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投稿日: 2017.10.23 12:22
更新日: 2017.10.23 12:27

「あとは自分でなんとかしてくる」ガスリーの強さと最後の国内会見。今季残り3つのF1参戦を明言

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スーパーフォーミュラ | 「あとは自分でなんとかしてくる」ガスリーの強さと最後の国内会見。今季残り3つのF1参戦を明言

 スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿、ランキング2位で最終決戦に臨んだピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)だったが、荒天による決勝レース中止のためタイトル争いに終止符を打たれてしまった。しかし、来季はホンダ製パワーユニット(PU)でF1を走ることが濃厚とされる彼にとって1シーズンの日本留学は価値あるものとなり、同時にチーム無限にとっても新鮮で貴重な経験をもたらしたようだ。

 決勝キャンセルが公式に通知されたのは、予選日の午後5時15分。その少し前、パドックのあちらこちらで「明日は中止だ」の声が関係者の間を駆け巡りはじめた頃、報道陣から取材対応を求められたガスリーは「状況が完全にハッキリしてからにしたい」との意をチームスタッフ経由で伝えてきた。

 そして“決着後”、彼は「明日レースができないことは残念だ」「石浦(宏明/P.MU/CERUMO · INGING)選手と最後まで戦って決着をつけたかった」「気持ちがまだ整理できていない」といった言葉を何度も口にした。

 「マシンの調子は良く、ポールポジションを争える手応えもあった」というだけに、8番手&6番手に終わって石浦との0.5点差を逆転できなかった予選結果を含めて、無念の思いは強かったようである。そして「雨ならレースではどんなことでも起き得る。互いの予選順位を考えても、レースが行なわれるならばタイトル争いはまだオープンな状況だった」と、逆転王座をあきらめてもいなかった。

 もちろん、ライバルである石浦の戴冠を祝福しつつのことで、残念がってはいても決してネガティブ感が極まるような口調ではなかったガスリーだが、「中止が完全に決まるまでは集中を切らせていなかった。明日はどういうレースをしようか、ずっと考えていた」という言葉からも、彼のスーパーフォーミュラ王座獲得にかける決意が腰掛け参戦レベルのそれでなかったことは明白。メディアが想像する以上に、ガスリーは来季F1トロロッソ・ホンダのレギュラー就任が濃厚視される身でありながら、日本留学の集大成をタイトルという結果にして表すことに執念を燃やしていたのである。

「石浦選手には本当に『おめでとう』と言いたい。素晴らしい選手と(選手権をかけて)戦えたことは誇らしく思う。スーパーフォーミュラへの参戦は僕にとってビッグチャレンジだった。異なるカルチャーのなか、しかも経験豊富で能力の高い選手たちと走ることで、レーサーとしてはもちろん、ひとりの人間としても成長できたと実感している」

 レッドブルJr.のひとりであるガスリーがスーパーフォーミュラにやってきた当初、彼が2018年にF1で走るとなった場合にそれがホンダ製PUで、という可能性はほとんどなかった。しかし運命とは時に不思議なアヤをつくるものである。彼の来季所属先として濃厚で、既に今季終盤のF1をともに戦ってもいるトロロッソが、来季のホンダ製PU搭載チームになっていようとは。半年前には想像できなかった展開だ。

 ガスリーはトロロッソ・ホンダ誕生の話が本格化した頃、「もし僕が来季F1を走れるなら、それはやはりトロロッソだろう。そこでホンダとの関係が続くならば、それはいいことだと思う。僕たちは何かを起こせるかもしれないね」と語っていた。また、鈴鹿の最後の会見では今季のこのあとの予定は? との質問に、「トロロッソで残り3戦のF1を戦う」とガスリーは明言。スーパーフォーミュラからF1へ、ガスリーは文字通り、巣立っていく。

日曜の決勝レースが荒天のため開催中止となり、土曜夜に行われた会見に出席したガスリー。悔しい気持ちを隠さなかった。


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