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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.03.09 13:47

トヨタGR010ハイブリッドに新たな“足枷”。BoP変更でモーター使用は『190km/h以上』に/WEC第1戦セブリング

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ル・マン/WEC | トヨタGR010ハイブリッドに新たな“足枷”。BoP変更でモーター使用は『190km/h以上』に/WEC第1戦セブリング

 WEC世界耐久選手権は3月4日付で、2022年第1戦セブリング1000マイルレース(3月18日決勝)に向けた参戦各車のBoP(性能調整)を発表した。

 最高峰ハイパーカークラスで参戦2年目を迎えるトヨタGAZOO RacingのGR010ハイブリッドは、昨年最終戦と比べて最低重量が増加し、最高出力低下の措置を受けている。また、フロントに搭載されたハイブリッド・モーターのパワーを使える最低車速が引き上げられた。

 3月4日付でWECコミッティから発行されたBoPブルテンによれば、ハイパーカークラスで唯一ハイブリッドシステムを積むGR010ハイブリッドは、3車種中もっとも重い最低車重となる1070kgが設定されている。2021年はポルティマオ/モンツァ/ル・マンのシーズン中盤戦で1066kgを背負ってはいたものの、最終戦バーレーンでの1040kgと比べれば、30kg増加した形となる。

 一方でグリッケンハウス・レーシングのノンハイブリッド・ハイパーカー『グリッケンハウス007 LMH』は1030kg、ノンハイブリッドLMP1マシンで参戦するアルピーヌ・エルフ・チームのアルピーヌA480・ギブソンは952kgという最低車重で2022年シーズンをスタートする。アルピーヌは昨年最終戦と比較すると22kgの増加となっている。

 1スティントあたりに使用できるエネルギー量は、トヨタが898MJ(昨年最終戦は909MJ)、グリッケンハウスが910MJ、アルピーヌが797MJ(同816MJ)。エンジン回転数に応じて定められる出力曲線上の最大値は、トヨタが506kW(同520kW)、グリッケンハウスが520kW、アルピーヌが430kW(同454kW)となっており、ハイパーカークラス全体の出力が抑制される方向となっている。

昨年ル・マン以来のシリーズ復帰となるグリッケンハウス007 LMH
昨年ル・マン以来のシリーズ復帰となるグリッケンハウス007 LMH
2022年のWEC世界耐久選手権ハイパーカー・クラスに参戦するアルピーヌ・エルフ・チームのA480・ギブソンと3人のドライバー
2022年のWEC世界耐久選手権ハイパーカー・クラスに参戦するアルピーヌ・エルフ・チームのA480・ギブソンと3人のドライバー

 これらの項目は昨年もレースごとに調整がされてきたが、2022年の新要素として、ハイブリッドを搭載するGR010ハイブリッドにのみ、『フロントパワー・デプロイメント・スピード』という項目が追加された。

 GR010ハイブリッドはフロントアクスルにのみハイブリッドのモーターを搭載しているが、この項目はモーターからパワーを放出できる最低車速を指定するもの。昨年は規則に従いドライでは120km/h以上、ウエットでは140(〜160)km/h以上とされていたこの数値だが、今季からはBoPの対象となり、レースごとに数値が変動する可能性がある。

 第1戦セブリングでは、これがドライ・ウエットともに190km/h以上と規定された。つまりGR010ハイブリッドは、190km/h未満の車速では“エンジンのみによる後輪駆動”の状態となる。

 既報のとおり、GR010ハイブリッドは今季、ホイール(タイヤ)サイズやボディワークに規則の範囲内で変更が加えられ、昨年課題としていたリヤタイヤのデグラデーション改善を目指している。これらの改善と新たなBoPにより、ライバルとのポテンシャル差がどのように変化するか、気になるところだ。

今回のBoP項目の変更については、2023年からハイパーカークラスへの参戦が可能になるLMDh車両がリヤに共通ハイブリッド・システムを搭載することや、今後LMHにデビューする車両のハイブリッドモーター搭載位置などに関連があるとも推察できる
今回のBoP項目の変更については、2023年からハイパーカークラスへの参戦が可能になるLMDh車両がリヤに共通ハイブリッド・システムを搭載することや、今後LMHにデビューする車両のハイブリッドモーター搭載位置などに関連があるとも推察できる


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