更新日: 2022.11.14 11:45
トヨタGR010ハイブリッドで女性ドライバーが初走行。新人最速はプジョー9X8の19歳/WECルーキーテスト
11月13日、WEC世界耐久選手権の最終戦翌日に、恒例の『ルーキーテスト』が行われた。
シリーズが推薦する4人の選手のひとりである、女性ドライバーのリル・ワドゥがトヨタGR010ハイブリッドを初ドライブしたほか、今回積極的に新人を登用しているプジョー陣営からエントリーしたマルテ・ヤコブセンが、ルーキーの中でのトップタイムをマークしている。
■「ハイブリッドに慣れるのに時間がかかった」とワドゥ
WECのルーキーテストでは、目立った成績や印象的な走りをしたドライバーがシリーズからの推薦を受け、WECにエントリーする4クラスから各1台の車両をドライブする機会が与えられる。今年、この機会を与えられたのは上位クラスから順に、リル・ワドゥ、ドリアーヌ・パン、ロレンツォ・コロンボ、フィン・ゲアジッツの4名だ。
このほか、WECのスポーティング規則の範囲内で、各チームがシリーズ外のさまざまなドライバーを起用することが可能となっていることに加え、すでにシーズンに参戦しているドライバーがステアリングを握ることもできるようになっている。昨年はトヨタがWRC王者のセバスチャン・オジエを起用し、話題を呼んだ。
テスト前日に更新されたエントリーリストには、最終的に4クラス21台の車両が記載された。
午前2時間、午後3時間にわたってバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた2回のセッションを通じ、実際にタイムを計測したのは合計45名。
ドライバー別ベストタイムを見てみると、最速タイムを出したのはトヨタGAZOO Racing7号車GR010ハイブリッドをドライブした、ホセ・マリア・ロペスだった。レギュラードライバーのロペスが出したこの1分48秒812というタイムが、ハイパーカークラスにおけるひとつの基準となった。
ハイパーカークラスではワドゥのほか、プジョー・トタルエナジーズから3名のルーキーがエントリーしたが、このなかでの最速タイムをマークしたのは、94号車プジョー9X8をドライブしたマルテ・ヤコブセンだった。ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでLMP3チャンピオンに輝いたばかりの彼は、55周を走り、1分50秒222を記録している。
ヤコブセンはデンマーク籍の19歳。プジョーからは FIAフォーミュラE世界選手権のドライバーであるマキシミリアン・ギュンターと、プジョーのシムドライバーを務める2度のFIA WTCR王者ヤン・エイラッシャーもプジョー9X8で走行したが、ヤコブセンのタイムを上回ることはできなかった。
今季LMP2のリシャール・ミル・レーシングチームからWECに参戦していたワドゥは、午前のセッションでトヨタ8号車を33周にわたってドライブし、1分50秒953という自己ベストを記録している。これは、ギュンターおよびエイラッシャーを上回るタイムであった。なお、ワドゥは午後のセッションではLMGTEアマクラスのフェラーリにも乗り込んでいる。
ハイパーカーのドライブを終え、ワドゥは「GR010ハイブリッドの速さは印象的だった」とWEC公式サイトにコメントしている。
「LMP2マシンとは重さが違うし、ドライビングも違うから。今回のテストでは多くのことを学んだ。とくハイブリッド・システムは私にとって非常に新しいもので、慣れるのに時間がかかった。このような車を運転することは私にとって夢であり、将来はハイパーカーでレースをしてみたい」
LMP2クラスからエントリーしたルーキードライバーのなかでは、ユナイテッド・オートスポーツ23号車オレカ07・ギブソンのガーネット・パターソンが最速となった。
パターソンはFIA F2ドライバーのオリ・コルドウェルや、ジュニア・オープンホイールドライバーのフレデリック・ルビンらを上回ることとなった。
WEC推薦ドライバーのパンは、LMP2チャンピオンである38号車のJOTAオレカで31周し、パターソンにコンマ2秒差まで迫るベストタイムを叩き出している。
LMP2クラスの全体最速タイムを出したのは、ランボルギーニ・ワールドファイナルズ・プロの新チャンピオンであるネルソン・ピケJr.だった。ピケJr.はユナイテッドの22号車を駆り、土曜日のバーレーン8時間でGTEプロクラス初優勝を果たしたフェラーリ・ファクトリー・ドライバーのアントニオ・フオコを抑えてクラス最速となった。
LMGTEプロでは、WEC推薦ドライバーのコロンボが駆るAFコルセ52号車フェラーリ488 GTE Evoが首位に。コルベット・レーシングの64号車シボレーコルベットC8.Rをドライブしたアクシル・ジェフリーズは、わずか0.001秒及ばすに終わっている。
LMGTEアマクラスでは、マキシム・ウーステンがチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェ911 RSR-19でルーキー最速を記録。ゲアジッツのほか、インディ・ドンティエ、パトリック・ギャラガー、ライアン・ハードウィックなど多くのドライバーがさまざまなマシンで周回を重ねました。
午後のセッションは序盤に2度の赤旗中断があった。アルガルベ・プロ・レーシング45号車オレカがコース上でストップしたためであった。また、ユナイテッド・オートスポーツ23号車のヤセル・シャヒンも、午前中のセッションでストップしている。