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投稿日: 2021.05.14 19:10
更新日: 2021.05.15 08:54

ウエットでの決戦か。野尻が狙う3連勝vs止める実力者に、復活を期するドライバーたち【第3戦オートポリスプレビュー】

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スーパーフォーミュラ | ウエットでの決戦か。野尻が狙う3連勝vs止める実力者に、復活を期するドライバーたち【第3戦オートポリスプレビュー】

 今週末に大分県のオートポリスで開催されるスーパーフォーミュラ第3戦、開幕から2連勝中の野尻智紀(TEAM MUGEN)が連勝を伸ばすのか。それともタイトル候補に挙げられる平川亮(carenex TEAM IMPUL)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が逆襲を見せるのか。そして今季初めてスーパーフォーミュラに復帰参戦する牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、タチアナ・カルデロンに代わって参戦する塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)の動向など、いろいろ見どころの多い1戦になりそうだ。金曜日の搬入日、今回注目されるドライバーに聞いた。

 2戦2勝でポイントランキングを独走する野尻。この第3戦オートポリスは野尻にとっても結果のよいサーキットと言える。昨年ポール・トゥ・ウイン、2019年は雨の混乱で予選で基準タイムをクリアできず決勝18位となったが、2018年も予選2番手(決勝は雨でキャンセル)と、雨絡み以外では毎戦、優勝争いに絡んでいる。今回も当然、3連勝を視野に入れている。

「3連勝を取りに来ているというか、今回も勝つイメージ、いいイメージを持ってきています。去年の成績もそうですけど、いいイメージを持っているからこそ、すごく細かいところまで考えて準備してきたつもりですし、細かい部分で足下をすくわれないように進めていきたいなと思っています」と、搬入日の金曜に話す野尻。

 このオートポリスで好成績が多い野尻。得意としている背景を聞く。

「オートポリスのサーキットは自分に合っているのかなと思います。オートポリスはセクター3が重要と言われていますけど、タイヤのコンディションを含めて合わせていかないとよいタイムが出ない。そこはある程度、自分としては自分を持っているところかなと思います。ですので得意というよりも、ここを抑えて、ここを速く走る、みたいな抑えどころを理解しているつもりなので、それに合わせてクルマを進めて結果としていい方向に表れているのかなと思います」と、野尻。

2021年スーパーフォーミュラ第3戦オートポリス金曜搬入日
開幕から2連勝でポイントラインキングを独走する野尻智紀(TEAM MUGEN)。相性のいい第3戦オートポリスで連勝を伸ばせるか

 週末は雨の確率が高いが、それでも今の野尻には大きな不安にはなっていないようだ。

「雨でもそこまで気にしていませんね。一昨年の大雨の時も普通に予選セッションが行われていれば前の方に行けていた自信はありましたし、今年のシーズン前の鈴鹿テストでも雨のセッションがありましたが、そこでもセットアップを変えたら感触がすごく良くなった。鈴鹿の雨で走れれば、ここでもある程度は走れるだろうなと思っています。ですので、それほど不安はないですね。どちらかというと、コンディション変化やセッションの展開で自分の力が出し切れないということを避けたい。正しい状況判断をしていければと思います」

 ライバルの動向よりも、予選でのトラフィックやウォームアップなど自分自身との戦いとなりそうな雰囲気がある。しかし、ライバルとしては当然、野尻の3連勝を易々と許すわけにはいかない。野尻と同様に、このオートポリスで好成績を残す平川亮に話を聞く。

「とにかく、野尻選手の前でフィニッシュしたいですよね」と平川。昨年のオートポリスでは予選Q1でまさかのクラッシュを喫してしまい、タイトル争いの大きな転換点となってしまった。今回、そのリベンジの意気込みもあるかと思いきや「いつもどおりですね」と、リラックスした様子。「雨のレースになりそうですが、逆に新鮮なので、楽しみにしています。明日(土曜)の朝のフリー走行でしっかりと感触を掴んでおきたいですね」と、いつもの平川らしさで週末の抱負を語った。

 もちろん平川の他にも、前回不運のタイヤアクシデントで優勝を逃した福住仁嶺、昨年のオートポリスで2位の山本尚貴などが優勝争いに絡んでくることが予想されるが、雨のレースは今年初となるため、その動向が不透明だ。

 そして今回、優勝争い以外の部分でも注目されるのが、第3戦目でスーパーフォーミュラに復帰参戦する牧野任祐と、塚越広大のパフォーマンスだ。いきなり雨のセッションとなる可能性が高く、厳しい状況ではあるがどんな走りを見せることができるのか。先日のスーパーGT第2戦富士で好結果を残した牧野に、デビュー戦となる今回の抱負を聞く。

「GT富士のあの状況(セカンドスティントを担当)では僕が履いていたタイヤはかなりコンディションに合っていたのかなと思います。それでもまあ、心配していたよりはきちんと走れたので、そこは自信にもなったかなと思います。とりあえずレースを終わった時にはホッとしましたね」と、GWのスーパーGTを振り返る牧野。

「オートポリスは昨年、表彰台に上がって、ダンディライアン自体も調子がよさそうなサーキットでもありますし、もちろん、自分自身で頑張りたい部分もありますけど、いかんせん、スーパーフォーミュラのマシンに乗るのが今年、始めてなので、どうなるのかわからないので、そこはしっかり自分で無理をしすぎないようにセーブをしつつ、詰めるところは詰めてうまくやっていきたいなと思っています」と、続ける。

 スーパーGTで好結果を残せたとはいえ、スーパーフォーミュラでは身体に掛かる負荷はGTよりも大きく、繊細なフォーミュラカーのドライビングは、わずかな感覚の違いが大きなタイム差となる。「当然、不安な部分もあります」と話す牧野。実際、このオフ入退院を繰り返した牧野の体調はまだ完全には戻っていない。

「去年のシーズン中は体重が増えないように気をつけて63kgくらいだったのですけど、今は体重を絞って身体の免疫が落ちるのも嫌ですので、普通に食事してトレーニングしている状態で66~67kgくらいですね。体調を崩した入院中は体重が58kgくらいまで落ちて、本当に身体はペラッペラでしたね」と話す牧野。

 今週末はウエットコンディションになりそうだが、ドライよりも身体への負担は減る。牧野にとってはドライとウエット、どちらが良いのか。

「どっちもどっちですね。ドライは難しいですし、ウエットは神経使うし、どっちに転んでも大変だと思います。もちろん、どっちにしても走るからには成績は大事ですし、言い訳はできないですけど、今回はしっかりと自分の戦い方をしていきたいなと思います」と、男気を見せる牧野。

 それぞれのドライバーが、それぞれの思いを抱えて臨む第3戦オートポリス。ウエットコンディションがどのような展開を演出することになるのか。土曜の予選日は大雨も予想されているだけに、速さだけでなく、セッション時間の変更など臨機応変な対応がドライバー、チームに求められることになりそうだ。

2021年スーパーフォーミュラ第3戦オートポリス金曜搬入日
第2戦鈴鹿では圧倒的な速さを見せるも不運なタイヤアクシデントでレースを終えた福住仁嶺(右)と話す阪口晴南(左)


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