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投稿日: 2022.03.24 21:07
更新日: 2022.03.24 21:08

「開幕が楽しみで仕方ない」連覇狙う野尻智紀と、一発に悩む大湯都史樹【富士公式合同テストあと読み】

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スーパーフォーミュラ | 「開幕が楽しみで仕方ない」連覇狙う野尻智紀と、一発に悩む大湯都史樹【富士公式合同テストあと読み】

 2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、鈴鹿サーキットと富士スピードウェイでの2回の公式合同テストを終え、約2週間後の開幕を待つばかりとなっている。富士のテスト終了後、対照的な表情を見せたふたりのホンダ・ドライバーに、それぞれの現在地を聞いた。

 昨年王者の野尻智紀(TEAM MUGEN)は、富士テスト2日目の最終セッションを5番手タイムで終えた。

 マシンから降りた直後、ミックスゾーンでメディアからの取材を受ける野尻は、直前までタイムアタックをしていたとは信じられないほどに、落ち着いたテンポで言葉を選び、極めて冷静な受け答えに徹していたのが印象的だった。

 その裏に見え隠れするのは、真摯に課題に向き合った結果得られた、確かな手応えだ。

「今回の富士は、自分たちにいまあるアイテムの良し悪しを、より明確に判断できたテストだったと思います。(タイムだけを追い求めて)自分たちのいまのベストを出そうと思えば、もう少し違ったセットアップになるかなとは思います」と野尻は今回のテストでのテーマを明かす。

 昨シーズンのクルマ作りにおける課題は「ギャップに対しての安定性」だったと野尻。このオフのテストを通じて、その課題に対する解答が見えつつあるという。

「(ギャップで)僕たちのクルマは結構跳ねたり、荷重変動が大きいというのが、ネガティブな要素でした」

「これは2019年に僕が乗り始めてからずっと課題でもありました。そのあたりに対して、(今回のテストでやったことが)良かった部分もありますし、反対に『これをやったら悪くなる』というのが分かった面もあります。それらがより細かいところで把握できたので、より合わせ込みをしやすくなるかなと思います」

 各車が2日間のベストタイムを残した最終セッション終盤も「ニュータイヤではなかった」ということで、「ここからどれくらい高いパフォーマンスを出せるのかという部分では、楽しみで仕方ないというところもあります」と不気味なほど冷静に、野尻は開幕戦を展望している。

「1回タイトルを獲れたことで、自分自身のびのびやることができていると思います」と、このオフに自らが置かれた状況を分析する野尻。

「そのなかでも、自分で気を引き締め、開幕で最高のパフォーマンスが出せるよう、準備をしていきたいと思います」

2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 野尻智紀(TEAM MUGEN)

■「アンダーには見えないけどアンダー」な大湯

 一方、浮かぬ顔でミックスゾーンに現れたのは、参戦3年目のシーズンを迎えるTCS NAKAJIMA RACINGの大湯都史樹だった。

 昨年は予選で安定した速さを見せたが、決勝では2位表彰台が2回。参戦初年度にマークした初勝利に続く2勝目を今季こそ手にし、タイトル争いに絡んでいきたい。

 しかし富士テスト2日目の最終セッションは、残り15分ほどのところで「エンジンがちょっとトラブってしまって」コース脇にストップ。最後のアタック合戦には参加できなかったこともあり、18番手タイムに終わっていた。

富士テストのセッション4終盤、マシンをコース脇に止めた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
富士テストのセッション4終盤、マシンをコース脇に止めた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

 大湯自身は現在のクルマづくりのテーマについて「外からはアンダー(ステア)に見えないかもしれないですけど、アンダーなんですよ。そこをなんとか曲げる、というところをとにかくテストしています」と説明する。

 ロングランについては「今回のテストで改善の兆しが見えた」というが、一発のタイムにとくに苦しんでいるという。

「一発については、悩んで終わってしまいました。いろいろやってはいるんですけど、いまいちいいところが見つからないですね」と鈴鹿を含めた2回のテストを振り返る大湯。

「鈴鹿(公式合同テスト)から、その傾向がちらほら見えていて。鈴鹿も寒いコンディションでしたけど、それがタイヤから来ているものなのかどうなのか……。セットアップで解決できるのであればやりたいところなのですが、そこがなかなか見つけられていない、というのが現状です」

 昨年末の鈴鹿合同/ルーキーテストで車両をスワップするというトライも経て、チームメイトの山本尚貴が復調への手応えをつかむなか、対照的に悩みのトンネルを進む大湯。2回のテストはいずれも低気温のなか行われたこともあり、この先気温・路温が上がってくれば問題は解消に向かう可能性があることも大湯は示唆しているが、現状ではやや不安を抱えたまま開幕を迎えることになりそうだ。

2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)


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