レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.05.08 02:52
更新日: 2022.05.08 04:50

大荒れスパ・ウェザー。LMP2が一時首位に立つも、トヨタ7号車が逆転で今季初優勝/WEC第2戦決勝レポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | 大荒れスパ・ウェザー。LMP2が一時首位に立つも、トヨタ7号車が逆転で今季初優勝/WEC第2戦決勝レポート

 5月7日、ベルギーのスパ・フランコルシャンでWEC世界耐久選手権の2022年第2戦スパ6時間レースが行われ、3回の赤旗中断に加え、セーフティカー(SC)、フルコースイエロー(FCY)が度々導入される悪天候の難コンディションのなか、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)が今季初優勝を飾った。

 アメリカ・セブリングで3月に開幕したWECは、欧州のベルギーで第2戦を迎えた。最高峰ハイパーカークラスでは戦前にBoP(性能調整)が変更され、開幕戦で優勝を遂げたアルピーヌ・エルフ・チームのアルピーヌA480・ギブソンがエンジン出力の削減措置を受け、この影響も注目される戦いとなった。

 6日に行われた予選では、グリッケンハウス・レーシング708号車のグリッケンハウス007 LMHが初ポールポジションを奪い、以下アルピーヌ36号車、トヨタGR010ハイブリッドの7号車、8号車と続いた。

■8号車がリタイア。前半はハイパーカーとLMP2が入り乱れる

 決勝レース、ハイパーカークラスではポールポジションのグリッケンハウス708号車がオリビエ・プラ、2番手アルピーヌ36号車はアンドレ・ネグラオ、3番手トヨタ7号車はマイク・コンウェイ、4番手トヨタ8号車はセバスチャン・ブエミがスタートドライバーを務めた。

 気温18度/路面温度32度というドライコンディションのなか、現地時間13時にレースがスタート。オープニングラップでは、トヨタ2台がアルピーヌをパスし、8号車が2番手、7号車が3番手となったところで、コースオフ車両のためにSCが導入される。

 レースが再開されると、首位グリッケンハウスと2番手トヨタ8号車とのギャップは、1秒前後で推移。しかし35分が経過したケメルストレートエンドでブエミがプラをパスし、トップに立つ。続いてコンウェイもグリッケンハウスに襲い掛かり、最終シケインでオーバーテイク。トヨタのワン・ツー体勢が完成する。プラのペースはここからかなり落ち始め、トヨタ2台がギャップを広げていった。

スタート時はドライコンディションだったスパ・フランコルシャン
スタート時はドライコンディションだったスパ・フランコルシャン
開始35分、グリッケンハウスを攻略するトヨタの2台
開始35分、グリッケンハウスを攻略するトヨタの2台

 最初のピットタイミングが近づく頃には、コースのところどころに部分的に雨が落ちてくる。23周目にグリッケンハウスがピットイン。24周目にアルピーヌ、25周目にトヨタ7号車、26周目にトヨタ8号車がピットへと向かう。トヨタ2台はタイヤを交換せず、ダブルスティントに突入していった。

 この直後、1時間が経過したところで2番手を走行する7号車の目の前でLMP2車両がスピン、クラッシュ。SC導入が宣言されたのち、赤旗が提示されレースは中断となった。

 この中断中に雨が強くなり、再開10分前が告げられると同時にレインタイヤへの交換がレースディレクターより許可された。ホームストレート付近ではほとんど降っていないものの、ラディヨンの丘の上はフルウエット状態となっている模様だ。

 SCランでのリスタートとなるが、ここで先頭の8号車が始動に手間取る。なんとかSCに遅れて発進したブエミだったが、ケメルストレートで一旦マシンを止め、システムをリセットする。しかし根本的な解決には至っていないようで、ブエミはふたたびターン12入口でマシンを止めるとチームからの指示でマシンを降り、リタイアとなった。ハイブリッド系のトラブルとみられる。

 7号車を先頭にSCランは続いたが、雨のためにスピンするマシンが続出。最終シケインではグリッケンハウスもスピンを喫するなか、総合2番手にはLMP2のプレマ・オーレン・チーム9号車、3番手には同じくWRT31号車が浮上してくる。

 雨が強まるという予報もあってか、トヨタ7号車をはじめスリックタイヤ勢が軒並みピットインし、レインタイヤへと交換を行う。SCランが続くなか、首位はWRT31号車、2番手にアルピーヌ、3番手にトヨタ7号車という並びになった。

