IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2021年開幕戦デイトナ24時間レースは、今季キャデラックDPi-V.RからアキュラARX-05へとマシンを変更した、ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)の10号車アキュラ(リッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ/アレクサンダー・ロッシ/エリオ・カストロネベス)が最後まで僅差となったレースを制した。
優勝ドライバーのひとりであるリッキー・テイラーは昨年までの3シーズン、アキュラ・チーム・ペンスキーに所属していたが、WTRの鞍替えに伴い父親がオーナーを務めるチームへと4年ぶりに復帰。そんなリッキーが、デイトナ優勝に至る舞台裏を綴ったコラムをSportscar365に寄せている。過去最大級のストレスにさらされたというレースの内情を、以下リッキーの筆により紹介する。
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今年のロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)は、自分のキャリアの中でも最も要求されるもののレベルが高いレースだった。
今年のレースに向けては、パドックではいくつかの大きな変化があった。
オフシーズンの間のもっとも大きな変化のひとつは、僕らWTRとマイヤー・シャンク・レーシング(MSR)が(チーム・ペンスキーから)アキュラのDPiプログラムを引き継いだことだ。
つまり、2020年最終戦セブリング12時間レースを終えてマシンを手にしてから、チームは2カ月ほどの間に24時間レースに向けて頑丈なクルマを作り上げる必要があった。
現代のプロトタイプは非常に複雑でデリケートなマシンであり、それを効果的に走らせるだけでなく、24時間のレースをトラブルなく完走するため『強くする』には、膨大な量の知識が必要とされる。
どんなに小さなものであれ、弱点があれば、それは24時間レースにおいて露わとなってしまう。
このチャレンジはあまりに大きく、ひとりでできるものではない。WTR、HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)、(ベースシャシーを製造した)オレカの全員による素晴らしいチームワークと協力のおかげで彼らの知識を共有することができ、この新しいマシン、チーム、マニュファクチャラーの関係について可能な限り高いレベルで適合することができた。
ファクトリーでは1カ月半以上の間、1日14時間以上におよぶ作業で、僕らのスタッフは2台のクルマをゼロから組み立てた。