富士スピードウェイで開幕を迎える2021年のスーパーフォーミュラ。今年も国内屈指のトップドライバーが集結し、初戦から白熱のバトルを展開してくれるのは間違いないだろう。
最近では、スーパーフォーミュラでのタイム差が拮抗しており、予選では1秒以内に10台以上の車両がひしめくことも珍しくない。決勝でも、常にハイレベルなバトルが展開されているのだが、そのなかでオーバーテイクの手助けとなるアイテムのひとつとして注目を集めているのが『オーバーテイクシステム(OTS)』だ。
スーパーフォーミュラのOTSはエンジンに装備されている燃料リストリクターを活用し、発動時には燃料の流量を一時的に増加させてパワーを上げるというシステム。これはフォーミュラ・ニッポン時代の2009年に初導入され、当時はレース中に1発動あたり20秒を5回使えるというルールになっていた。
そして、SF19に車両が変更された2019年からは100秒間を自由に使えるという運用方法に変更となった。この変更により使いどころなど自由度が増したのだが、一度使用すると100秒間の使用制限がかかるようになったため、相手の状況、そして勝負どころを見極めて使わないといけなくなった。
今回は2021シーズンのスーパーフォーミュラに参戦する3人のドライバーにバトル時のOTSの使いどころやノウハウを聞いたが、3人とも揃って「以前より頭を使わないといけない」と語っていたのが印象的だった。
まずは、今年もKONDO RACINGから参戦する山下健太に聞く。
「使いたい分だけ使えるようになったというふうになったのは良くなったなと思います。ただ、OTSランプも光るし、後ろが加速した感じで『(相手が)使ったな』というのが分かります。前にいる側としては、そこで押せばオーバーテイクとして防ぐことができるのかなと思います」
「そこで押してしまうと、両車とも効果はおなじなので追い抜くのは難しくなりますけど、自分はペースが良いときは、向こうが防御で使っているときに使わないで、次の周に使うということができます。以前と比べると、より頭を使うようになりました」
OTSで得られる効果には限度があるということで、自分が追い抜こうと思って使っても、相手が“防御”として使ってしまうと、その効果はかなり薄れてしまうことを強調した山下。相手と使うタイミングをいかにずらすことができるかがポイントと考えているようだ。
さらに山下は、しっかりと勝負どころを見極めないと確実なオーバーテイクはできないということも考えている様子。そこもレース中は注意しているという。
「OTSを使ったからといって必ず抜けるとは限らないので、しっかりと使いどころを考えないといけないと思っています。そういう意味で、僕はなるべく無駄打ちはしないようにしています。ですので、僕の場合はけっこう使用回数を余らせてレースを終えることが多いですね」
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