全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦岡山は9月29日、68周の決勝レースが行われ、セーフティカー中にタイヤ交換義務を済ませる作戦を採った山下健太(KONDO RACING)がスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。2位は中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、3位はハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)となった。
午前中は晴天に恵まれていたものの、昼過ぎから雲が広がり、曇天のもと迎えたスーパーフォーミュラ第6戦岡山の決勝。スタート時のタイヤが重要なポイントとなったレースだが、グリッドではポールポジションの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がソフト、2番手の山下健太(KONDO RACING)がミディアム、3番手の国本雄資(KONDO RACING)がソフト、4番手の中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)がミディアムなど、10台中8台がミディアムを選択した。
迎えたスタートでは、平川がスタートを決め、山下が続く。国本はやや蹴り出しで遅れ、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手へ。ソフトを履く福住は1周目のヘアピンで山下をかわしていった。この後方からは、さらに石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、一貴、そして後方から追い上げるニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)など、ソフト勢がポジションを上げ、ミディアム勢は少しずつポジションを落とした。
今回は10周目を終えるまでタイヤ交換義務が果たせない特別規則が施行されたが、8周目に2番手につけていた福住が、タイヤのパンクチャーがあったか、アトウッドでコースアウトを喫してしまう。これでレースはセーフティカーが導入され、特別規則の10周目はSC下で迎えることになった。
このタイミングで多くのチームがピット作業を行うが、このなかで16番手から追い上げていた山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らがセーフティカーラン中に2回のピットインを行い、SCラン中にミディアムタイヤを1周のみ装着しタイヤ交換義務を果たす作戦を採る。一方、ここで義務をこなしたマシンの最上位につけたのは、2番手からミディアムでスタートした山下。これに一貴が続いた。
レースは13周目にリスタートを迎えるが、その後各車の順位は膠着状態に。SC中にピットインを行わなかったトップの平川をはじめ石浦、キャシディ、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、野尻智紀(TEAM MUGEN)らの上位陣、そして1周目にピット作業を行った小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)らが、いつタイヤ交換義務を果たすのかが注目された。
■平川、キャシディがトップ争いも、SC中の義務消化組が上位に
しかしそのなかで、2番手につけていた石浦は33周目、右フロントのタイヤパンクチャーに見舞われてしまい、まさかのスローダウン。最終的にガレージに戻ってしまう。これでキャシディが2番手、3番手にはアウアーが浮上した。
終盤、首位を走っていた平川はなんとかタイヤ交換義務を消化していた7番手山下に対してマージンを築こうとするが、逆に2番手のキャシディに接近されてしまう。57周目にはキャシディが平川をかわし、トップに浮上。そして59周になって平川が、60周にはキャシディ、さらに64周には3番手のアウアーがピットイン。ミディアムタイヤに交換し、タイヤ交換義務を果たした。
しかしその間に、すでに交換義務をSC中にこなしていた山下がトップに浮上。そのまま逃げ切ると、参戦3年目にして嬉しい初優勝を遂げた。今季全戦でウイナーが異なっているスーパーフォーミュラで、またも新たな勝者が生まれることになった。
2位は一貴、3位は今回父のエイドリアン・ニューウェイが観戦に訪れていたハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が父の前で嬉しい初表彰台を獲得することに。アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が4位、チェッカー間際までピットインを引っ張ったアウアーが5位に。パトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)が6位、山本が7位でフィニッシュ。最後尾から追い上げた大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が8位となった。
「長かったですね。すべてがかみ合わないと勝てないのが今のスーパーフォーミュラですが、今日はすべてかみ合いました。チームに感謝します。すごくクルマを良くしてくれましたし、鈴鹿もいけると思います」という山下は、「いつ勝ってもおかしくなかった」という近藤真彦監督をはじめ、周囲に初優勝を祝福された。
レースの大半をリードした平川は、ピットアウト後コースアウトするシーンもあり、12位でフィニッシュ。一方、キャシディはコース復帰後、変則2ストップを採っていた可夢偉とのバトルのなか、リボルバーコーナーで接触。スピンを喫し、10位でフィニッシュした。また可夢偉は終盤5番手まで追い上げたが、4番手パロウをかわすも接触、最終周にヘアピン外側のグラベルにストップしてしまった。