3月12-13日、鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラの合同テスト。1日目のテスト終了後に、B-Max Racing teamが今季のドライバーを発表した。千代勝正、30歳を超えるルーキーが誕生したのだ。
「5年前は必死にシートを探したのに、全然手が届かなかったのに。決まるときはあっさり決まるもんですね。」と、千代はなんとも微妙な表情で呟いていた。
ルーキーとしてスーパーフォーミュラのマシンに乗るとなれば、真っ先に気になるのが体力面だ。そのことをぶつけると、「『いつチャンスがあるかわからないから、準備だけはしておけ』って本山(哲)さんに言われていたので、なんとかなっています。でも、想像以上だったので全然、足りていませんけど(笑)」と、はにかむように教えてくれた。
今のスーパーフォーミュラは、ハイダウンフォースでコーナーが速い。コーナリングスピードだけみれば1年前のF1並だ。
同じルーキーでも松下信治や福住仁嶺、平川亮はGP2やLMP1でそのスピードを体感している。対して千代はキャリアのほとんどをGT系のレースで積んできた。彼にとっては、経験のないスピードでコーナーに飛び込まなければならないわけだ。
千代以外は、全員そのスピードを経験している。これは相当なハンデだろう。実際に初日は2〜3秒の単位でライバルたちから遅れていた。
それでも「こんなタイムでも、首とかヤバそうなんですよ。これでタイムが上がったら、どうなっちゃうんでしょうね」と語る表情は、新しい玩具を与えられた子供のように笑みが溢れていた。
今のスーパーフォーミュラマシンに乗るにあたり、ドライバーにとって大事な能力について聞くと誰もが同じように言葉を返す。ただ、B-Max Racing teamの監督となった本山が面白い話をしてくれた。
「たとえば、予選のタイム差が0.1秒だったとしても、レースが終わる頃には30秒、下手すれば1分近く差がつく。それは、その0.1秒をどう捉えるかなんだよね。本当に0.1秒しか差がないのか、実は大きな差があるのか。そこを見極められるセンスが大事なんだよ」と本山。