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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2020.10.01 08:43
更新日: 2020.10.01 08:50

ル・マンで世界にその名を知らしめた山下健太「スーパーGTでやってきたことが役に立った」

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ル・マン/WEC | ル・マンで世界にその名を知らしめた山下健太「スーパーGTでやってきたことが役に立った」

 バックマーカーを絶妙な間合いで抜き去り、トップを猛追する1台の蒼いマシン。ドライバーは山下健太。マシンはレクサスLC500、ではなくLMP2のオレカ07。そしてトラックはもてぎではなく、ル・マン、サルト・サーキット。

「初出場のケンタ・ヤマシタが素晴らしい走りだ!」

 現地の実況がGT500王者の名を連呼する。「世界のヤマケン」が誕生した瞬間だった。

「ル・マンは意外と簡単なコースでした」

 帰国直後にも関わらず、電話口の声は元気そうだった。「疲れる前に終わってしまいましたし……」と、やや自嘲気味に笑ったが、声には充実感がある。

「コースはすごくシンプルで自分のリズムにも合っていて非常に走りやすく、2〜3周で慣れました。唯一ポルシェカーブ(入口)の次の左・左はけっこう速度が高く、予選ではふたつとも全開で行ったんですが、壁ギリギリ。なかなかスリルがあって楽しかったです」

 2〜3周で慣れたという言葉が誇張ではないことは、ル・マン初走行のFP1でいきなりクラストップタイムを出したことでも証明される。計測10周程度の短時間で、ヤマケンは伝統のサルトをほぼ攻略していた。

「FP1でトップタイムが出ただけで、チームは大盛り上がりでした。雰囲気はとても良かったです」

 ヤマケンが所属するハイクラス・レーシングは、お世辞にもトップチームとはいえない。今季これまでのレースでは中団を争うのがやっとだっただけに、FP1首位は望外の結果だった。そして、好調は予選でも続いた。

「今回はハイパーポール進出が自分の中での目標でした。最初のアタックで少しトラフィックにつかまり『ちょっと足りないかな』と思ったら4番手で。最後にもう1回行ったら、思いっきりひっかかり更新できなかったんですけど、ギリギリ6番手でハイパーポールに進めて、ほんと嬉しかったです」

 ひとりのタイムだけで決まるル・マンの予選は、クラスの上位6台がハイパーポールに進める。全24台が覇を競うLMP2は大激戦区だったが、ヤマケンは見事ハイパーポールに進み、そこで4番手タイムを刻んだ。

「1回目はソフトタイヤで行きました。それまでずっとミディアムで走っていたので、ソフトの新品は初めてで、そこまで合わせきれなかった。でも、2回目は攻めきれて、一歩間違えれば飛んでいっちゃうくらいギリギリの走りで、だいぶ出し切った感はありました。できれば3番以内に入りたかったけど、前とはコンマ3以上あったので、あのあたりがクルマの限界でしたね」

2020年がル・マン初出場となった山下健太
2020年がル・マン初出場となった山下健太

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