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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.07.19 03:04
更新日: 2021.07.19 09:47

小林可夢偉組トヨタ7号車が乱戦を制し今季初優勝。8号車は再三のトラブルで脱落【WEC第3戦決勝レポート】

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ル・マン/WEC | 小林可夢偉組トヨタ7号車が乱戦を制し今季初優勝。8号車は再三のトラブルで脱落【WEC第3戦決勝レポート】

 7月18日、WEC世界耐久選手権第3戦『モンツァ6時間レース』の決勝がイタリア・ミラノ郊外に位置するモンツァ・サーキット(アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ)で行なわれ、トヨタGAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が今季初優勝を飾った。

 2021年第3戦の舞台は、第2戦ポルティマオに続きWEC初開催となるイタリア・モンツァ。超高速サーキットを舞台にした戦いは、次戦に控えるル・マン24時間をも占うものとなる。

 また今回のイベントは決勝日のみ、グランドスタンドに限って観客の入場が許され、WECにとっては2020年2月のアメリカ戦以来となる有観客でのレースとなった。

 予選では、今季よりル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の新型マシン『GR010ハイブリッド』を最高峰ハイパーカークラスに投入しているトヨタGAZOO Racingが7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)、8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)の順でフロントロウを独占。

 これにアルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソン(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)、今戦より2台体制を採るグリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH(ピポ[ルイス・フェリペ]・デラーニ/グスタボ・メネゼス/オリビエ・プラ)、同709号車グリッケンハウス007 LMH(ロマン・デュマ/フランク・マイルー/リチャード・ウェストブルック)が続くというスターティンググリッドとなった。

■トヨタ8号車、トラブルで「ノー・パワー!」

 現地時間12時、晴れ/ドライ、気温29度/路温46度というコンディションのもと、2列縦隊で最終コーナー・パラボリカを回った36台のマシンがスタートを切る。

 7号車トヨタはコンウェイ、8号車はブエミ、36号車アルピーヌはネグラオ、708はデラーニ、709はウェストブルックがスタートからステアリングを握っている。GTEアマクラスではDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR(星野敏/藤井誠暢/アンドリュー・ワトソン)で藤井がスタートを担当した。

 スタート直後の第1シケインでは36号車アルピーヌがいったん8号車トヨタの前に出るが、第2シケインまでにブエミが抜き返す。その後方ではグリッケンハウスの2台が順位を入れ替え、709号車が708号車の前に出た。

 トヨタの2台は、アルピーヌとグリッケンハウスに対して1周あたりコンマ5秒程度ラップタイムが良く、差はじりじりと広がっていく。開始30分過ぎに導入されたFCY(フルコースイエロー)のタイミングで各車がピットイン。2回目のピット作業を前にした1時間20分経過時点ではトヨタ2台の差は約9秒。8号車の19秒うしろに36号車アルピーヌ、さらに5秒うしろに709号車という状況となった。

序盤はノントラブルで走行を続けたグリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMH
序盤はノントラブルで走行を続けたグリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMH

 ハートレーへと交代し2度目のピットを終えてコースに戻った8号車だったが、直後にスロー走行に転じる。ハートレーからは「ノー・パワー!」との無線。ゆっくりとコースを1周しピットに戻った8号車は、ガレージに入れられた。

 一度はコースに戻った8号車だったが、今度は1コーナーをほとんど減速せずに直進すると、またもスロー走行に。8号車は再度ガレージへと入れられると、前部のカウルが外されフロントアクスル周辺の修復作業に入った。左フロントまわりのパーツを交換し、10周以上おくれてハートレーがコースに戻る。

 2時間が経過し、トップ7号車と2番手36号車の差は42秒、そこから30秒うしろに709号車が続くというトップ3の展開に。7号車はロペス、709号車はマイルーへと2度目のピットでドライバー交代を済ませている。気温は31度、路面温度は52度にまで上昇した。

 2時間経過直後、GTE車両のタイヤバーストに伴い導入されたセーフティカーで、いったんギャップが縮まる形に。

 2時間30分が過ぎた頃、8号車が今度は燃料プレッシャーの問題から三度スロー走行に。ガレージに入れられた後、数分ですぐにコースに戻されるが、問題は完全な解決に至っていないようで、残りのレースは通常より短いスティントを刻む見通しとなる。

決勝中、度重なるトラブルに見舞われたトヨタの8号車GR010ハイブリッド
決勝中、度重なるトラブルに見舞われたトヨタの8号車GR010ハイブリッド

 2番手をゆく36号車アルピーヌはシケインを直進する場面が見られるなか、背後の709号車マイルーがギャップを詰めていく。一方で序盤の修復で遅れていたグリッケンハウスの708号車は、3時間経過を前にまたしてもガレージに入れられている。

 レース折り返しとなる3時間経過時点でトップは7号車トヨタ、23秒差で36号車アルピーヌ、そこから1秒後方に709号車グリッケンハウスという接戦模様。チームとして前戦まで2連勝を飾っているトヨタも、油断できない展開が続く。

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