優勝&ポルポジション獲得候補筆頭だった石浦宏明(P.MU/CERUMO·INGING)、そしてタイトルを争う山本尚貴(TEAM MUGEN)の両者がまさかの予選Q2敗退となり、ランキングトップのニック・キャシディ(KONDO RACING)も5番手止まり。次々と有力候補が脱落して読めない展開となったスーパーフォーミュラ第6戦岡山の予選。その背景を振り返る。
今回の予選で最大の波乱は、この岡山を得意としている石浦のQ2敗退だった。石浦は金曜練習走行ではトップタイムをマークしており、タイヤの使用状況がよく見えない金曜の時点とはいえ、石浦はドライコンディションでの調子は悪くないことは間違いなく、この時点で優勝候補の筆頭に挙げられていた。
その石浦陣営の良い流れを寸断する形になったのが、予選日の雨だった。
もともと、今シーズンのヨコハマのウエットタイヤは、どのチームも走行データが少ない。ウエットでの走行時間も決勝が中止になった第2戦のオートポリスと、第4戦の富士でわずかに走行したのみで、どのチームもウエットのセットアップのデータが不足したままで今回の岡山を迎えることになったのだ。
マシンのウエットセットに確信がないまま、ドライバーも今季のウエットタイヤの使い方を手探りで把握しなければならない。週末に使えるウエットタイヤは4セットで、土曜日午前のフリー走行で1セット、または2セットを投入しなければならないが、当然、第2戦、第4戦のデータは季節もサーキットも違うため、セットアップだけでなくウオームアップ性などは実際のコンディションでドライバーが体感して決めなければならない。
予選Q1は雨が降るなかで行われ、石浦は6番手でQ1突破。だが、ここから状況が変わった。予選Q1セッション終盤から雨が上がりはじめ、Q2では雨は上がり、路面はウエットコンディションながらどんどん乾いていく方向になった。
石浦はこのQ2でニュータイヤを装着してコースインし、計測4周目にアタックしているが、「タイヤが全然、温まらなかった」と振り返っている。一方、このQ2セッションでトップタイムをマークした小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)は計測3周目にアタック。Q3でPPを獲得した関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も計測2周目と3周目に連続アタックを行い「3周目の後半はタイヤのタレを感じたので、Q3ではウォームアップを90パーセントくらいに抑えて、3周目のアタックに絞った」と会見で語っている。
4周走ってタイヤが温まり切らなかった石浦と、3周目でタイヤのタレがきた関口。石浦は「アタックはミスなく決められましたが、トップとは1.2秒くらいの差があった」と語っていることからも、ウエット時のクルマのセットアップがチームによって大きく異なっていたことが伺える。