WEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスに参戦するポルシェGTチームは、911 RSR-19で挑んだ過去2回のル・マン24時間レースで1回の表彰台しか獲得できていない。ドライバーのリヒャルト・リエツとミカエル・クリステンセンは、このル・マンにおける困難な状況に終止符を打つことを望んでいる。
ポルシェは2018年にクラス優勝を果たして以来、勝利から遠ざかっており、とくに2019/20シーズンに現行車両の『-19』を投入して以降、ル・マンでは苦戦を強いられてきた。
2020年のレースでは2台ともにトラブルが発生し、クラス5位と6位に甘んじた。
それから1年後、2021年はクリステンセン/ケビン・エストーレ/ニール・ジャニの92号車が3位表彰台を獲得。一方で91号車は後半トラブルに見舞われ、クラス4位に終わっている。
ポルシェのここ最近のル・マンでのレースを「ひどいもの」と評したリエツは、6月11〜12日に決勝が開催される第90回大会で、この呪縛から解き放たれたいと願っている。リエツは今年、91号車でジャンマリア・ブルーニ、フレデリック・マコウィッキとトリオを組む。
「悔しい2年間だった」とリエツ。
「今年はル・マンが、僕らにとってももう少し良いものになるかどうか、見てみよう」
「(現行車両は)3回目のル・マンだから、チームの皆はクルマのことは分かっているはずだ。正しい方法でアジャストされていくはずだ」
「セットアップも分かっているし、すべてがうまくいくはずだ。疑問点があるとすれば、それは今年から新しくなった燃料と、新しいタイヤについてだ」
「だから、タイヤに問題が出ないことを願うよ。だが結局のところ、クルマが新しいわけではない。だから、基本的なことはすべて解決できているはずだ」
2018年に“ピンク・ピッグ”カラーのポルシェで直近の勝利を収めているクリステンセンは、過去2年間の失敗を繰り返さないためにポルシェは対策を講じており、したがって以前よりも良いポジションにいると考えている。クリステンセンはケビン・エストーレ、ローレンス・ファントールとともに92号車をドライブする。
「正直なところ、この数年間は大変だった。いつも『これとあれを改善する必要がある』と言っていた気がするね」
「いま、僕らは成功と失敗から、いくらかの経験を手にしている。そこには間違いなく、改善すべき点があったんだ」
「そのような厳しい年月のなかでは、うまくいったのに結果に結びつけられなかったこともある。だから、いろいろな意味でフラストレーションがあった」
「だが、今年はドライバーもエンジニアも、多くの知識と経験を手にしていると信じている」
「基本的なパッケージはあると信じているが、ル・マンは特別なので、レースを始めるまでは何を手にできてるかは分からないものだ。だが、とても良い進歩が得られたと信じている」
なお、来季よりトップカテゴリーにLMDh車両で挑むポルシェは、LMGTEプロクラスへのファクトリーエントリーを2022年シーズンをもって終了する。したがって、ファクトリーカーの911 RSR-19がル・マンで走るのは、今回が最後になる。
ポルシェ・モータースポーツのバイス・プレジデントであるトーマス・ローデンバッハはル・マンに臨むにあたり、次のようにコメントしている。
「ワークスチームが2台の911 RSRで、この伝統あるクラシックレースに出場するのは今回が最後だ」
「我々には、そこで決着をつけるべきスコアがまだあるのだ。2019年のデビュー以来、我々の(現行)車両はFIA WECカレンダーのほぼすべてのレーストラックで勝利しているが、ル・マンのGTE-Proクラスの勝利だけが、我々の成功のリストには欠けている」
「我々はこれを変えたいと考えている。RSRと6人のワークスドライバー、そしてチームには、間違いなくその能力がある」