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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.08.21 18:00
更新日: 2021.08.21 13:31

ル・マンの水素クラスは1年延期し2025年に登場予定。今年もミッションH24がデモラン実施

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ル・マン/WEC | ル・マンの水素クラスは1年延期し2025年に登場予定。今年もミッションH24がデモラン実施

 ACOフランス西部自動車クラブが計画しているル・マン24時間レースでの水素クラスのローンチが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で当初の予定から1年延期され、2025年となることが明らかにされた。

 ル・マン24時間の主催団体であるACOのピエール・フィヨン会長は、業界全体の遅れとコンポーネントの不足が、このカテゴリーのデビューを延期する理由になっていると説明した。

「COVID-19はメーカーに多くの問題を引き起こした」とフィヨン氏。

「私たちはH24の開発において約1年分の時間を失った。(本来であれば)昨年中には走っていたはずなんだ」

「メーカーと話し合ったが、今日、彼らがサプライヤーから(部品を)入手するのは困難であり、多くの遅れが生じている。そのため、(ローンチを)2025年にすることを決定した」

 ACOと燃料電池車(FCV)ベンチャーのグリーンGTによる共同プロジェクト“ミッションH24”によって開発が続けられている2代目のプロトタイプレーサー『グリーンGT H24』は今週末、ル・マンのサルト・サーキットで連日デモランを実施している。H24のデモ走行は2020年大会に続き2年連続。

 このクルマは来年、初レースに臨むことが決まっており、同プロジェクトの初代プロトタイプカー『グリーンGT LMPH2G』と同様に、ミシュラン・ル・マン・カップに賞典外車両として参加することになるとみられている。

 フィヨン氏によると、このマシンは来月のスパ・フランコルシャン、10月のポルティマオで開催されるELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでもデモンストレーションラップを披露する予定であり、ポルトガルのレースではフリープラクティスにも参加する計画だという。

 ミッションH24の第二世代インキュベーターは、COVID-19パンデミックの影響で開発に遅れが出ており、現在までに500km程度しか走行距離を稼げていない。

「我々はCOVID-19と新しいサプライヤーとの問題で1年を棒に振ってしまった」とフィヨン氏は語った。

「それは非常にチャレンジングなクルマだ。レースカーでこのテクノロジーを搭載し最初のクルマだからね」

「私たちは学ぶ必要があり、実際に多くのことを学んだ。燃料電池の冷却の問題があれば、新しいクルマであるため、重量とタイヤの問題もある。GTカー並みの重さだ」

「また、水素用タンクの問題もある。タンクに水素を補給するのは簡単ではない」

「タンクに水素を充填するとき、補給の最初と最後では温度の差が摂氏80度にもなるんだ。そのため、それを適切に管理する必要がある」

 トヨタのFCVロードカー『MIRAI(ミライ)』に乗るフィヨン会長は、目標は90秒以内に12kgの水素を補給することだと述べた。これは彼のロードカーの能力が6分で6kgであること比較すると格段に早いことが分かる。

■将来的には水素クラスが総合優勝を争うことに期待

 フィヨン氏は、2025年に立ち上げられるこのクラスのレギュレーションが、水素を動力源とするクルマがル・マンで総合優勝することを技術的に可能にするものだが、初年度には難しいかもしれないと認めた。

 現在、ACOのテクニカル・ワーキング・グループのミーティングには8つのメーカーが参加しており、彼は2025年に少なくとも3社がグリッドに並ぶことを目標としている。

「このレギュレーションであれば総合優勝も可能だろう」とフィヨン氏。

「彼ら(メーカー)は開発に多くの時間を必要とするかもしれない。しかし、書類上はそれが可能だ」

「ディーゼル(エンジン搭載車の登場)を思い出してほしい。アウディがディーゼルでル・マンで走ると発表したとき、誰もが『クレイジー』だと言った。だが2年後、彼らは優勝したのだ」

『グリーンGT H24』はミッションH24が開発を行っている水素燃料電池車(FCV)のプロトタイプカー
『グリーンGT H24』はミッションH24が開発を行っている水素燃料電池車(FCV)のプロトタイプカー


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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