レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.06.13 17:16
更新日: 2022.06.13 17:25

ル・マン5連覇達成も、クルマづくりが至らず「ドライバーたちに申し訳ない気持ちになった」と豊田章男社長

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | ル・マン5連覇達成も、クルマづくりが至らず「ドライバーたちに申し訳ない気持ちになった」と豊田章男社長

 6月11日から12日にかけて、フランスのル・マンで開催された第90回ル・マン24時間レース。平川亮とセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーがドライブする8号車トヨタGR010ハイブリッドがポール・トゥ・ウインを達成し、トヨタの大会5連覇で幕を閉じたこのレースの翌日、トヨタ自動車社長でTOYOTA GAZOO Racingのチームオーナーでもある豊田章男氏がコメントを発表した。

 ル・マン5連覇を目指し2022年も『トヨタGR010ハイブリッド』の2台体制でWEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing。ル・マンの“前哨戦”である第2戦スパ・フランコルシャンを制して乗り込んだフランス伝統の耐久レースでは、予選ハイパーポールで8号車がポールポジションを獲得し、マイク・コンウェイとホセ-マリア・ロペス、今年からチーム代表を兼務する小林可夢偉の3名が乗り込む7号車が2番手につけた。

 24時間にわたって行われる決勝レースでは、トヨタの2台が順位を入れ替えながらトップ争いを繰り広げていく。しかし現地の朝を迎えた頃、当時トップを走っていた7号車がフロントモーター関連の電装系トラブルで一時、コース上にストップしてしまう。これにより2番手を走っていた8号車がチームメイトの7号車からリードを奪い大勢が決した。

 結局、レースは平川組の8号車が380周目にトップチェッカーを受けて優勝。僚友7号車も2分01秒差の総合2位でフィニッシュし、トヨタは過去5年のル・マンで4度目のワン・ツー・フィニッシュを達成している。そんな2022年ル・マン24時間の戦いを終えたチームとTGRファンに宛てた豊田社長のコメント全文は以下のとおりだ。

ル・マンの表彰台に掲げられたふたつの日章旗
ル・マンの表彰台に掲げられたふたつの日章旗

* * * * * * *

WEC2022年シーズン第3戦ル・マン24時間 決勝
豊田章男チームオーナー コメント

8号車のみんな優勝おめでとう!
7号車のみんなもワン・ツー・フィニッシュをありがとう!

今回のル・マンは終始ワン・ツーを走ったレースでした。
しかし、ドライバーたちは気持ち良く走り続けられたわけではありません。
むしろ、気持ちをすり減らしながら走ってくれていたと思います。

スタートから16時間経つまで、2台に大きなトラブルはなく、数秒の差で競り合っていました。
長く競り合えたのは2台が同じレベルにつくり上げられノートラブルで走れていたからです。
ドライバーたちもこのことに感謝してくれていました。

一方で、同じチームの2台が、長い間競り合うことはドライバーにとって大きな負担だったと思います。
本当に大変だったと思いますが、ドライバーたちは素晴らしい戦いを続けてくれました。
6人に感謝したいと思います。

しかし、その後、我々のクルマづくりが至らなかったせいで、競り合いを終わらせてしまいました。
残り8時間という時に7号車が路上でストップしました。
ふたたび走り出せましたが、これによってドライバーたちは「いつ止まるかもわからない」という想いとともに走らざるを得なくなってしまいます。
極限の想いをしながら戦いを続けてくれるドライバーたちに申し訳ない気持ちになりました。

最後までクルマを走らせ続けてくれてみんな本当にありがとう。
可夢偉は、これに加えてチーム代表という役割も背負っての戦いでした。
代表として上に立つのではなく、自らが現場に降りてエンジニアやメカニックたちと話し、みんなから出てくる課題に向き合ってくれていると聞きました。
まだすべてのメンバーと気持ちが通じ合うまでにはいかず、チームづくりは道半ばと言っていましたが徐々にチームは変わってきていると思います。
代表としての仕事にも全力であたってくれてありがとう。

だけど今回、ドライバーとしては本当に悔しかったし、勝ちたかったという気持ちもわかります。
終盤の可夢偉がファステストを出し、最後にホセがそれを塗り替えて……
ゴール目前の7号車は不思議と速いクルマになっていました。

8号車に早く無事にゴールしてほしいという気持ちもありながら……
もう一度7号車に追いついてほしい……
私でさえ、そんな気持ちにさせられました。
最後まで勝利にこだわって走り続けてくれてありがとう。

ドライバーと代表の兼務は、複雑な気持ちになる役割だと思います。
ですが、こうして2台が最後までフェアに戦ってくれていたのも可夢偉がチーム代表でいてくれているおかげだと思っています。
大変な役割を本当にありがとう。
今までとは違う役割を持った一貴と可夢偉が揃って表彰台に立つ姿も見られてとてもうれしく思いました。
クルマづくりもチームづくりも終わりのない戦いです。
ふたりには、これからもチームを、よろしく頼みます。
そして可夢偉は引き続き、ドライバーとしてもよろしくお願いします。

TOYOTA GAZOO Racingはル・マンを5回連続で勝利することができました。
多くのファンとパートナーの皆さまが一緒に戦い続けてくださるおかげです。
皆さま、ありがとうございます。

引き続き、ご声援、ご支援をよろしくお願いいたします。

TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー
豊田章男


関連のニュース

ル・マン/WEC レース結果