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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.09.13 11:58

“一方通行”だったウイナーの無線。暑さで分かれたタイヤ選択とその結末etc.【WEC富士決勝日Topics2】

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ル・マン/WEC | “一方通行”だったウイナーの無線。暑さで分かれたタイヤ選択とその結末etc.【WEC富士決勝日Topics2】

 9月11日、富士スピードウェイで行われたWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースは、トヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)の勝利により、幕を閉じた。

 これでトヨタは富士で開催されたWEC9レース中、8戦で勝利を納めたことになる。また、トヨタが地元・富士でワン・ツーを飾るのは、4回連続のことである。

■前回の“フル・グリーン”レースも富士
 この勝利により、8号車の3人はアルピーヌ・エルフ・チームのニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール/アンドレ・ネグラオ組36号車に、121ポイントと同点で並ぶことになった。

 なお、ともに今季2勝を挙げているものの、2位の回数で上回るトヨタ8号車の3人が、ランキング上は首位という扱いになっている。

 今回のレースはセーフティカーやフルコースイエローによる競技中断なしに行われた。これは、2016年の富士戦以来の“フルグリーン”のWEC戦となった。2016年の富士では、トヨタがアウディを1.4秒差で下している。2016年の優勝車両の周回数は244周だったが、今回の優勝車両は232周と、同じグリーン下でも12周の差がついた。

2022年WEC第5戦富士で総合優勝し、ピットロードを逆走してパルクフェルメに向かう8号車トヨタGR010ハイブリッド
2022年WEC第5戦富士で総合優勝し、ピットロードを逆走してパルクフェルメに向かう8号車トヨタGR010ハイブリッド

■「トヨタと戦うペースはなかった」アルピーヌ
 トヨタのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、トヨタと他のハイパーカーとのペース差は、最終的についた2ラップのマージンよりも近いと感じたという。

「我々のベストカーである8号車と、ベストのプジョー、アルピーヌを比較すると、純粋な性能差はコンマ2~3秒だ」とバセロン。

「最大の違いは、タイヤマネージメントだ。最初のスティントでは、我々はそれほど速くはない。だが、ダブル・スティントに入ると、かなり速かった」

 バセロンはまた、効果的なトラフィック・マネジメントと迅速なピットストップも、トヨタのワン・ツーが達成された要因のひとつであると述べている。

富士スピードウェイのセクター3を走る8号車トヨタGR010ハイブリッド
富士スピードウェイのセクター3を走る8号車トヨタGR010ハイブリッド

 アルピーヌのチーム代表であるフィリップ・シノーは、FCYとセーフティカーがなかったため、「戦略的に差をつけるのは難しかった」と振り返っている。

「コース上でのアクションがなかったことによるフラストレーションはあったものの、このレースは我々が予期した通りのものだった。トヨタのホームコースで、トヨタに挑戦するのは難しいと思っていたんだ」

 ドライバーのバキシビエールも、「総合的にみて、(トヨタと)戦うのは難しかった」と語った。

「確かに、彼らと戦うためのペースはなかった。このレースには満足していないが、バーレーンに同ポイントで向かえるのは素晴らしいことだ」

トヨタから2周おくれで3位フィニッシュしたアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン陣営
トヨタから2周おくれで3位フィニッシュしたアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン陣営

■リタイアはわずかに1台。4脱でペナルティの4台
 今回の6時間レースはとてもクリーンなレースとなり、出走した36台中、リタイアは1台のみだった。

 LMGTEアマクラスの77号車デンプシー・プロトン・レーシングのポルシェ911 RSR-19は、セバスチャン・プリオールのドライブ中にドライブシャフトに不具合を起こしたため、リタイアとなった。

 プジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8は、累積デプロイエネルギーの許容量を超えたとして、60秒間のストップ&ホールドペナルティを科せられた。

 プジョーには、富士でのスティントの最大エネルギー許容量として909MJが与えられていた。エネルギー消費量は、ドライブシャフトのトルクセンサーからの情報をもとに計算されている。

 91号車ポルシェ911 RSR-19、64号車シボレーコルベットC8.R、GTE-Amクラスのアイアン・リンクスとスピリット・オブ・レースのフェラーリ488 GTE Evoの4台には、トラックリミット違反によるドライブスルーペナルティが科せられている。

コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R
コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R

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この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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