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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.03.25 11:08

ACOがBoPを説明。トヨタのモーター使用『190km/h以上』は「タイヤサイズに関連」、プジョーは異なる値に

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ル・マン/WEC | ACOがBoPを説明。トヨタのモーター使用『190km/h以上』は「タイヤサイズに関連」、プジョーは異なる値に

 ACOフランス西部自動車クラブでコンペティション・ディレクターを務めるティエリー・ブーべによれば、現在の四輪駆動ル・マン・ハイパーカー(LMH)におけるハイブリッド・アクティベーション速度は、車両の「タイヤサイズに関連づけられたもの」であるという。

 四輪駆動車におけるハイブリッドパワーのデプロイメントは、来季よりLMHとLMDhとのバランスを取る必要に迫られているACOおよび北米IMSAとのコンバージェンス(収束・収斂)契約における、4つのポイントのうちのひとつだ。

 このほか、同じパフォーマンスウインドウを持つ空力性能を設定すること、同一マニュファクチャラーとなるミシュランが供給するタイヤの使用、そしてブレーキングと加速のフェーズにおける均等化が、ポイントとして挙げられている。

 そして今季のWEC世界耐久選手権のBoP(性能調整)の一環として、トヨタGAZOO RacingのGR010ハイブリッドは先週末の第1戦セブリングでは、ドライコンディション、ウエットコンディションの双方で、『190km/h以上』がハイブリッド・アクティベーション速度として定められた。

 これは、190km/hに達するまで、トヨタはフロントアクスルに搭載したハイブリッド・モーター(MGU)のパワーを使用できないことを意味する。2021年、この速度はドライで120km/h、ウエットでは140〜160km/hの間で規定すると定められていた。

 ブーべはこの値の変更については、タイヤサイズの変更によるものだと説明している。

 トヨタは昨年使用していた前後13インチ幅のタイヤから、今季はフロント12.5インチ、リヤ14インチへとそのサイズを変更している。

「190という数字は、タイヤサイズに関連している。もし異なるタイヤのサイズの車両があれば……それに関連するものだ」とブーベは述べている。

 トヨタと同じくフロントにMGUを搭載するプジョー9X8ハイパーカーは、フロント・リヤいずれも13インチ幅のタイヤを採用することになっている。従って、プジョーが今季後半にシリーズへとデビューする際には、そのハイブリッド・アクティベーション速度はトヨタとは異なる値になるという。

2022年1月18日に公開された『プジョー9X8』の最新画像。当初の計画どおりリヤウイングが存在しないマシンとなっている
2022年1月18日に公開された『プジョー9X8』の最新画像。当初の計画どおりリヤウイングが存在しないマシンとなっている

 ハイブリッド・アクティベーション速度は、後輪駆動のLMH、および(共通ハイブリッドをリヤに搭載する)LMDh車両と比較した際の、四輪駆動車が持つアドバンテージを打ち消すために設定されているものだ。

「それが、コンバージェンス・グループ(技術コラボレーションについての会議)から出てきた結論だ」とブーべ。

「基本となる数字の数々は、シミュレーションの結果導き出され、作られたものだ」

「我々は必要に応じて、タイムデータ、および車両のデータを使用し、その数値を調整する」

「リヤアクスル(からの出力)については、エンジンおよびハイブリッドの両方からの(合計の)パワーに関して、我々は話し合っている。我々はあくまで、四輪駆動の状況に手を打ちたいだけだ」

 これに加えてブーべは、2022年より後にホモロゲートされるすべてのLMH車両が、すべてのLMDh車両と同様にフロント12.5インチ幅/リヤ14インチ幅のタイヤの組み合わせを採用することが義務付けられると明らかにした。

 これは、2023年デビュー予定のフェラーリのLMH車両が、現在のトヨタと同じタイヤ構成となることを意味し、一方でグリッケンハウスとプジョーは前後とも13インチ幅のタイヤを今後も継続採用することになる。

車両 ハイブリッド タイヤ幅(F/R) ハイブリッド・アクティベーション速度
トヨタGR010(LMH) フロント 12.5/14 190km/h以上(2022年第1戦)
グリッケンハウス007(LMH) 非搭載 13/13
プジョー9X8(LMH) フロント 13/13 ?(タイヤサイズが異なるため、トヨタとは別の数値)
フェラーリ(LMH) フロント 12.5/14 トヨタと同一?
LMDh(ポルシェ、キャデラックetc.) リヤ(共通ユニット) 12.5/14 設定なし(リヤからの出力全体で調整)

■サーキットごとのBoP調整はしたくない考え

 ブーベは、ハイパーカークラスにおいてトラック固有のBoPテーブルを作成したくないと述べ、平均速度の高いル・マン24時間レースにおいても、ハイブリッド・アクティベーション速度は必ずしも変更されないと示唆した。

「トラック間でシミュレーションを行うことにより、すべてのトラックにふさわしい(アクティベーション)速度がいくつかあり、それにより四輪駆動と二輪駆動の効果が同じになることが分かった」とブーベは説明している。

「我々はその解決策を採りたい。さもなければ、(トラックごとにBoPを設定すると)BoPが複雑になる」

「BoPがトラックごとに変わる場合、人々はBoPを見て『何が起こっているんだ?』となる。誰も理解することはできないだろう。それは無意味だ」

 トヨタは現在、ドライコンディションでもウエットコンディションでも同じアクティベーション速度が設定されているが、ブーべはそれが将来変更される可能性があると示唆している。


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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