3月5日、全日本スーパーフォーミュラ選手権をプロモートする日本レースプロモーション(JRP)は、『鈴鹿サーキット60周年ファン感謝デー』が開催されている鈴鹿サーキットで『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトの一環として取り組む2022年シーズンを通じた今後のフォーミュラカーの開発計画、ならびにテストカーを発表。レッドとホワイトのカラーリングを纏った2台の車両がアンベイルされた。
JRPは『SUPER FORMULA NEXT50』を通じ、今後スーパーフォーミュラの舞台を「モビリティとエンターテイメントの技術開発の実験場」と位置づけ、モビリティに関しては『カーボンニュートラルの実現に向けた「素材」「タイヤ」「燃料」の実験』、『ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクスの改善』、『エンターテイメントの魅力向上に繋がる車両開発』の3つのテーマで技術開発を進めていくとしている。
その一環として、現在多くのレーシングカーで使用されているカーボン(炭素繊維)素材から、麻などの天然素材を活用したバイオコンポジット素材に変更していく計画の概要が明らかにされた。カーボン素材と比較して剛性および重量は同等、かつCO2を約75%削減しうるビーコンプ(Bcomp)社製の天然素材を使用した持続可能な軽量化技術を採用し、段階的に使用範囲を拡大することを目指すとしている。
また、2月17日に発表された通り、『アドバン・レーシングタイヤ』を供給するヨコハマタイヤとのパートナーシップ継続。2022年はヨコハマタイヤがこれまで培ってきたノウハウを活かし、天然由来の配合材やリサイクル素材等、再生可能原料を活用したレーシングタイヤの開発を進めていくとしており、開発用のタイヤのカラーリングイメージが施されたドライタイヤもお披露目された。
また、燃料については、ホンダ、トヨタと綿密に連携し、2022年を通じて『eフューエル』や『バイオフューエル』といった複数のカーボンニュートラル・フューエルをテストし、今後の導入に向けたさまざまな実験を重ねていくとしている。
『カーボンニュートラルの実現に向けた「素材」「タイヤ」「燃料」の実験』の開発については、それぞれホンダ、トヨタ両メーカーのエンジンを搭載したテストカーで実施されることとなり、2台のテストカーが初お披露目された。ホンダエンジン搭載車はホワイト、トヨタエンジン搭載車はレッドのカラーリングとなる。
さらに、トヨタエンジン車のテストドライバーに2015年、2017年と2度のシリーズチャンピオンに輝いた石浦宏明が、そしてホンダエンジン搭載車のテストドライバーに塚越広大を起用したことが発表された。同会見ではつちやエンジニアリングの土屋武士氏が『SF NEXT50アンバサダー』に就任、2021年6月まで株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントテクノクラフト本部で執行役員を務めた永井洋治氏が『SF NEXT50 テクニカルアンバサダー』に就任したことも明らかにされた。
また、『SUPER FORMULA NEXT50』のビジョンのひとつである『ドライバーファースト』について、ドライバーの力を最大限引き出せるクルマ作りも進めているという。具体的には、エアロダイナミクスを見直し、前車からの影響を減らしオーバーテイクの可能性を増やすというもの。ドライバーにとってよりバトルのしやすいクルマを目指しているとのことだ。
さらに、テストカーによる開発テストスケジュールも明らかにされた。下記のとおり、スーパーフォーミュラ全7戦の前後2日間の計14日間となる。サスティナブルなモータースポーツ業界づくりに取り組みつつ、2022年シーズンを通じて次世代マシンの開発に取り組むスーパーフォーミュラ。次の50年に向けた『NEXT50』プロジェクトのオープニングイヤーとなる2022年シーズンは、やはり楽しみの多い一年となりそうだ。
■2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権レース&開発テストスケジュール
Round | 開催サーキット | レース日程 | テスト日程 |
---|---|---|---|
第1・2戦 | 富士スピードウェイ | 4月9〜10日 | 4月6〜7日 |
第3戦 | 鈴鹿サーキット | 4月24〜24日 | 4月25〜26日 |
第4戦 | オートポリス | 5月21〜22日 | 5月18〜19日 |
第5戦 | スポーツランドSUGO | 6月18〜19日 | 6月20〜21日 |
第6戦 | 富士スピードウェイ | 7月16〜17日 | 7月18〜19日 |
第7・8戦 | モビリティリゾートもてぎ | 8月20〜21日 | 8月17〜18日 |
第9・10戦 | 鈴鹿サーキット | 10月29〜30日 | 10月26〜27日 |