 2時間が経過する直前、天候が悪化するなかふたたび赤旗が提示され、レースは2度目の中断となった。

ネグラオがスタートを担当したアルピーヌA480・ギブソン
ネグラオがスタートを担当したアルピーヌA480・ギブソン

■天候回復とともにハイパーカー勢が復調

 雨量が幾分少なくなったことで、2時間25分経過時点でセーフティカー先導のもとリスタートが切られ、2時間31分時点で競技が再開される。

 ここで2番手アルピーヌのネグラオをコンウェイが攻め立て、次の周に入った1コーナーでポジションを奪う。

 首位の31号車ロビン・フラインスは水煙の影響を受けにくい先頭走者の利点も生かしてか、2番手のトヨタ7号車を寄せ付けないペースで走行を続け、レース折り返し目前では19秒ほどのギャップを築き上げた。

 3時間経過目前、雨が一段と強くなりスピン・コースオフを喫する車両が増えるなかFCYが導入されると、首位のWRT、3番手アルピーヌらがピットへ。これにより、ステイアウトしたトヨタ7号車がトップに立つ。

 次の周、7号車がピットへ入り、スタートから3時間以上ドライブを続けてきたコンウェイから小林可夢偉へドライバー交代。WRTがふたたび首位に浮上し、トヨタ7号車は2番手となる。3番手には、グリッケンハウスがつける展開となった。

 約10分後、FCYは解除に。しかしその直後、LMP2のインターユーロポル・コンペティション34号車アレックス・ブランドルがターン9出口で水に乗ってクラッシュすると、今度はSCが導入され、やがて3時間20分経過を前に3度目の赤旗が提示された。

 3時間40分時点でレースは再開、SC先導のもと隊列が動き出す。GTE車両の送り出しが行われたことから各車のギャップはリセットされ、残り2時間8分でSCが退去となった。

 雨量が少なくなり、薄陽が差し込むなか、首位WRT31号車に対して差を詰めたトヨタ7号車可夢偉は、残り1時間57分というところでトップに浮上する。さらにグリッケンハウスのピポ・デラーニもフラインスをパスし、天候の回復とともに総合1・2番手をハイパーカーが奪い返す格好となった。

 後方では、一度は順位を下げていたアルピーヌもLMP2車両を抜いていき、総合3番手に順位を回復してきていた。

 首位に立った可夢偉は、ケメルストレートエンドの水煙のなかでバックマーカーと交錯しランオフエリアを走る場面も見られた。グリッケンハウスに対して徐々にリードを築くなか、雨はほぼ上がりレコードライン上はかなり乾いていく状況に。

 残り1時間半を切り、ターン8でLMP2のベクター・スポーツ10号車のセバスチャン・ブルデーがコースオフ。これにより、このレース2回目のFCYが導入された。

 ここでハイパーカークラスの3台は同時にピットイン。トヨタ7号車とアルピーヌがインターミディエイト、グリッケンハウスはスリックを選択する。さらにここでは先にマシュー・バキシエールへの交代を終えたアルピーヌが、ロマン・デュマへと変わったグリッケンハウスに先行、2番手と3番手が入れ替わった。

 トヨタは可夢偉からロペスへと交代し、首位をキープ。一方でFCY解除後、グリッケンハウスはふたたびピットへと向かい、タイヤをインターミディエイトへと交換する。どうやら、最初にスリックへと交換する時点で無線でのミス・コミュニケーションがあった模様だ。これにより、グリッケンハウスは総合7番手へと順位を下げた。

最後は総合9位でフィニッシュした708号車グリッケンハウス007 LMH
最後は総合9位でフィニッシュした708号車グリッケンハウス007 LMH

 ウエット路面が残る不安定なコンディションのなかスリックへと履き替えたことで、コースオフする車が続出。残り1時間を前にFCY導入となった。

 そしてFCY解除となった直後、LMP2車両がクラッシュしたことにより、またしてもFCYに。残り44分でふたたび解除となり、レコードライン上はほぼドライというコンディションで競技が再開された。

 このあともFCYが導入されたが、2台の位置関係に変わりはなく、トヨタ7号車が今季初優勝のチェッカー。アルピーヌが2位に続き、総合3位はLMP2クラス首位のWRT31号車となった。

2022年WEC第2戦スパで優勝した、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド
2022年WEC第2戦スパで優勝した、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド

■次のページへ:クラッシュとバトル多発のなか、WRTがLMP2優勝を飾る


関連のニュース