アウディ、LMDhプログラム中止を正式発表。2022年3月、テストデビュー寸前で中断表明か

　2026年からのF1プログラム開始をアナウンスしたアウディスポーツは、2022年3月より保留していたLMDhプロジェクトの中止を公式に発表した。

　アウディは2020年11月、フォーミュラE世界選手権からの撤退発表と同時に、LMDh規定の車両を開発してスポーツカーレースに復帰すると表明。しかしその後、F1参戦プログラムが現実味を帯びてくるなかで、2022年3月にはLMDhプログラムを「今後2〜3カ月、保留する」と明らかにしていたが、その後はとくにアナウンスがない状態が続いていた。

　3月以降、アウディの動きが不透明となるなかで、LMDhにおけるファクトリープログラムのパートナー候補であったチームWRTはアウディとの関係を解消し、代わってBMWと契約。2024年からWEC世界耐久選手権におけるファクトリー活動を行うと発表するに至っていた。

　さらにアウディのファクトリードライバーとして3度のDTMドイツ・ツーリングカー選手権タイトルを獲得したレネ・ラストも、WRTの動きと合わせるかのようにBMW陣営への移籍を発表している。

　アウディは8月26日、2026年からエンジンサプライヤーとしてF1世界選手権に進出する計画を正式に発表した。そして同時にLMDhプログラムの中止も表明し、数カ月にわたる憶測に終止符を打った。

「アウディスポーツはF1プロジェクトのために力を結集し、その結果、LMDhプロジェクトを中止することになった。モータースポーツ部門は最近、耐久レース用のスポーツカーの開発を中断していた」とその声明には記されている。

　ポルシェ963と同じく、マルチマチックをベースシャシーとする予定だったアウディのLMDh車両は、プログラム中断発表の段階で、トラックテストの開始まであと数週間というところまで来ていたものと、Sportscar365は理解している。

　一方でアウディは、スポーツカーレースにおいてGT2、GT3、GT4、TCRの各カテゴリーの車両の提供を継続することで、カスタマー・レーシングへのコミットメントを強化している。