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投稿日: 2019.10.26 22:21
更新日: 2019.10.27 08:48

パロウが担当の加藤エンジニアに要求した、F1フェラーリのベッテルの走らせ方《スーパーフォーミュラ最終戦:予選あと読み》

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スーパーフォーミュラ | パロウが担当の加藤エンジニアに要求した、F1フェラーリのベッテルの走らせ方《スーパーフォーミュラ最終戦:予選あと読み》

 優勝争い、そしてチャンピオン争いの大きなポイントであるスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿の予選でランキング3位のアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が見事にポールポジションを獲得。パロウは1ポイントを追加したことで、トップの山本尚貴(29ポイント)との差は3ポイント差の26ポイントとなった。予選の圧倒的な速さから、パロウの逆転タイトルの可能性がにわかに高まってきたが、そのパロウの速さのイメージにはF1フェラーリのセバスチャン・ベッテルのイメージがあったという。

「Q1はすごくよかったけど、Q2はみんなが速くて『何があったんだろう?』と戸惑った。ピットに戻った時にチームと話し合ってデータを確認して、セットアップを変更したのがうまくいったね。クルマがバッチリ決まってラップタイムも良くなった。開幕戦と比較するとセットアップは少し違うけれど、今回はかなりクルマの調子がいい」と、会見で予選を振り返ったパロウ。

 そのパロウと今年、二人三脚でスーパーフォーミュラに挑んでいるのがトラックエンジニア3年目のナカジマレーシングの加藤祐樹エンジニアだ。パロウが今回、ポールポジションを獲得できた要点となったQ2からQ3の間のセットアップ変更、実際、土曜の予選日はどのような変更を行ったのか?

「あまり変えていないんですけど(苦笑)、大きかったのはQ2からQ3にかけて1周早くアタックさせることでしたね」と加藤エンジニア。

「ふたりで話して、ふたつ選択肢がありました。Q2と同じくウォームアップを1周入れるけどQ2よりゆっくりタイヤを温めるか、もうひとつはトップ3と同じようにアウトラップの次に計測するか。そこでアレックスはとにかく『彼らと一緒の方法で勝負したい』と。それをやるためにタイヤの内圧を調整しました。あとは朝のフリー走行からは少し、曲がるようにフロントが入りやすいクルマに変えましたね」と続ける加藤エンジニア。

 開幕戦の鈴鹿ではパロウと加藤エンジニアは予選2番手、ポールを獲得したのはチームメイトの牧野任祐と岡田淳エンジニアのコンビだったが、優勝は予選12番手のキャシディに奪われてしまった。ただ、タラレバで言えば決勝でタイヤ交換後の脱輪がなければパロウか牧野、どちらかが勝利していた可能性が高い。開幕戦の鈴鹿のナカジマレーシングの2台はライバルを大きく引き離す圧倒的な速さがあった。

 今回予選5番手に留まった『鈴鹿マイスター』の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が「クルマのフィーリングも良かったですし、アタックもミスしたわけではないので相手が速かった」と予選後に話していることからも、明日の結果次第ではナカジマレーシング、そしてパロウが新たに『鈴鹿マイスター』と呼ばれるようになる可能性は高い。

 今回のパロウ車のセットアップは開幕時とどの程度、違うのだろうか。加藤エンジニアに聞く。

「ベースのセットアップは基本は開幕戦の時と同じで、そこにシーズンを通して研究してきたことを結構、盛り込んでいます。これまでレースウイークの中でテストしてわかったことを入れているので、一か八かではなく、分かった上で入れているので開幕の時とは自信という面でだいぶ違うと思います」と加藤エンジニア。

 実際、クルマは持ち込みセットアップをほとんど変更することなく、ポールを獲得するまでに至った。

「持ち込みのセットアップが良かったですね。今朝の練習走行も80分という長い時間でしたけど、リヤのスタビを少し変えたくらいでしたので、持ち込みのセットアップからほとんど変えていません。もちろん、このセットアップがベストというわけではなくて、アレックスが求めるところにはまだ少し足りない状態ではありましたけど、でも十分だったと思います。路面のコンディションがどんどん変わっていくことも分かっていたので、クルマはそれほど触らずに進めました」と加藤エンジニア。

 今回の鈴鹿では金曜日の専有走行が雨で参考にならなかったことも、大きく影響することになった。パロウと同じくタイトルの可能性があった前戦岡山のウイナー山下健太(KONDO RACING)が「練習走行の状態からクルマの感触が良くなくて、予選に向けて変えて良くなってQ1は突破できましたが、Q3に進める力はありませんでした」と話せば、前回の岡山でポールを獲得してこの鈴鹿でも優勝候補に挙がっていた平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も「今回、セットアップを大きく変えて持ってきたんですけど練習走行でダウンフォースが思ったように出ないトラブルがあって、セッションが終わってからトラブルの原因がわかりましたが、すぐに予選になったので時間が足りませんでした」と、持ち込みセットアップで苦労したことが予選低迷の大きな要因となった。

●パロウが加藤エンジニアに要求したF1日本GP鈴鹿のベッテルの走らせ方


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