7月30日、ポルシェ・モータースポーツは来年、カスタマーチームとともにグローバル競争に参入する新型GT3マシン『ポルシェ911 GT3 R』を正式発表し、その技術的な詳細を公開した。
最新のポルシェ911 GT3 Rは、992世代の『ポルシェ911』ロードゴーイングモデルがベースとなっている。ドイツのメーカーによると、この新型GT3カーの主要なフォーカスエリアは、“パワーの向上、洗練されたエアロダイナミクス、バランスの最適化”であるという。
ポルシェは先月、スパ・フランコルシャンで今年4月に行われたテスト中に撮影された“タイプ992”GT3マシンの最初の画像を公開し、この週末には同地で開催されている『トタルエナジーズ・スパ24時間』において、初めてこの車両を一般公開している。
新型911 GT3 Rは、2019年型の先代モデルと比べてエンジンの排気量が大きくなっており、“タイプ991.2”の4.0リットルを上回る4.2リットル(4194cc)となった。出力は416kW(565PS)とされている。
エンジンの容量が5%増加したことについて、ポルシェは「異なるBoP分類に対応するために、より大きなリザーブを利用する」という目標を達成することを期待している。また、同ブランドはアマチュアドライバーに「より適した」ものとするため、エンジンの回転域の全体にわたってトルクとパワーのカーブを最適化したと述べている。
スパ・フランコルシャン、ニュルブルクリンク、デイトナでの24時間レースをはじめ、いくつかの主要な耐久イベントで優勝している2019年モデルと同様に、新型GT3カーのエンジンは4バルブテクノロジーと直噴燃料を採用したリヤマウントの水冷フラット6ボクサーが採用された。
しかし、リヤディフューザーのスペースを確保するため、エンジンは前方に5.5度傾けられている。さらに、オルタネーターとエアコン・コンプレッサーを移動させ、エンジンとギアボックスの前方かつ車両の低い位置に配置したという。
搭載されるシーケンシャル6速ギアボックスは、992世代の現行911 GT3カップカーに由来するものだ。
ポルシェ 911 GT3 Rプロジェクトマネージャーのセバスチャン・ゴルツは、「私たちは、先代モデルで、とてつもなく大きな成功を収めた。そのため、後継モデルに対するハードルは高くなった」と語った。
「私たちの課題は新しい911 GT3 Rをさらに速くすることではなかった。BoPによって設定されたパフォーマンス・ウインドウ内での分類が、この利点をすぐに打ち消してしまうからだ」
「我々にとっては顧客がレーシングカーをより長く、速く走らせることができるようにすることが第一だった。そのためには耐久性が必要となる。また、ドライバビリティの向上に重点を置いた」
「これは新しい4.2リットルエンジンの広い使用可能回転域、より安定したエアロダイナミクス、リヤタイヤへの負荷低減に反映されており、その潜在能力をより長く持たせることができるようになっている」