大雨の影響で1時間近くスケジュールが遅れ、レーススタート後もセーフティカーラン、そして赤旗中断と、もやもやした雰囲気を文字どおり吹き飛ばした、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)のトップ争い。雨のなかの低グリップの中で抜きつ抜かれつ、ギリギリの接触でハイレベルな名バトルを繰り広げた関口と可夢偉だったが、その主導権を握っていたのは可夢偉の方だった。
赤旗中断後のローリングスタートで関口のアクセルオンにタイミングを合わせると、そこから水煙で前が見えないなか、ぴったりと関口の背後についてコースの3分の2近くを周回した可夢偉。最後はダブルヘアピンで並びかかり、ダブルヘアピンの出口でクロスラインを狙いに行き、関口のリヤのディフューザー部と接触してフロントノーズの先端を壊しながら、最終コーナーでインを奪ってオープニングラップでトップを奪った。
「最初はタイヤの温まりがいいというか、そのあと僕の方がタイヤがズルズルになったんですよ」とレースを振り返る可夢偉。
「ローリングスタートはタイミングがうまく合ったというわけではないです。どうすればいいかなといろいろ考えていました。関口の後ろにいるときは前は(水煙で)真っ白。アトウッドの進入で、あそこしかないなと思って行くしかなかった。案の定、ノーズが逝ってしまいましたが(苦笑)」
関口のディフューザーに接触した可夢偉のマシンはノーズの先端が壊れてめくり上がった状態に。ノーズの先端部は大きなダクトが空いたままの状態になってしまった。
「(ノーズを破損した影響は)データを見ないとわかりませんが、(体の)下の方がすごく涼しかったので非常にいいクーリングができたなということと(笑)、(ノーズがばたついていたので)うっとうしくて、すごく前が見にくかった。でも、走行に影響はなかったです」と会見で語った可夢偉。
マシンの影響も大きくなく、快調にトップをキープしていよいよスーパーフォーミュラ初優勝かと思われたレース終盤、残り10周あたりで福住仁嶺(TEAM MUGEN)とトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が最終コーナーで接触してディルマンがストップしたことで、2度目のセーフティカー(SC)が導入。可夢偉が築いたギャップは水泡となってしまった。
だが、タイヤの温まりは可夢偉の方がよく、ローリングスタートには関口に比べて可夢偉に歩がある。
「SC中はタイヤをクールダウンして、またっちょっとタイヤのグリップが戻って、3~4周目くらいから、タイヤのグリップがヤバイなと思っていたので、(再スタートで)ここで稼がなきゃ後半がしんどいと思ってプッシュしたら、行ってしまいました」