5月15日、オーストラリアの“聖地”マウント・パノラマ・サーキットで、2022年シーズンのIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦『リキモリ・バサースト12時間』が行われ、優勝したサンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスAMG GT3(ジュール・グーノン/ルカ・ストルツ/ケニー・ハブル/マーティン・コンラッド組)を先頭に2台のメルセデスAMG GT3が続き、メルセデス陣営が表彰台を独占した。
バサースト12時間、スパ24時間、インディアナポリス8時間、そしてキャラミ9時間の計4イベントで構成されるIGTCが3カ月遅れで開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で2021年は開催中止となったバサースト12時間は、今年2年ぶりのシリーズ復帰を果たしたが、2022年もパンデミックの影響を受けて開催日程が例年の2月初旬から5月13~15日の週末に移されていた。
そんなバサーストでの今季開幕戦は、同じ週末に開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパやIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権など他のチャンピオンシップとの兼ね合いからアウディとメルセデスAMG以外の自動車メーカーがサポートを控えたため、主にドイツメーカー2社のマシンによる戦いとなった。
また、予選方式やアマチュアドライバーの搭乗を義務付けたルールへの変更などが行われた2022年大会は、これまでのバサースト12時間とは異なる雰囲気のレースとなったが、スタート時に発生した霧やレース中、2度にわたってトラックを襲った降雨など変わりやすい天候がレースに多くのドラマを生みだした。
現地の日の出前、5時15分にスタートが切られた同レースにおいて、とりわけ大きな出来事となったのは残り3時間半の段階で総合トップに立っていたアウディスポーツ・チーム・バルボリンの74号車アウディR8 LMSが2分間のストップペナルティを受け、優勝争いから事実上脱落したことだ。
ケルビン・ファン・デル・リンデのドライブで後続を1分以上引き離していた74号車は、このタイミングでルーティンのピット作業を行うものと思われた。しかし、チーム・バルボリンはブロンズドライバーのブラット・シューマッハーの走行時間を誤って計算していたため、想定外の大きなタイムロスを負うことになった。
彼らにとって不運だったのは、この日8回目となったセーフティカーによる先導走行中の“ウェーブバイ・オプション”が、小雨が降り滑りやすい路面コンディションとなっために選択肢から外され、失ったラップを取り戻すことができなくなったことだ。
その後ファン・デル・リンデはファステストラップを含む好タイムを連発し、遅れの晩梅を図ったが2分間のペナルティによる損失は大きく、その差を詰め切ることは叶わなかった。