スポーツカーレース“黄金時代”の到来が期待される2023年シーズンに向け、その一翼を担うLMDhカーのデビューに先駆けたIMSA公認テストが12月6~7日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われる。すでにポルシェ、アキュラ、BMW、キャデラックの各陣営が新型マシンの発表やテストを実施しているが、これらが一堂に会するのは今回のテストが初めてとなる。そんなGTPデイトナテストの月曜のパドックから、各種トピックスをお届けする。
■9台のLMDhカーと新型GT3カーが登場
***2023年1月28~29日に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』に参戦する予定である計9台のLMDhカーが、12月6日から2日間、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで実施されるIMSA公認テストに参加する。
***2017年から2021年まで続いたDPiクラスに代わって、新たに最高峰カテゴリーとして設けられたGTPのフィールドには、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの『ポルシェ963』が2台、BMW MチームRLLの『BMW MハイブリッドV8』が2台、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)とウェイン・テイラーレーシング(WTR)の『アキュラARX-06』各1台、『キャデラックV-LMDh』は計3台で内2台はチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)が、もう1台はアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が走らせる。
***テスト前日となる5日(月)午後には、2023年のIMSA GTPクラスに参戦するほぼすべてのドライバーがガレージエリアで目撃された。特筆すべきは、ウェザーテック選手権のドライバーラインナップをまだ発表していない唯一のチームであるポルシェ・ペンスキーで、デーン・キャメロン、フェリペ・ナッセ、マット・キャンベル、マシュー・ジャミネ、マイケル・クリステンセン、ニック・タンディがテストに参加している点だ。
***今週のテストはLMDhの全メーカーと、GT3仕様の新車またはアップグレードされたマシンが参加することが義務付けられている。AFコルセは新車の『フェラーリ296 GT3』、パフ・モータースポーツは新型『ポルシェ911 GT3 R』、アイアン・リンクスは『ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2』でテストに臨む。
■GTPとLMP2のバランスの調査も実施
***ファクトリー所有のランボルギーニのシャシーはアンドレア・カルダレッリがテストを担当し、GTDクラスのカラーアイコンである“グリーン”のゼッケンを付けた21号車AFコルセ・フェラーリにはトニ・バイランダーの名が記されている。パフは今週、2023年プログラムに参加する3人のドライバーのうち、クラウス・バクラーのみがチェック柄のポルシェで周回を重ねる予定だ。
***IMSAテクニカルディレクターのマット・クルドックによると、IMSAはGTPとLMP2クラスの層別化に関わる「所定のテスト計画」のために、3つのLMP2チーム(タワー・モータースポーツ、PR1/マティアセン・モータースポーツ、TDSレーシング)を招待しているという。
***Sportscar365は、LMP2チームに“パフォーマンス・ガイドライン”が提示されていることを理解している。各車は定められたパフォーマンス・ウインドウ内に収まるよう、わずかなバリエーションで走行することになるという。これにはパワーレベルの減少や空力的な改良が含まれるとみられるが、マシンは2022年シーズンと同じミシュランタイヤで走行する。
***LMP2クラスでは2023年のタイヤ割り当てが減るという話もあり、近年のWEC世界耐久選手権やELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズで見られるような、レース中のタイヤのダブルスティントやトリプルスティントがチームに強いられる可能性がある。