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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.07.13 11:45
更新日: 2021.07.13 11:28

2大耐久王の参入で黄金時代突入へ。ル・マン参戦も可能な高コスパ車両【スポーツカー新規定おさらいLMDh編】

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ル・マン/WEC | 2大耐久王の参入で黄金時代突入へ。ル・マン参戦も可能な高コスパ車両【スポーツカー新規定おさらいLMDh編】

 ル・マン24時間レースを主催するACOフランス西部自動車クラブとウェザーテック・スポーツカー選手権を運営するIMSAの合意、さらにFIAによって車両規則の変更が承認されたことで、ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定のマシンとル・マン・デイトナh(LMDh)車の最終的な“コンバージェンス(収束、収斂の意)”が実現。WEC世界耐久選手権へのLMDh参戦に続き、2023年の北米シリーズにLMH車両が出場できることになった

 LMHとLMDh、このふたつの規則は、次世代スポーツカー・プラットフォームという点では同じだが、そのなりたちと性質はそれぞれ異なる。その一方、部分的には共通化が図られ、将来の相互参戦に向けて足並みをそろえる格好となっている。

 本稿ではそんなLMH規定とLMDh規定について、いま一度情報を整理。今後予定される参戦車両の登場や自動車メーカーのプログラム発表を前に、スポーツカーレースが置かれている状況を把握するのに役立てて貰えれば幸いだ。後編では、2023年からIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のトップカテゴリーに導入されるLMDhを紹介する。

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 IMSA国際モータースポーツ協会が運営するウェザーテック・スポーツカー選手権では、2017年よりDPi(デイトナ・プロト・インターナショナル)というカテゴリーがシリーズ最高峰に位置づけられている。

 LMDhはこの現行規定の後を継ぐレギュレーションとして、2020年1月にIMSAとACOが共同発表。当初は2022年から導入される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で採用が1年延期され、2023年から本採用されることとなった。なお、この発表当初から“世界三大耐久レース”の枠組みに収まるデイトナ24時間とル・マン24時間への相互参戦を可能とすることがIMSAとACOの間で合意されていた。

 現在、キャデラックとアキュラ、マツダの3メーカーが参戦し、かつてはニッサンの姿も戦いの場にあったDPiでは、WECの2017年シーズンに登場したオレカ、リジェ、ダラーラ、(ライリー&)マルチマチックという4つのコンストラクターが製作したLMP2シャシーをベースに、自動車メーカー独自のエンジンとスタイリングを与えることで“オリジナルマシン”としている。

 新規定のLMDhの哲学もこれの延長線上にあり、上記4つのシャシービルダーから任意の車台を購入し、ブランドを象徴するイメージを持たせたボディカウル、およびエンジンを搭載することになる。ただし、次世代のマシンはここに共通ハイブリッドシステムが追加されるとともに、車両の最大寸法がLMHと同様に大型化され全長は5100mm以下、全幅2000mm以下、ホイールベースは全車共通3150mmと定められた。最低重量は1030kgでLMHと共通だ。

 なお、ボディ上面の開発は、ダウンフォースとドラッグの比率を4:1と規定したうえで、自動車メーカーが独自に行うことを認める一方、フロア形状についてはベースのLMP2シャシーから変更不可とした。この点は開発をフリーとしているLMHと異なる。

LMHと同様に、LMDhでもミシュランがタイヤを供給する
LMHと同様に、LMDhでもミシュランがタイヤを供給する
2018年シーズンからDPiクラスを戦うアキュラARX-05は現在、シリーズ2連覇中。LMDhでもオレカとの関係を継続か
2018年シーズンからDPiクラスを戦うアキュラARX-05は現在、シリーズ2連覇中。LMDhでもオレカとの関係を継続か

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