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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.07.10 11:14
更新日: 2021.07.10 12:55

ル・マン・ハイパーカーとLMDhの“コンバージェンス”詳細が発表。4つの技術エリアで性能均衡を図る

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ル・マン/WEC | ル・マン・ハイパーカーとLMDhの“コンバージェンス”詳細が発表。4つの技術エリアで性能均衡を図る

 FIA、ACOフランス西部自動車クラブ、IMSAは7月9日、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023シーズンから始まる、ル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDhマシンの“コンバージェンス”(収束、収斂の意)可能にするための、4つの技術エリアについて詳細を明らかにした。

 7月8日にFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)が「技術規則の修正」を承認したことを受けてなされたこの発表においては、2023年からのウェザーテック選手権へのLMH車両の参戦承認も、正式にアナウンスされている。

 2021年からWECで採用されているLMHはハイブリッドシステムの採用・非採用が選択できる規則であり、ベースとなる量産車両を持たないプロトタイプカーとしてデザインすることも可能となっている。

 一方LMDhでは、現行のDPiと同じくLMP2シャシーをベースに共通ハイブリッドシステムをリヤに搭載する方式となり、両カテゴリーのマシンが同じ舞台で戦うためには、性能の均衡化が必須となっていた。

 今回発表されたのは、このふたつのカテゴリー間の性能均衡のための具体策であり、以下の4つの主要エリアで性能を調整することにより、2023年からの相互乗り入れを実現する。

・タイヤ
・加速プロファイル
・ブレーキ性能
・空力

 なお、LMDh車両は、現在のLMH規則における後輪駆動車(=ノンハイブリッド車)の技術プロファイルを、主に採用することになる。

1)タイヤ
 LMDh車両は、LMH規定の後輪駆動車と同じサイズのタイヤを装着する。すなわち、34センチ幅タイヤをリヤに、29センチ幅タイヤをフロントに装着する。

 トヨタGR010ハイブリッドのように、フロントアクスルにハイブリッド・システムを備えたLMH車両(=AWD:4輪駆動)ついては、現在と同じくフロント・リヤともに31センチ幅のタイヤが、2023年以降も採用される。

2)加速プロファイル
 ただし、AWD車両の加速プロファイルは、技術規則の一部ではなくBoP(性能調整)によってコントロールされるようになる。各サーキットにおいてドライとウエット、2種類の(フロント駆動)アクティベーション速度が120〜160km/hの範囲で設定される。

 各サーキットの特性によって調整されるこの方法は、今季のWEC第2戦ポルティマオにおいて、トヨタがフロントのドライブトレーン(モーター)のアクセルプロファイルを調整することによって、すでにテストされている。

 一方LMDhにおいては、リヤに搭載されるeモーターのトラクションコントロール機能への寄与を制限するための、制御ソフトウェアが導入される。

3)ブレーキ性能
 どちらのタイプのパワートレインも同じコースト性能を備えているが、AWD車両においてはフロントアクスル、リヤアクスル双方のトルクレベルが考慮に入れられる。

 さらに、AWD車両のフロントディファレンシャルについては、潜在的なパフォーマンス上の利点を防ぐため、コースト時に『ゼロ・ロックメカニズム』がアクティブになる。

4)空力
 LMH車両は引き続きスイスのザウバーの風洞試験によってホモロゲートされる。IMSAのレースに出場する場合は、アメリカ・ノースカロライナ州のウインドシア社で“風洞特性評価”にかけられる。

 LMDh車両の場合は、上記の反対のパターンとなり、ウインドシア社の風洞によりホモロゲートされ、WECに出場する場合はザウバーの風洞特性評価を受けることとなる。

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この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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