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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.11.23 10:13
更新日: 2023.09.13 12:26

WECハイパーカー3連覇を目指すトヨタの懸念。新しいライバルに対し「後手に回っている」と技術責任者

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ル・マン/WEC | WECハイパーカー3連覇を目指すトヨタの懸念。新しいライバルに対し「後手に回っている」と技術責任者

 TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、日本のメーカーがWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するライバルメーカーに比べ、自分たちはテストの面で「後手に回っている」と考えている。

 昨シーズンに続き2022年もダブルチャンピオンを獲得したトヨタは、2023年に『トヨタGR010ハイブリッド』で3年目のシーズンを迎える予定だ。その来シーズンはLMDhカーでファクトリープログラムを行うポルシェとキャデラック、そして、先月発表された新型LMH規定車『499P』でプロトタイプレースに復帰するフェラーリと競争を繰り広げることになる。

 これら3つのニューカマーはすでに、2023年シーズンに向けた重要なテストを実施済み。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは36時間テストを、『キャデラックV-LMDh』を走らせるチップ・ガナッシ・レーシングは24時間の耐久テストを実施している。

 フェラーリはまだ長距離の耐久テストを行っていないが、バセロンはイタリアのメーカーの進歩にも感銘を受けている。

「見た目もよく、2台のクルマで多くのテストしているのは印象的だ」と、彼はSportscar365に語った。

「一方、我々は4月以来、(ル・マンとバーレーンの)公式テストを除いてはテストをしていないため、正しいレベルに達していないように思える」

「他のチームが多額の予算を投じて多くのテストを行っているのに比べると、私たちは今は少し後手に回っている」

■参戦初年度はテストに“制限なし”

 トヨタは来年、エボジョーカーを用いて既存のLMHマシンを“微妙に”進化させる予定だ。バセロンは「それほど(新しい)テストはない」としながらも、ハイパーカーメーカーがフル参戦1年目のシーズンに無制限のテストを行うことに疑問を呈している。

 この規定は現在、プジョーにも適用されている。フランスのメーカーは今年7月、第4戦モンツァ6時間レースで“ウイングレス”の新型ハイパーカー『プジョー9X8』をデビューさせた。

 一方、トヨタはハイパーカー競技規則により今年のテスト日数は20日に制限されているが、これは2023年に向けての議論の対象となったものと理解されている。

 バセロンは、今年のテスト日数を明かさなかったが、予算上の理由から「割り当てからはほど遠い」ことを認めた。

 同氏は来年のテスト規定について「まだ議論している最中だ」と述べた。「我々としては、テスト期間が非常に長くなることを少し心配している。だが、まだ確定していない」

「もちろん、このカテゴリーの精神である、低コストでの競争を可能にするようなレギュレーションであることを強く望んでいる」

「もし、レギュレーションが膨大なテスト日数を許すのであれば、テストチームが必要になる。それは、また別のレベルの予算だ。今のところ、私たちはひとつのレースチームで活動しておりそれだけだ。レースチームができることをやるしかない」

WECハイパーカークラス2連覇を達成したトヨタGR010ハイブリッド
WECハイパーカークラス2連覇を達成したトヨタGR010ハイブリッド

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この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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