レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.09.10 18:36
更新日: 2022.09.12 01:18

プジョー9X8のフロントバルクヘッド&リヤから覗くプルロッド【WEC富士テクニカルウォッチ2】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | プジョー9X8のフロントバルクヘッド&リヤから覗くプルロッド【WEC富士テクニカルウォッチ2】

 静岡県の富士スピードウェイで開幕した2022年WEC世界耐久選手権第5戦『富士6時間レース』。日本初登場となるトヨタのGR010ハイブリッド、そしてプジョー9X8といったマシンを中心に、技術的な見どころも多い一戦となっています。

 そんなイベントを、メカ好きライターの世良耕太氏が逃すはずがありません。コロナ禍によりここ3年はル・マン取材からも遠ざかっている世良氏は、このイベントを待ちに待っていたひとり。編集部ではそんな世良氏を走行前日・木曜日のピットロードへと“派遣”しました。そこで自由に集めてもらったネタを提供いただいたところ……“獲れ(撮れ)高”が多すぎて急きょ2回に分けて掲載することに。

 先日お届けした第1弾に続き、この第2弾ではプジョー以外のマシンも……と予定していたら、ほぼほぼプジョーのネタになってしまいました。それだけ、見どころが多いマシンということで……。

* * * * * *

 さっそくですが、もったいぶって先送りにしていたプジョー9X8のフロントバルクヘッドを見てみましょう。

 一見すると、左右のプッシュロッドが両方とも同じ向きの動き(同相)のときは左右のロッカーアームで挟んだヒーブユニットが作動して動きを制御し、左右のプッシュロッドが反対の向き(逆相。片方は縮み側、もう片方は伸び側)に動くときはロールダンパーが機能する構成に見えます。

 ヒーブとロールを独立して制御するコンセプトで、ユニットのレイアウトは異なりますが、ポルシェ919ハイブリッド(〜2017年)が同様のコンセプトを採用していました。

 バルクヘッド前面には油圧パワーアシストのステアリングが搭載されています。その下側にはBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ=協調回生ブレーキ)用のユニット類が集積しているよう。ブレーキ液圧の昇圧に使うモーター(?)と勘ぐりたくなる物も確認できます。

 TOYOTA GAZOO Racing・GR010ハイブリッドのフロントバルクヘッドも見てみましょう。正面から捉えるのが理想なのですが、こればかりはタイミング次第なので仕方ありません(と、いさぎよく諦めます)。

 おもしろいレイアウトを採用してきたプジョーに対し、トヨタはオーソドックスなレイアウトで手堅くまとめてきた印象。手前から、ヒーブスプリング&ダンパー、左右それぞれのロールダンパー、最奥がアンチロールバーの構成に見えます。

 プジョー9X8のリヤ見上げです。どのクルマもたいてい似たようなアングルで撮っていますが、このカットを撮影している筆者の様子を端から見ると、変態にしか見えないようです(違います)。ディフューザーとリヤカウルの間に大きな空間がありますね。そこを覗いてみると……。

 すべてがクリアというわけではありませんが、銅色をしたドライブシャフトの向こう(車両前方側)に左斜め下に傾斜する棒が見えます。プルロッド、なんですね。

 角度を変えて見てみましょう。ドライブシャフトの根元にある白い円筒状の物体はFIA/ACO指定のトルクセンサー。ギヤボックスケースはアルミ鋳物のようですが、デフケースはアルミ削り出しに見えます。

 パドックを歩いていると、あちこちで燃料の入ったドラム缶に出くわします。2018-2019年スーパーシーズンから、トタル(現トタルエナジーズ)が参戦全車に燃料を供給しています。2021年まではガソリンにエタノールを20%混合したE20を使用していました。2022年シーズンからは、『エクセリゥム・レーシング100(Excellium Racing 100)』の名称を持つ100%リニューアブルフューエル(再生可能燃料)に切り替わっています。バイオエタノールをベースに生成した合成燃料のようです。

 エクセリゥム・レーシング100に切り替わったのに合わせ、缶のデザインも変わっています。今シーズンから導入されたので、当然、日本初上陸です。

 富士スピードウェイのコース図も描いてあります。となりはル・マン24時間サーキットでしょうか。

 プジョー・トタルエナジーズのメカニックが、ドラム缶からピットのタンクに燃料を移し替えていました。200L入りのドラム缶に151kg入っていると記してあったので、与えられた数字から計算すると、比重は0.755ということになります。

 しかし、ヘルメットの色がいいですね。真っ黄色ではなく、少し緑がかっているところがおしゃれです。

プジョー・トタルエナジーズのプジョー9X8 2022年WEC第5戦富士
プジョー・トタルエナジーズのプジョー9X8 2022年WEC第5戦富士


関連のニュース