7月9日、イタリア北部のモンツァ・サーキットではWEC世界耐久選手権第4戦モンツァ6時間レースの予選が行われた。ポールポジションを奪ったのは、ハイブリッド非搭載のル・マン・ハイパーカー(LMH)、708号車グリッケンハウス007 LMHだった。
■大量のブレーキダストに不安を抱えるグリッケンハウス
ポールポジションは獲得したものの、ロマン・デュマはモンツァでのグリッケンハウスのブレーキ摩耗に「明らかに苦労している」ことを認めている。
2021年のレースではブレーキ交換を余儀なくされたこのサーキットで、708号車は目に見えるほどのブレーキダストをプラクティスセッションで発生させていた。
「確かにみんな、リムから煙が出ているのを見ただろう。僕らがそれを心配していることに間違いはない」とデュマ。
グリッケンハウスにとって第2戦スパに続いて2度目となるポールポジションを獲得したデュマによれば、レース中にブレーキ交換しないことを、チームは目標にしているという。
「僕らはいまあるもので、レースをやり遂げる必要がある。もしスタートで楽な展開となったら、ブレーキがどうなるのか、見てみよう」
なお、デュマ個人にとっては2015年ニュルブルク戦以来のWECでの総合ポールポジションとなった。
■93号車プジョー9X8はグリッド最後方へ
予選で赤旗の原因となったプジョー・トタルエナジーズの93号車プジョー9X8。ミケル・イェンセンはレズモのコース上にストップした後、システムリセットを実施した。
プジョーの広報担当者によれば、イェンセンはピットにマシンを戻したものの、その時点で赤旗が提示されていたため、ラップタイムを記録することができなかったという。93号車はグリッド全体の最後尾からスタートを切ることになる。
なお、ル・マン24時間でLMP2クラス優勝を果たしたJOTAの38号車オレカ07・ギブソンも、ピットでリシャール・ミル・レーシングチームの進路上にアンセーフ・リリースを行ったことにより、グリッド最後尾へと回されている。
■歴史に名を刻んだサラ・ボビー
LMGTEアマクラスにおいて、ドライバー3人すべてが女性というラインアップを敷くアイアン・デイムス85号車フェラーリ488 GTE Evoのサラ・ボビーは、WECの歴史に残る女性初のクラスポールポジションを獲得した。チームにとっても初のポールポジションだ。
「正直言って、クレイジーなセッションだった」とボビーは振り返る。
「最初の8分間にはミスがあり、私はまったくもってハッピーではなかった」
「(最後のベストラップは)とても素晴らしいラップで、私は自分の持っているものをすべて出してプッシュした。チームメイトとチームがしてくれたすべてのハードワークに感謝している」
「私は昨年のここで、(WECでの)最初のドライブをした。まだこの選手権でレースをしているのは1年だけど、ここで最初のポールポジションが獲得できたのは素晴らしい成果だ。この機会を持てたことを、とても幸運に感じている」
チーム創設者のデボラ・メイヤーは「アイアン・デイムスとすべてのモータースポーツ界の女性たちにとって、重要な日となった」と述べている。
「我々はいま、明日の決勝に照準を合わせている。この歴史的なポールポジションを、サラ、ミシェル(・ガッティン)、ラヘル(・フレイ)が、明日は素晴らしい結果へと変えることができると、私は信じている」