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投稿日: 2022.04.06 11:55

“2レース制”だけど“一発勝負” 2022年スーパーフォーミュラ開幕戦富士、戦いのポイント

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スーパーフォーミュラ | “2レース制”だけど“一発勝負” 2022年スーパーフォーミュラ開幕戦富士、戦いのポイント

 4月9日に富士スピードウェイで開幕する、2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。今年も“日本最速”を決める戦いがいよいよ始まるわけだが、2022年はレースフォーマットが改められるなど、例年とは異なる部分もある。

 ここでは、3月に富士で行われたテストも参考にしつつ、来る第1・2戦富士のポイントを探ってみたい。

■“いきなり予選”で試される対応力

 まずは、この開幕の週末が土曜日に第1戦、日曜日に第2戦と、ふたつのレースが開催される“1大会2レース制”となることが、ひとつの大きなポイントだ。

 2022年は7大会・10戦で争われるスーパーフォーミュラ。開幕の富士を含め、2レース制となるイベントが3回ある。

 昨年まで2レース制の際は、1レースあたり通常の半分のポイントが与えられていたが、今年はルールが変更され、それぞれのレースで正規のフルポイントが与えられる。つまり予選でポールポジションを獲得すれば3ポイント、決勝で優勝すれば20ポイントとなり、2レース制の週末は1大会で最大46ポイントを獲得できることになる。開幕ラウンドにして年間レース数の1/5を消化する富士の週末は、シーズンの行方をも左右しかねない。

 土曜日と日曜日、それぞれ予選の速さ、そして決勝の攻防が2日間繰り返し見られるのは、ファンとしては嬉しい限りだ。

 だが、戦う側にとっては大量得点が可能な一方で、“大量失点”にも繋がりかねない、緊張感の高い週末となる。実際、「走り出しから調子が良ければ波に乗れるが、調子が悪いと難しい週末になる」と語るドライバーは多い。また、2日間にわたって決勝レースを戦うことで、体力的な負担も大きくなる。

「F3、スーパーフォーミュラ・ライツ時代から、(1大会)2レース、3レースは経験しているので、気持ちの入れ替えとかはできると思いますが、問題はフィジカルですよね」と語るのは宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)だ。

「このクルマ(SF!9)で2レース制はあまりやっていないと思うので、トラブルは出てほしくないな、と。あとはセットアップ含め、(土曜日が終わったら)次の日に向けてどうするかというアジャストが必要なので、それに向けて準備したいなと思います」

3月22〜23日に行われた公式合同テストの様子。1日目午前はウエット、午後は降雪でキャンセルとなり、ドライで走り込めたのは2日目のみだった
3月22〜23日に行われた公式合同テストの様子。1日目午前はウエット、午後は降雪でキャンセルとなり、ドライで走り込めたのは2日目のみだった

 今季の2レース制のタイムスケジュールは、金曜午後に90分間の専有走行が行われ、土曜日と日曜日はそれぞれ午前中に予選、午後に決勝という流れが繰り返される。なお、予選はQ1/Q2の2セッションへと短縮される。

 このスケジュールにおけるポイントは、土日の予選前にセットアップを確認するセッションがなく、その日の初走行がいきなり予選セッションとなる点だ。

 この時期の富士スピードウェイは、朝〜午前中の時間帯と、午後の時間帯では、気温/路温のコンディションが大きく異なることが予想される。

「そこはいかにドライバー自身が、コンディションと自分のクルマを把握するかが重要だと思います」と語るのはKCMGの松田次生監督だ。予選の走り出しのコンディションにどれだけ素早く反応・対応できるか──そこでは、もしかしたら経験のあるベテラン勢が有利かもしれない。

 またチームにとっても、予選向けのセットアップを施し、それが終わればセットダウンを取ってから決勝向けのセットアップと、せわしない1日が2回繰り返されることになり「チームスタッフが一番大変になりそう」(次生監督)と、2レース制の週末はチーム力も試されることとなりそうだ。

 これらのことを考慮すれば、昨年までの富士のレースで上位に食い込んでいる“実績のある”陣営が、開幕での上位を争うことが予想される。事実、3月22〜23日に行われた富士での公式合同テストを5番手タイムで終えた2021年シーズン王者で開幕戦覇者の野尻智紀(TEAM MUGEN)は、課題解決に集中するためニュータイヤでの最終アタックはせず、「開幕でどこまで伸びるか楽しみ」と不気味に爪を隠している。

 だが、それほど単純な勢力図となることはないだろう。ここまでのテストではルーキー2名を擁するTEAM GOHも好調ぶりを見せているほか、3月上旬の鈴鹿テストの結果と合わせてみても、昨年苦しんでいたいくつかの陣営が上位に浮上してきている様子が見てとれる。さらに富士テストでの全体トップタイムは昨年、2レースしか出場が叶わなかったサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が奪っている。上位争いは昨年とは異なる勢力図となり、混戦になることが予想される。

 また、今季はヨコハマが一社供給するリヤタイヤの仕様が、若干変更されている。テストの段階ではこの影響を感じているドライバーも、感じていないドライバーもいたようだが、その影響は「決勝レースのロングランで明らかになる」と見る向きも多く、予選結果のまま決勝レースが進んでいくとは限らない。

 時間の限られた2レース制の週末。とくに富士はこの新フォーマット初のレースとなること、そしてオフの走り込みが充分ではないこともあり、最初のセッションとなる金曜専有走行から、各車の位置関係に注目だ。

 そして土日の予選ではコンディションへの対応力が、午後の決勝ではタイヤマネジメント含めた総合力が露わになるだろう。新シーズン最初のレースウイークは、金曜からのすべてのセッションが目の離せないものとなりそうだ。

■チケット・イベント情報などは富士スピードウェイのホームページへ
https://www.fsw.tv/motorsports/racing/2022sf12/index.html


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