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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.01.16 11:24
更新日: 2021.01.16 11:26

【GR010ディテールウォッチ1】ドライバーの“仕事場”コクピット解剖。TS050にはなかったダイヤルも

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ル・マン/WEC | 【GR010ディテールウォッチ1】ドライバーの“仕事場”コクピット解剖。TS050にはなかったダイヤルも

 1月15日に発表されたトヨタGAZOO Racingの新型ル・マン・ハイパーカー『GR010ハイブリッド』。3月に予定されているWEC世界耐久選手権2021年シーズン開幕戦・セブリング1000マイルレースでのデビューが待たれるところだが、ここでは公表されたマシン各部の写真から、その個性を紐解いてみたい。

 まずは、ドライバーたちが長時間を過ごすことになるコクピットから。とくにステアリングなど、“先代”TS050ハイブリッドの面影が残る部分も多い。なお、雪のため中止されたスペイン・アラゴンのテストでマシンと対面した中嶋一貴は、GR010ハイブリッドのコクピット内について「全体的に少しスペースの余裕があるかな」とコメントしている。

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 カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)の地がむき出しの、いかにもレーシングカー然としたコクピットである。ハンドル位置が左であることを含め、TS050ハイブリッドのコンセプトを受け継いでいるようだ。

 ハンドル位置は右回りのル・マン24時間レースを基準に考えるのが一般的だ。ドライバー交替時の効率と、視界(コーナーでエイペックスが確認できることが重要)などから総合的に判断する。

 アウディはオープンボディのR15系から、クローズドボディのR18系に切り換えた12年に右ハンドルに切り換えた。これは「空力性能を切り詰めてモノコックを設計したらフットボックスがタイトになったから」と説明していた。左右どちらのハンドル位置にしてもねじれた姿勢を強いられるが、右ハンドルのほうがマシという判断だった。

 ポルシェ919ハイブリッドは左で、バイコレスは右。LMP2では、オレカ、ダラーラ、マルチマチックは左、リジェは右ハンドルである。

GR010ハイブリッドのコクピット。いわゆる『左ハンドル』である
GR010ハイブリッドのコクピット。いわゆる『左ハンドル』である

 GR010ハイブリッドのコクピットに戻ると、操作スイッチ系はステアリングホイール上とセンターコンソールパネル上に分散配置されている。

 無線やフルコースイエロー時のスピードリミッターなど使用頻度の高いスイッチはステアリング、ワイパーやリザーブフューエルサプライなど使用頻度の低いスイッチはセンターコンソールに配置する。

 ステアリングホイールの上部に大型液晶ディスプレイが追加されたのは16年に投入されたTS050ハイブリッドからで、GR010ハイブリッドもこのときに導入された仕様を受け継ぐ。ただし、各スイッチに対する機能の割り当ては一部変更されている。

こちらは2020年までレースを戦ったTS050ハイブリッドのコクピット(写真は2019年)
こちらは2020年までレースを戦ったTS050ハイブリッドのコクピット(写真は2019年)

 TS050との最大の違いは、ステアリングとセンターコンソールパネルのあいだに前後のブレーキバランスを調節するダイヤルが追加されたこと。ステアリングにも調節ダイヤルは残っているが、コーナーごとに細かく変える(ステアリング)用途と、全体を大きく変える(センター)で、役割を分けているのだろうか。

1月15日に発売されたauto sport No.1545誌面。当記事で紹介したコクピットの他、空力解説、開発インタビューなどを掲載している
1月15日に発売されたauto sport No.1545誌面。当記事で紹介したコクピットの他、空力解説、開発インタビューなどを掲載している


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