位表彰台を獲得。この結果、TOYOTA GAZOO Racingが最終戦を待たずしてWEC世界耐久選手権2019/20シーズンのチームチャンピオンを獲得した。

 セバスチャン・ブエミ、中嶌一貴、ブレンドン・ハートレーの8号車トヨタTS050ハイブリッドが、2位に5周差をつけての勝利を挙げ、ドライバーズ選手権でも首位に立つ。

 ブエミと中嶋はル・マン3年連続の勝利となり、97年にわたるル・マンの歴史の中で、これまでに7人しか成し遂げていなかった3連勝ドライバーに加わることとなった。また、ハートレーにとっては2017年以来2度目のル・マン制覇となっている。

 ポールポジションからスタートしたマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの7号車トヨタTS050ハイブリッドは中盤まで首位を走行していたが、排気系のトラブルに見舞われて後退。しかし後半、見事な追い上げを見せ3位表彰台を勝ち取った。

 全8戦で競われているWEC世界耐久選手権2019/20シーズンの第7戦でのこの勝利により、TOYOTA GAZOO Racingはチームタイトル争いにおいて、2位のレベリオンに逆転不可能な57点差をつけたため、最終戦を待たずして今シーズンのチームチャンピオンを獲得を確定させた。TOYOTA GAZOO Racingにとっては2014年、2018/19年シーズンに続く3度目のタイトル獲得となる。

 ル・マンにおける最後の雄姿となった1000馬力を誇る4輪駆動レーシングカーのトヨタTS050ハイブリッドは、サルト・サーキットでの効率やパフォーマンスの点で新たなスタンダードとなった。2012年に搭乗した第1世代のLMP1ハイブリッド車両に対して燃料使用量は35%削減されたにも関わらず、ラップタイムは1周あたり約10秒もの向上を見せている。4年連続のポールポジションと3年連続勝利の中で、予選及び決勝レース中のコースレコードも塗り替える活躍を見せた。

 ハイブリッドレースカー開発を通じて得られたノウハウをつぎ込んだ、ル・マン直系の『GR Super Sport(仮称)』が、決勝レーススタート前に、初めて公の前で披露された。開発中のモデルをベースにオープン仕様にカスタマイズされた車両は、サーキット1周のデモンストレーション走行を行った後、スタート直前に優勝トロフィーを返還するセレモニーに参加した。

 スタートから6時間経過時点での10周ほどを除いて、トヨタTS050ハイブリッド7号車はレース前半戦の大半で首位を走り、レースが折り返しを迎える頃には、2位との差は1周以上に広がった。しかし、12時間を経過した直後、午前3時前に、可夢偉がドライブしていた7号車は出力低下に見舞われ、ガレージでの修復を余儀なくされてしまう。排気マニホールドの破損に見舞われた7号車は、修復作業に30分を要し、可夢偉は首位から6周遅れ、3位のレベリオン3号車から4周遅れの4位でコースへと復帰した。

ガレージにて修復作業を行う7号車TS050ハイブリッド
ガレージにて修復作業を行う7号車TS050ハイブリッド

 一方、8号車は序盤にタイヤのパンクやブレーキダクトのダメージといったトラブルに見舞われ、2度の予定外のピットストップと10分間の修復などでタイムを失いながらも、諦めることなく戦い続け、7号車がトラブルに見舞われる前には2番手にポジションを上げていた。

 後半戦、2位以下に充分な差を拡げた8号車は、ブエミ、中嶋、ハートレーがペースをコントロールしながら周回を重ねていき、最終的にその差は5周まで拡がる。3年連続でアンカードライバーを務めた中嶋が、2020年ル・マン24時間レースのフィニッシュラインをトップで通過。サルト・サーキットにおいて最も成功した日本人ドライバーとしての地位を確固たるものとした。

チェッカーを受ける8号車TS050ハイブリッド
チェッカーを受ける8号車TS050ハイブリッド

 コンウェイと可夢偉、ロペスの7号車は、レース復帰後追い上げを図ろうとしたが、何かにヒットして車両フロアにダメージが及んだことで空力的な性能低下が生じてしまう。しかし、7号車は表彰台を目指し追い上げを続け、ライバルのレベリオン3号車が残り1時間というところでクラッシュし、ピットでの修復を余儀なくされたことで3位へと浮上。優勝した8号車から6周遅れながら、2位のレベリオン1号車とは1周差での3位表彰台を獲得した。

 8号車のドライバーがこの勝利によるポイントを加えたことで、ドライバーズタイトル争いは、11月14日にバーレーンで開催される、2019/20シーズン最終戦に持ち越される。8時間レースのバーレーンでは最大39ポイントの獲得が可能だが、現在首位の8号車と2位の7号車は僅か7ポイント差で、タイトルをかけ、この最終戦に臨むこととなる。

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