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投稿日: 2021.10.30 22:15
更新日: 2022.03.22 12:51

『SF NEXT 50』の追加会見、メーカーの垣根を越えたチーム移籍の可能性も。プロジェクトリーダー上野氏が12月にJRP代表取締役就任へ

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スーパーフォーミュラ | 『SF NEXT 50』の追加会見、メーカーの垣根を越えたチーム移籍の可能性も。プロジェクトリーダー上野氏が12月にJRP代表取締役就任へ

 10月30日、JRP(日本レースプロモーション)の定例記者会見『サタデーミーティング』が全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦『第20回JAF鈴鹿グランプリ』が開催されている鈴鹿サーキットで行われた。『SUPER FORMULA NEXT50(スーパーフォーミュラ・ネクストゴー)』プロジェクトの追加質疑応答が行われ、同プロジェクトリーダーの上野禎久氏が倉下明氏に代わって、2021年12月よりJRPの代表取締役に就任することが明らかにされた。

 1973年に新設された『全日本F2000選手権(F2000)』に始まるフォーミュラカーレースの国内トップカテゴリーは2022年に50年の節目を迎える。それにあたり、JRPとホンダ、トヨタを中心にしたパートナーシップの下で“次の50年”に向けたプロジェクトとして『SUPER FORMULA NEXT50』をスタートされ、その発表会は10月25日にホンダ青山で行われたばかり。

 今回の30日の『サタデーミーティング』はJRPの中嶋悟会長、倉下明社長、『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトリーダーの上野取締役、そして本田技研工業株式会社モータースポーツ部長の長井昌也氏、トヨタ自動車株式会社GAZOO Racing Company主査の加地雅哉氏が出席して行われた。

『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトの話が具体的に始まった時期と経緯について、JRP上野取締役は「あくまでも、僕自身のモチベーションの話であり、それがプロジェクトそのもののきっかけではない」とした上で、トヨタの豊田章男社長とのエピソードを話した。

2021年スーパーフォーミュラ第7戦JAF鈴鹿グランプリ『SF NEXT50』サタデーミーティング
12月よりJRPの社長に就任することが明かになったJRP取締役、そしてSUPER FORMULA NEXT50プロジェクトリーダーを務める上野禎久氏

「スタートは2020年シーズンの開幕戦あたりです。トヨタの豊田章男社長から『このカテゴリーはとても素晴らしい。ハイレベルなレースをやっていますね』と、お褒めいただいたと思ったのですが、その言葉の返す刀で『でも、まったく面白さが伝わっていない』とのお叱りを受けました」

「大きな企業のトップの方がこのカテゴリーにすごく注目していただいているという嬉しさもありましたが、プロモーターとしてしっかりと(スーパーフォーミュラの面白さ)をお伝えするには何が足りないのだろうかと、私のなかでスイッチが入りました」

「ただ、そのほぼ同時期にみなさんがこのカテゴリーをなんとかしていこうと、すごく共感を持っていただけました。それからホンダさん、トヨタさんに大変力強い支えをいただき、このプロジェクトが走り出しました」と上野氏。

2021年スーパーフォーミュラ第7戦JAF鈴鹿グランプリ『SF NEXT50』サタデーミーティング
トヨタ自動車株式会社GAZOO Racing Company 主査の加地雅哉氏

 10月25日に東京都港区のHondaウエルカムプラザ青山で行われた発表会では、今後JRPは『ドライバーファースト』、『技術開発』、『デジタルシフト』の3ビジョンからなる、さまざまな取り組みを進めていくとした。そのなかで「ホンダ、トヨタをはじめ、業界の垣根を越えていく」との表現が印象的だった。

 現在のスーパーフォーミュラではホンダ、トヨタといったシリーズ運営には欠かせないエンジンメーカーの名前が先行している部分がある。『ドライバーファースト』を掲げるにあたり、今後『メーカーを越えたチーム移籍』なども行われるようになっていくのかは気になるところだ。

 それについてautosport webが尋ねたところ、ホンダの長井氏は「ドライバーが自分の力を存分に出していきたいとなったら、チーム移籍や引き抜きが起きていくと思います。しかし、今はそれが起きにくい環境です。『もっと垣根を低くして』ということは、(メーカーを越えたチーム移籍も)この先、起きて然るべきことだと思います」とポジティブに語った。

2021年スーパーフォーミュラ第7戦JAF鈴鹿グランプリ『SF NEXT50』サタデーミーティング
本田技研工業株式会社 モータースポーツ部 部長の長井昌也氏

 将来的なことではあるものの、メーカーの垣根を越えたドライバーの移籍や参戦の実現は、スーパーフォーミュラの発展に大きく寄与することになるだろう。JRP、ホンダ、トヨタの垣根を越えた取り組みが実を結ぶ日を心待ちにしたい。

 また、『SUPER FORMULA NEXT50』のビジョンには『アジアを代表するスーパーフォーミュラ』という文言があったが、スーパーフォーミュラの海外展開も気になるところだ。今後のスーパーフォーミュラの発展には参戦チームの増加やアジアを始めとしたドライバーの参戦、そして海外を含めたファンの増加は欠かせない。海外チームの新規参戦やアジアを含めた海外でのレース開催の予定について尋ねたところ、JRP上野取締役は「将来的には目指していますが、現時点で具体的なものはございません」と答えた。

 かつて、フォーミュラ・ニッポン時代には2004年に一度、マレーシアのセパン・サーキットで海外レースが行われたが、その1年限りでその後、国内トップフォーミュラの海外開催は実現していない。また、海外チームの参戦も今季は香港のKCMGのみという状況だ。現時点で具体的なものはないということだが、『アジアを代表するスーパーフォーミュラ』を目指すJRPの今後の具体的な動きに期待したい。
 
 また、同会見の最後にはJRP倉下社長から、『SUPER FORMULA NEXT50』というスーパーフォーミュラの改革を進めるにあたり、2021年12月より同プロジェクトリーダーの上野取締役がJRPの代表取締役社長に就任することが発表された。なお、倉下氏は2022年4月まで取締役としてJRPの改革を後押ししていくことを述べた。

2021年スーパーフォーミュラ第7戦JAF鈴鹿グランプリ『SF NEXT50』サタデーミーティング
JRP社長を11月いっぱいで退任することになった倉下明氏


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