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投稿日: 2020.11.14 20:50
更新日: 2020.11.15 13:05

好コンディション下でのオートポリス決戦。今年一番の驚速バトルが生まれるか【SF第4戦プレビュー】

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スーパーフォーミュラ | 好コンディション下でのオートポリス決戦。今年一番の驚速バトルが生まれるか【SF第4戦プレビュー】

 2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、変則スケジュールで開催されている全日本スーパーフォーミュラ選手権。第4戦オートポリスは11月という寒い時期に行われる。その第4戦の土曜日の占有走行、フリー走行では低いと予想された路気温とは裏腹に、好天に恵まれ、日中は日陰は肌寒さがあるものの、日向では汗ばむぐらいのコンディションに恵まれた。

 冬の寒い時期は空気密度が増し、エンジンのパワーも上がり、ダウンフォースも増して、タイムが向上しやすい。一方でタイヤに熱をうまく入れられるかが肝になるが、今回のオートポリスは想定以上の好コンディションによって、多くのマシンがコースレコードタイムを連発して更新。日曜日の予選は驚速タイムアタックバトルが見られそうだ。

 午後のフリー走行で1分24秒450を出した福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は今シーズンここまでの戦いとは比べものにならないほど手応えを感じているようで「持ち込みセットの状態から調子がよく、絶好調な感じは今年初めて」だと言う。明日に向けてはこれまでの苦戦を払拭したい思いがあるようだ。

「午前中からフィーリングが良くて、午後に向けても微調整しかしていません。今シーズンここまで、ニュータイヤを履いたときに調子がいいと感じるフィーリングがなくてずっと不安だった。でも今日に関してはいままで感じなかったフィーリングがありましたし、トップで終われたことはすごいポジティブです」と福住。

「明日はまた路面の感じが変わると思うのでフィーリングももちろん変わると思う。それでも今回は予選に関しては信じていこうと思えるし、レースもいい結果を出してチームに恩返ししたいですね。今年はライバルとの差がどうとかいうのを考えられないほど、自分がうまくいっていないシーズンなので、ここで脱して次につなげたいです」と、スーパーGTに続いての連勝を狙う。

2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)

 また、午前中の占有走行でトップタイム、午後のフリー走行も3番手とこちらも好調な坪井翔(JMS P.MU/セルモ・インギング)。第2戦岡山で初優勝を遂げたものの、前戦SUGOでは苦戦し、流れに乗り切れずに終わった。しかし、SUGOの段階から良さそうなセッティングの方向性を見つけ、今日のオートポリスで試したところ、手応えを感じられたという。

「SUGOではあまり良くなかったのでオートポリスではどうだろうと少し不安な部分はありました。でも実際に走ってみたら結構クルマのセットアップが良くて、手応えを感じられるセッションになりましたね。寒い時期に合わせる方向性のものを試してみてよかったので、間違っていないと思っています。もともとオートポリスとの相性も良いのでそれもうまく機能している要因かもしれませんね」

「ただ不安がまったくないわけでもないです。いつも予選Q1はいいけど、Q2でしくじることが多いので、崩れないようにしないといけない。決勝もスタートはいいですけど、天気がいいとはいえ、冷えたタイヤでのアウトラップは少なからず不安です。そのあたりの対策もしてきてはいますが、決勝になってみないとなんとも……。とはいえ、SUGOほどではないかなとも思っています」

 明日に向けては不安要素はあるといいつつも、ポジティブなコメントが多かった坪井。ポールポジション争いへの手応えもあるようで、ここオートポリスで初ポール獲得もありそうだ。

2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

 一方、今シーズンここまでの3戦で好結果を積み重ね、ドライバーランキングでポイントリーダーにつけている平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。午前中は5番手、午後は2番手と結果だけを見れば悪くないように感じるものの、走り始めの手応えはこれまでの3戦と比較するとあまりよくなかったという。

「いつもは持ち込みのセットをしっかりと考えて持ってくると、だいたいうまくハマっている感じがしていたのですが、今回は全然ダメで……。結構セッティングをいじってますね。特にショートランではいろいろと変更しました」

 平川はタイトルを獲得するためにもここオートポリスを「乗り切らないといけない」という。

「この先、ホンダ勢が強い傾向にある鈴鹿の2連戦が控えていますし、寒い時期のホンダエンジンは速い印象があります。そういう意味でもここは獲っておかないといけないと思う。幸い気温も今日と同じぐらいだと思うので、寒くないオートポリスでポールポジションと優勝は欲しいですね。ここで離しておかないと、この後の流れは少し怖いかな」

2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 もうひとり気になるのは、オートポリスを比較的得意としており、午後のトップタイムを出した福住のチームメイトである山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。残念ながら午後のフリー走行では制御系のトラブルによりセッション中盤でマシンを止めてしまい、ニュータイヤを履いてのアタックができなかった。

「原因は分かっていて、修復もできています。もともとクルマのベースはいいところにありそうなのでそこまでネガティブではないです。マシンを停めてしまうことになりましたけど、午後の走行のなかではいいアイデアも見つかった。もちろん微調整も必要だけど、それがハマれば今日の午前中より明日の朝は良くなると思いますよ」と話し、表情は明るい。

 土曜のオートポリスは空気は冷たいものの、路面温度は25度近くという、タイムを向上させる環境要因は揃っており、前述に挙げたドライバーたち以外も軒並みコースレコードを更新するタイムを出している。明日の午前中はこれまで見たことがないタイムでのオートポリスの予選アタックが見られそうだ。

 前戦SUGOで多くのチームが苦戦していたウォームアップの不安要素は減ったと言えるオートポリス決戦。とはいえ、タイヤのグレイニングやピックアップなどという不安も残る。平川は「大丈夫だと思うけど」と前置きした上でこう語る。

「グレイニングがフロントに出ています。右だけじゃなくて左も。オートポリスではたしかによく出る傾向もありますが、とはいえ去年まではあまり見たことがない。太陽は出ているけど空気は冷たいので寒いせいもあるのかもしれない」

 またピックアップに関してはほぼ全車が付いているような状況だ。予選一発は良くても決勝レースではラップタイムが落ちてしまうきっかけになってしまうだろうし、いかにピックアップが付きにくいセットアップに仕上げられるかも大事な要素のひとつである。

 2019年、マシンがSF19に変わって以降、オートポリスでスーパーフォーミュラが開催されるのは2回目となる。しかし、2019年は予選が雨で大荒れの天候となり、日曜日に延期された。決勝はドライコンディションで行われているものの、予選・決勝ともにベストコンディションで行われるのは今回が初めてだ。

 昨年のデータがまったく参考にならないわけではないが、コンディションも異なるのでアジャストが必要になるうえ、昨年の手応えがネガディブだったチームは新たに合わせ込みも必要。とはいえ、気温、路温等、マシンが速く走るための最高なコンディションが整っているのは間違いない。果たして今日一日で勝算をつかんでいるのはどのチームか。まずは明日午前の予選がどうなるか見てみよう。


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