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投稿日: 2021.03.16 17:30
更新日: 2021.03.30 23:52

中嶋一貴が語るダラーラSF19とトヨタGR010ハイブリッド。富士で見られそうな『走りの違い』

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スーパーフォーミュラ | 中嶋一貴が語るダラーラSF19とトヨタGR010ハイブリッド。富士で見られそうな『走りの違い』

 春の訪れとともに、待望の2021シーズンが間もなく幕を開ける。注目すべきシリーズ、そしてドライバーは数多いが、今年も『世界』と『日本』、それぞれの最高峰に立つべく邁進する男がいる。中嶋一貴だ。

 4月4日に富士スピードウェイで開幕する全日本スーパーフォーミュラ選手権では、2014年以来となる3度目のタイトル獲得を目指してVANTELIN TEAM TOM’Sからエントリー。そして5月1日にベルギーはスパ・フランコルシャンで開幕予定のFIA WEC世界耐久選手権には、TOYOTA GAZOO Racingからエントリーを果たす。

 昨年まで3年連続でル・マン24時間レースを制している一貴は今年、LMP1に代わる新規定『ル・マン・ハイパーカー(LMH)』に基づいた新型レーシングカー、『トヨタGR010 HYBRID(以下、GR010)』をWECにデビューさせる大役も担っている。ル・マン4連覇に大きな期待がかかるのはもちろん、日本のファンにとっては9月に富士スピードウェイでこの新型マシンを目にすることができることも、2021年の楽しみのひとつではないだろうか。

 今回は多忙なシーズンを控えた一貴に、スーパーフォーミュラ参戦マシン『ダラーラSF19』とGR010、2台のレーシングカーの印象を聞いた。

 2019年からスーパーフォーミュラにおいて使用されているSF19について一貴は、「基本はSF14の延長で、車重が軽くて空力・ダウンフォースがとてもよく効く、非常にコーナリングスピードの速いクルマです」とその特性を語る。

「空力では、SF14に比べてとくにフロントが強くなった印象です。フロント(のダウンフォース)を出すのは比較的簡単ですが、それに対してリヤをどう出してあげるかが難しいクルマですね」

「(SF19導入)当時はタイヤがミディアムとソフトの2種類あり、いかにミディアムをうまく使うかが重要でしたが、結構苦労した印象があります」

「ただ、クルマとしては全体的に変なクセがなくて扱いやすく、特性も全体的にマイルドだと思います」

 一方、取材時点では2度のテストでステアリングを握ったというGR010について、「規定によって車重が(LMP1時代のTS050ハイブリッドより)重くなっているのと、ハイブリッド含めたトータルのパワーが下がっているので、スピードレンジ的には(スーパーGTの)GT500に近くなっているかもしれません」と一貴。

 1周あたりの燃料使用量規定が撤廃されたことによって、ストレートエンドで燃費をセーブする『燃料カット』が行なわれなくなったことも、ドライバーにとっては新鮮だという。

「燃料カットは入らないですし、ブレーキングに関しても回生を考える必要はなく、スーパーフォーミュラやGTと同じようにブレーキングするだけです」

 昨シーズンまでのTS050では低速から四輪でモーターアシストが使えたため、コーナー立ち上がりで強力な加速を得ていた。しかし、LMHではMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)の搭載が許されるのはフロント車軸のみ、かつ120km/h以上(スリックタイヤ装着時)でないとMGUからのパワーアシストが得られないルールとなった。

「リヤ(エンジン)だけで加速している段階と、フロントも使える段階ではフィーリングはもちろん違います。基本、ルール的にハイブリッドの有無で差が出ないようになっているはずなので、タイヤの摩耗や温度など、細かいところにしか(ハイブリッド=四輪駆動である)アドバンテージは見出せないのではないでしょうか」

今季のWECデビューに向けテストが進められているトヨタの新型ル・マン・ハイパーカー、GR010ハイブリッド
今季のWECデビューに向けテストが進められているトヨタの新型ル・マン・ハイパーカー、GR010ハイブリッド

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