2019年シーズンのスーパーフォーミュラ開幕を目前に控え、トヨタとホンダの若手ドライバーの筆頭株ともいえる平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が、これまでのテストの手応えや、彼ら自身のキャリアに関わる“次のステップ”について語った。
トヨタとホンダという2大メーカーを代表する若手ドライバーである平川と牧野。第2回公式合同テストの午前のセッションを終えて記者会見に臨み、まずは鈴鹿で行われた第1回公式合同テストとこれまでの感触を振り返ったが、両者の手応えは分かれる形となったようだ。
平川は、現状について“まずまず”だと述べた。今年から使用する新シャシー『SF19』は、先代のSF14よりもタイヤの幅が広くなったが、平川はまだこのタイヤを活かしきれていない状況だという。
「さまざまなことを試していくなかで、良いこともありましたが、鈴鹿ではあまり手応えがありませんでした」
「今日も走り出しはあまり良くなかったのですが、この前のテストを踏まえていろいろなことを試して良い方向に行っているので、まずまずかなと思います。現状ではトップを狙える位置にはいません」
「(苦戦している)いちばん大きな要因はフロントタイヤが太くなったことで、タイヤをうまく活かしきれていません。基本的には昨年ベースでやっているのですが、それでは戦えないということがわかったので、セットアップとかドライビングに関していろいろなことを試しています」
一方、ルーキードライバーとしてスーパーフォーミュラに参戦する牧野は、ここまで順調に進んでいると話した。
「鈴鹿である程度の手応えを掴めました。今日は午前中にストップしてしまい、こういったトラブルもありますが順調です。チームメイトのアレックス(パロウ)も調子が良いので、雰囲気的に良いテストができていると思います」
「アレックスは、全体的にクルマの走らせ方がうまいんです。僕にとっては営業妨害ですよね(笑)。自分とはクルマの好みが違うし、セットアップも異なりますが、僕はまだうまくクルマを合わせ込めていません。アレックスの良いところを盗んでいきたいと思います」
2018年はFIA-F2に参戦していた牧野。そのF2とスーパーフォーミュラのクルマの違いについて、次のように語った。
「F2と比べると全く違う乗り物です。(SF19は)コーナーリングスピードも速いし、乗っていて楽しいけれど、そのぶんフィジカル的には結構きついです」
「F2のクルマは重くて、ピレリタイヤの使い方が難しいので50%の力で走らないと最後までタイヤが保たない。逆にスーパーフォーミュラはずっとプッシュできるし、クルマが軽いので動きがクイック。体にかかるGも違います」
そんな平川と牧野にも共通点があった。それは、両者のシート位置だ。平川も牧野も、SF19に合わせてマシンに直角に座っているというが、これでは目線が高くて乗りづらい状態だという。
「普通にシートを作ると、ステアリングとの距離が近すぎてしまうんです。このクルマに乗るために直角に座っているので、結構目線が高くて乗りづらい。ステアリングとの距離も近いんです」と平川。
「逆にスーパーGTに乗ったら、ステアリングが遠すぎるくらいです。自分好みのシートを作れていないですね。慣れだとは思いますが……」
「多少は体の疲れとか、痛みを感じる部分が変わってくることはあるかもしれません。直角にシートを作っているぶん、重心も若干上がっているので、クルマのパフォーマンスが下がっています。シートの位置を下げたいですが、それを下げるとステアリングが近くなるので、どうするのかを考えたいです」
牧野も同じ悩みを抱えているようで、すでに複数のシートを製作しているものの、納得のいくシートは出来上がらなかったと語った。
「僕もまったく一緒です。スーパーフォーミュラだとステアリングが近くて、スーパーGTだと遠いんです」
「最近シートを3つ作ったんですけど、3つともまったく納得できませんでした。頭の位置が高くなっているので、風の影響を受けてフラフラします。ただシートが低すぎると縁石が見えないし、反対に高すぎても周囲が見えすぎてしまうので難しいところです」