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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.11.24 10:26
更新日: 2022.11.24 10:36

女性ドライバー中心に参戦してきたリシャール・ミル・レーシングが活動停止「もはやその地位を疑う余地はない」

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ル・マン/WEC | 女性ドライバー中心に参戦してきたリシャール・ミル・レーシングが活動停止「もはやその地位を疑う余地はない」

 WEC世界耐久選手権に参戦するリシャール・ミル・レーシング・チームが、活動を停止することを明らかにした。

 シグナテックが運営し、スイスの時計メーカーであるリシャール・ミルが出資していたフランスのこのチームは、女性レーシングドライバーに対し機会を提供してきたが、2023年のWECには参戦しない。

 2019年末に設立されたチームは、2020年にELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦を開始。2021年にはWECのLMP2カテゴリーにオール女性ドライバーラインアップで参戦した。

 2022年のWECでは、男女混合のドライバー編成を採用。8度の世界ラリー王者に輝いたセバスチャン・オジエを走らせたほか、アルピーヌのシングルメイクを卒業した女性ドライバー、リル・ワドゥを起用した。彼女は先日のルーキーテストでトヨタGR010ハイブリッドのドライブに臨んだのも記憶に新しい。

 チームにとっての最後のレースは、ワドゥ/ポール・ループ・シャタン/シャルル・ミレッシが8位入賞を果たした2022年最終戦バーレーン8時間レースとなった。

 リシャール・ミル・レーシング・チームプロジェクト責任者のアマンダ・ミルは、「リシャール・ミル・レーシング・チームを設立した当初の目的は、強いインパクトを与え、女性ドライバーにチャンスがないことを強調することだった」と述べている。

「全員を女性で構成し、彼女たちをモーターレースの最高峰に導くことが目標だった」

「決して男性に劣ることのない我々のアプローチとパフォーマンスは、偏見に挑戦するものだった。そして、ドライバーの声に耳を傾けながら、少しずつプロジェクトを進めていった」

「彼女たちは皆、男性からチームを組みたいと言われた日が、この世界で成功することだと言っている」

「今年は、優秀で熱心なドライバーが集まってくれたので、成功することができた。リル・ワドゥ、シャルル・ミレッシ、セバスチャン・オジエ、そして(オジエの代わりを務めた)ポール・ループ・シャタンというメンバーだ」

2022年のル・マン24時間にリシャール・ミル・レーシングチームから参戦したシャルル・ミレッシ、セバスチャン・オジエ、リル・ワドゥ
2022年のル・マン24時間にリシャール・ミル・レーシングチームから参戦したシャルル・ミレッシ、セバスチャン・オジエ、リル・ワドゥ

 シグナテックは来季、2台のオレカ07・ギブソンをLMP2クラスで走らせることになっている。これまでLMP1車両でハイパーカークラスに参戦してきたアルピーヌのオペレーションも担っていたシグナテックは、2024年にデビューするアルピーヌLMDhとの橋渡しのシーズンとなる2023年、LMP2に参戦するのだ。

 シグナテックのチームボスであるフィリップ・シノーは今月初め、チームはリシャール・ミルのプロジェクトを継続したいが、来年走らせるのが2台か3台かについて協議中であると述べていた。

「この冒険を勇気づけてくれたリシャール・ミルと、チーム全体に心から感謝したい」とシノーは語った。

「スポーツ的にも人間的にも素晴らしい機会であり、それに参加できたことを我々は光栄に思う」

「我々のスポーツにおける女性の地位については、もはや疑う余地がない。我々の副CEOであるジュゼッペ・ビゾカが好んで思い出すように、2020年に負傷したキャサリン・レッグの後任を拒否するドライバーもいた。今日、そのうちの何人かは、我々に加わりたいと連絡をしてくるようになったのだ」

「このことは、女性がようやく一人前のレーサーとして認められるようになったことを示している」

「最後に、アルピーヌA110カップからステップし、わずか1年でルーキーテストでのハイパーカー・クラス走行に辿り着いたリルのように、我々の弟子たちがキャリアアップしていく姿を見られたことを誇りに思っている」

「これは強いメッセージであり、リシャール・ミルと彼のチームの勇気と決断のおかげで、彼女たちに最高の環境を提供できたという事実を補完するものでもある」

 2020年、デビューイヤーとなったリシャール・ミル・レーシング・チームは、ELMSでランキング10位。開幕戦ポール・リカールでの5位が最高成績だった。

 また、同年のル・マンでは、LMP2クラスでタチアナ・カルデロン、ソフィア・フローシュ、ベイスク・フィッセールを起用し、ル・マンで初めてオール女性ドライバーラインアップを採用したチームとなった。

ル・マン24時間レースに参戦しクラス7位となったタチアナ・カルデロン/ベイスク・フィッセール/ソフィア・フローシュ組
2020年ル・マン24時間レースに参戦しクラス7位となったタチアナ・カルデロン/ベイスク・フィッセール/ソフィア・フローシュ組

 2021年、リシャール・ミル・レーシング・チームは同じメンバーでWECに参戦し、LMP2クラスでランキング9位となった。

 2022年はラリー界のスター、オジエとELMSチャンピオンのミレッシという新ドライバーを迎え、台数が増えたクラスで同じくランキング9位を獲得している。

 今季のWECでのハイライトはル・マンでの9位入賞で、その後オジエはプログラムを離れ、シャタンが新たに加入していた。

「毎年、新しいレベルに到達している」とミルは言う。

「我々のパフォーマンスは、多くのことを証明することを可能にした。 女性ドライバーの可能性に目を向け、志を同じくする人々のサポートを得られたことは幸運だった。我々のプログラムに参加したいという要望は、ますます増えてきた」

「この成功は、シグナテックとすべてのドライバー、エンジニア、技術者、メカニックたちのおかげだ」


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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