ポルシェ、モータースポーツ部門トップ交代へ。10年率いたエンツィンガーに代わる新任は“電動畑”から昇格
ポルシェは9月15日、ポルシェモータースポーツのバイス・プレジデントを務めるフリッツ・エンツィンガーが9月末でその役割から退き、後任に同社のエレクトリック・レーシング・パワートレーン・ディレクターのトーマス・ローデンバッハが就くと発表した。エンツィンガーは9月限りで、ポルシェのすべてのモータースポーツ活動の責任者の地位から退くことになる。
65歳のエンツィンガーは2011年にポルシェに加わり、LMP1ワークス時代にはWEC世界耐久選手権、ならびに3度ル・マン24時間レースを制すなど、数々の成功を収めてきた。
彼の在職期間にはまた、WECのGTEカテゴリー、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTLMカテゴリーにおいてもタイトルを獲得、さらにファクトリー・フォーミュラEプログラムも立ち上げられ、2019年から参戦を開始している。
「過去10年間に大きな成功を収めたフリッツ・エンツィンガーには、感謝してもしきれない。彼はポルシェモータースポーツのひとつの時代を作り上げ、我々を素晴らしい栄光とタイトルに導いてくれた」と語るのは、ポルシェAGの研究開発理事会メンバーであるマイケル・シュタイナー。
「モータースポーツは、ポルシェの企業戦略において非常に特別な役割を果たしてきた。我々は常に、最新テクノロジーのテストラボとしてレーシング・プラットフォームを用いてきた。トーマス・ローデンバッハは、この道筋を成功裡に続けていくために必要なすべてを備えている」
「我々は未来のモータースポーツと、それを積極的に形作ることを楽しみにしている。IAAモビリティで発表した『ミッションRコンセプト』は、これから起こることのエキサイティングなプレビューである」
退任するエンツィンガーは「誇りと感謝を込めて」ポルシェのモータースポーツプログラムを指揮した10年間を振り返った。
「それは、信じられないほど激動の時間だった」とエンツィンガー。
「LMP1プログラムの開発、ル・マンでのハットトリック、919ハイブリッドでの世界選手権タイトル、911 RSRでのタイトル獲得、フォーミュラEへの参入、2023年以降のLMDh参入への準備、これらにはすべて我々の不屈の精神と集中力が必要だった」
「これらの成功は、優れたチームワークの結果である。コクピットで、レーストラックで、あるいは(開発拠点の)バイザッハ、フラハト、ツフェンハウゼンで力を捧げてくれたすべての人々に、敬意と感謝の意を表したい」
「また、ニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャンでの24時間レースにおいて総合優勝を収めてくれた、強力なポルシェ・カスタマーチームにも感謝している」
「モータースポーツは、自動車業界全体と同様に変化のときを迎えている。トーマス・ローデンバッハは、その経験と専門知識により、ポルシェモータースポーツをこの未来へと導くのに適した人物だ」