プジョーは2月25日、WEC世界耐久選手権の最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスに挑戦するため現在、同社が開発作業を進めているル・マン・ハイパーカー、『プジョー9X8』のホモロゲーション前の車両開発とテストの完了に専念するため、6月11~12日に開催されるル・マン24時間レースを欠場する予定であることを明らかにした。
フランスのメーカー金曜日、ハイブリッドシステムを搭載するハイパーカー『プジョー9X8』が、5月7日に行われるWEC第2戦スパ6時間レースまでに準備が間に合わないとアナウンスし、その影響で6月に開催されるル・マンのグリッドにも並ぶことができないと「予測」している。
スパ6時間レースへの出場は、ハイパーカークラスに参戦するプジョー9X8のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス:性能調整)のベースラインを定めるために必須とされている。
WECのフレデリック・ルキアンCEOは先月、プジョーが24時間レースの前にイベントに参加する必要があると述べた。また、プジョーとしても、クルマの競争力を強化のためにそれが必要なことであると認識している。
1月下旬、プジョーはリヤウイングを持たない、彼らの独創的な考えに基づくクルマが開幕戦セブリングに参加しないことを宣言した。9X8はこれまでにアラゴンとポール・リカールでテストを実施している。エンジニアリングチームはホモロゲーション取得に向けて今後、春から夏にかけてさらなるテストを予定している。
LMHル・マン・ハイパーカー規定車がWECに参戦するためには車両のホモロゲーションが必須だ。このホモロゲーションは基本的に2025年まで変更することができず、メーカーが“Evo”ジョーカーを選択した場合に限り調整が可能となる。
チームが母国ラウンドであるル・マンを放棄した理由について、プジョーWECテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニは次のように述べた。
「ごくシンプルに、(レースに)必要なレベルの信頼性を達成するために(開発に)必要な時間を確保するためだ」
「BoPの調整に関する明らかな理由があるため、5月7日のスパ・フランコルシャン6時間レースに出場することなくル・マン24時間に出場することはできないだろう」
「(この決定を下したことで)我々はスパとル・マンでのレースに影響されることなく、チームとリソースのすべてを活用した、私たち自身のテストセッションを計画し実行することを可能としている」
「ル・マンはオペレーションの面でも信頼性の面でも、カレンダーの中でもっとも難しいレースだ」
「我々はいくつかの短いレースから(プログラムを)スタートさせ、チャンピオンシップで徐々にスピードを上げていく予定だ。ロードゴーイングカーと同様に、納期を守るか、品質を重視するかを選択しなければならないとき、我々はつねに品質を優先する」