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投稿日: 2023.06.06 22:09

開かずのプレスルーム。シャッターを押すドクター・ウー【2023ル・マン日報4】


ル・マン/WEC | 開かずのプレスルーム。シャッターを押すドクター・ウー【2023ル・マン日報4】

 100周年イヤーを迎えたル・マン24時間レース。現地の興奮と熱狂をお伝えすべく、編集部ナカノが4年ぶりにフランスへと飛んでおります。このコーナーでは、現地の様子をこぼれネタ含め取材日記風にお届け。6月4日(日)は、いよいよテストデーが開催れ、62台がサルト・サーキットで走行を開始しました。その裏側を伝えてもらいましょう。

■6月4日:大仕事は全車撮り……の前にひと苦労

 さて、この日はサーキットへの初出勤日。今年はいろいろと事情があり、プレスルームの座席の確保がこの日の朝からしかできない、ということで、6時30分のオープン時間に間に合うようにサーキットへ早出。関係者駐車場はフォードシケイン外側の一般道の向こう側、ル・マン=アルナージュ空港との間のスペースです。ちょうど駐車場に到着した頃、陽が登り始めましたよ。

 7〜8分ほど歩いてピットビルへ。プレスルームはピットビルの2階(日本風にいうと3階)。階段が結構しんどいです。朝日が目に沁みますねぇ。

 固く閉ざされたプレスルーム(メディアセンター)の扉。予感はしておりましたが、6時30分になっても開きません。「ウェルカム」の文字が虚しく輝きます。

 オンタイムで列をなしたメディアは10名ちょっと。今年はサポートレースがテストデーに組み込まれ、その走行が8時からということで、焦っている方もいらっしゃいます。

 6時40分頃、“開場待ち”の列は15名以上へと増加。ここに至るまで、プレス受付でも、フォトグラファータバードの受け取りでも、さんざん待っているので、私もこの程度は想定内。ル・マンは忍耐力(エンデュランス)を鍛える場であります。

 6時45分すぎ、ようやく開場〜。まぁじつはそこからも席の指定/確保にプレスルーム内でさらに待たさ……待つのであります。この列、数時間後にはさらに伸びておりまして、セッション開始に間に合わないメディアが続出します。

 7時過ぎ、ようやく席を確保しまして、いざ“築城”。まだ人も少なく、集中して仕事をすることができました。

 10時のセッション開始に合わせ、カメラマンさんと1コーナーへ移動します。我々の任務はいわゆる“全車撮り”。カメラマンさんの隣でエントリーリストを構え、撮影できた車両をチェックしていきます。20分ほどで61台を撮影し終えましたが、残る1台がなかなか来ないと思ったら……。

 ピットではこんなことがあったようです。その後、無事に撮影できてひと安心。クラスごとに掲載しておりますので、どうぞご覧になってみてください。

 撮影していたのは、このグッドイヤースタンドのすぐ前。テストデーとは思えないほど多くの観客が詰めかけていました。1周目にマシンが通り過ぎると、大きな歓声と拍手も。盛り上がり方がすごいです。レースはどうなってしまうのでしょう。

 ふと見ると、カメラを構える観客の皆様も。日本で見慣れた光景に、どこか懐かしさも覚えます。“定番スポット”には、こうして自然発生的な(?)カメラホールも開いているようです。

 それにしてもNASCARがル・マンを走るなんて。目の前を通るたびに、不思議な感覚でした。タイムもGTE勢より速く、なかなか見応えがありますし、何よりV8サウンドが最高にシビれます。

 コースのインサイド側にも移動し、少し撮影。これは1コーナーのシケインを左に曲がってその次の右へと向かっているところ。この撮影ポイントは今年、キャッチフェンスができ、ホールからしか撮れなくなってしまいました。

 パドックへ戻ろうとすると、ピットロードエンドにフレデリック・ソーセさんの姿が。オフィシャルさんたちと談笑されてました。それにしてもカッコいい車椅子ですねぇ。

 ピット裏をメディアセンターに向かって歩いていると、フェラーリのピット裏で記念撮影をするお偉方の姿が。

 シャッターを押しているのは、なんとドクター・ウーことウォルフガング・ウルリッヒさんではないですか。100周年のル・マン、テストデーからVIPの皆さんもたくさん来場されていますね。

 さてプレスルームに戻ると、ちょっとした事件が。タイミングモニターが、ベストラップ順に並んでおらず、決勝仕様になっているのです(つまり、周回数が多い車が上)。ラップタイムも直前のものしか表示されず、各車のベストタイムが把握できない事態に。チームも相当混乱していたようです。

 というわけでその後はプレスルームでお仕事に没頭。午後のセッション終わり、ドライバーたちのコメントを取るべく、トヨタ広報スタッフの「終了5分前にピット裏に来て」との言葉通り、セッション終了を待機します。18時30分のル・マンは、まだまだ陽も高く暑いですが、湿度が低いのでその点は快適です。あ、マイク・コンウェイ選手が下りてきましたね。

 セッション終了15分後にはデブリーフィングが開始されるとのことで、そこまでのわずかな“隙間時間”をメディア対応に割いてくれます。こちらは囲まれるパスカル・バセロンテクニカルディレクター。話題はBoP変更の件がメイン。このあと、ドライバーたちを待ちましたが、残念ながら取材はできず。中嶋一貴副会長には話を聞くことができました。

 この日のプレスルーム閉鎖時刻は20時。朝とは異なり、10分くらい前から「そろそろお時間ですよ」的な雰囲気がスタッフの皆様から漂ってきましたので、そそくさと荷物をまとめて撤収、残りの仕事は宿へ持ち帰ることに。フォードシケイン外側の関係者駐車場、歩道橋の上から見るとこんな感じ。左側がサーキット、右側が飛行場です。

 そんなわけでテストデーのセッションはあっという間に終了。午前、午後ともにセーフティカーが導入される時間がありましたが、今年の手順変更によって決勝でも終盤までアメリカのレースに近い接戦が演出されそうな気配もしております。それではまた次回、お会いしましょう!


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