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投稿日: 2020.09.23 20:57
更新日: 2020.09.24 02:30

レースフォーマットとタイヤの運用方法が変わる第2戦岡山。キーポイントは『1セット追加』と『8秒間のラグ』

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スーパーフォーミュラ | レースフォーマットとタイヤの運用方法が変わる第2戦岡山。キーポイントは『1セット追加』と『8秒間のラグ』

 9月23日、全日本スーパーフォーミュラ選手権を運営する株式会社日本レースプロモーション(JRP)は9月26〜27日に岡山国際サーキットで開催する第2戦に向けて、オンラインによる記者会見を行った。そのなかで、開幕戦とは異なるレースフォーマットが採用や新たな試み、そして懸念されていた海外ドライバーおよび海外レースに参戦していたドライバーたちについても発表があった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、変則的なスケジュールとなった2020年シーズンのスーパーフォーミュラ。8月末にツインリンクもてぎで行われた開幕戦から約1カ月の今週末、岡山国際サーキットで第2戦が行われる。

 前回行われた開幕戦では、感染拡大防止に対応したレースフォーマットが策定されていたが、第2戦ではそこからさらに変更がされた。

 ひとつめはタイヤ交換義務の復活だ。第1戦ではレース距離の短縮と合わせてレース中の給油禁止、タイヤ交換の義務はなしとされていたが、第2戦は51周レースと距離が大幅に増え、さらにタイヤ交換が義務づけれる。

第2戦ではレース中のタイヤ交換義務が復活し、ニュータイヤの供給数にも変更がある。
第2戦ではレース中のタイヤ交換義務が復活し、ニュータイヤの供給数にも変更がある。

 タイヤ交換には10周のピットウインドウが設定され、先頭車両が10周目の第1セーフティカーラインを通過した時点からファイナルラップまでのいずれかのタイミングでピット作業を終わらせなければいけない。

 このレースフォーマットの変更に関してJRPの上野禎久氏は、「第1戦から第2戦までの間に、他のスポーツを見ても分かるとおり、感染防止対策の規制がわずかながら緩和されてきました。それに伴い、JRPとしても本来4月に策定されていたフォーマットに徐々に戻していきたいと思っています。今回の変更はそのための第1ステップです」と、変更への経緯を説明する。

 そして、ふたつめのポイントはタイヤの運用に関してだ。今年はニュータイヤの供給が1レースあたり、3セットになるということが第1戦の時点で明らかになっていたが、第2戦では供給数が2019年と同様、4セットになるという。

 第1戦時に3セットになるという発表があった際は、その理由として「レース距離の短縮」「チームへの経済負担軽減」が挙げられていた。予選の結果が重要になるスーパーフォーミュラでは、どのドライバーも僅差の予選用にニュータイヤを残しておきたい。第1戦の際に発表されていたニュータイヤ3セットの場合は、その3セットと持ち越しタイヤの運用方法が第2戦目以降、キモになるはずだった。

 しかし、今回、ニュータイヤが4セット供給されることにより、持ち越しタイヤがニュータイヤもしくはユーズドタイヤに関わらず、全ドライバーがフリー走行でニュータイヤを少なくとも一度は使用できることになる。

 ただし、2020年のスーパーフォーミュラのレギュレーションでは『競技会期間中は車両1台あたり、最大6セットのドライタイヤを使用することができる』とされている。持ち越しタイヤの数に変更がなく、ニュータイヤが4セットとなると、7セットのドライタイヤが用意されてしまうことになり、規則に反することになってしまう。今回の『1セット追加』が第2戦だけなのか、それとも第3戦以降も継続されるのか、レギュレーションが変更されるのかどうかと合わせて今後の対応に注目したい。

 3つめのポイントはオーバーテイクシステムの点滅タイミングの変更だ。スーパーフォーミュラでは、レースでの追い抜きを促すために、2019年よりオーバーテイクシステムを導入している。

 これは、決勝レース中に最大100秒間、使用回数、使用タイミング、使用秒数は任意。ただし、一度使用すると、100秒間の使用制限が設けられているというシステムだ。

 これまでオーバーテイクシステムはドライバーが作動させたタイミングでヘルメット後方にあるオーバーテイクランプが点滅される仕組みとなっており、ドライバーはたとえば、自らの後方を走っているドライバーがシステムを作動した際にそれをミラーで確認することができていた。そうすることで、防衛のために自らもシステムを作動させ、追い抜きを阻むことができていたのだ。

 しかし、今回はその点滅タイミングに『8秒間のラグ』を発生させることになったという。これは、ドライバーがオーバーテイクシステムを作動させた場合、ボタンを押したタイミングから8秒後にランプが点滅し始めるというものだ。

 これにより、前のドライバーはどのタイミングでオーバーテイクボタンが作動されたのかを認識することが困難になるため、8秒経ったときにはすでに真後ろへとライバルが迫ってくることになる。

“8秒”という時間は岡山国際サーキットを舞台にシミュレーションをした結果、導き出された数字であり、現状は第2戦だけの採用のようだが、第3戦以降も採用されるか否かは今回の結果によると思われる。岡山のサーキット形状から考えるに、メインストレートから1コーナーまで、もしくはバックストレートでの使用に注目してみるとレースをより一層、面白く観戦できるはずだ。

トヨタ勢の3席についてはいまだ発表されておらず。誰が乗ることになるのか注目が集まる。
トヨタ勢の3席についてはいまだ発表されておらず。誰が乗ることになるのか注目が集まる。

 そして、最後にエントリーリストについてだが、第2戦は7名のレギュラードライバーが参戦しないことも発表された。先週末、ル・マン24時間レースに参戦していた中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、山下健太(KONDO RACING)、タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)は帰国後の待機日数の条件を満たすことができないため、参戦は困難であると判断された。

 また、ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN)、セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing Team with B-Max)、シャルル・ミレッシ(Buzz Racing Team with B-Max)に関してもビザの問題等により、引き続き、入国が困難なため参戦することができない。後述の3名と、カルデロンに関してはすでに代役が発表されているが、注目は一貴、可夢偉、山下の代役がどのドライバーになるかだ。

 空白の3シートを射止めるのは誰になるのか。後に控えている若手ドライバーたちにとっては、大チャンス到来。もしくは、過去にスーパーフォーミュラを走らせたことがある経験者にステアリングを握らせる可能性も考えられるだろう。エントリーリストは今週、金曜日に発表される予定となっている。


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