若手起用や、移籍加入も。2022年スーパーフォーミュラ、トラックエンジニア一覧

　4月9〜10日、富士で開幕する全日本スーパーフォーミュラ選手権。日本最速のドライバーを決める熾烈、かつ僅差の争いでは、ドライバーを支えるエンジニアも重要な存在だ。ここでは、2022年の各チームのトラックエンジニア一覧と、昨年から担当・体制を変更したチームなどをまとめてお伝えする。

　まずはドライバーズタイトルを獲得した野尻智紀のチームメイトとして笹原右京が加入したTEAM MUGEN。2台体制となることが決定したのが公式テスト直前となり、「ぎりぎりで大変でした。いまもメカニックが足りない状態、“満額”ではないんです」と田中洋克監督。昨年の野尻車のメカニックも、一部笹原車を担当しているという。

　そんなTEAM MUGENで新たに笹原を担当するのは、小池智彦エンジニアだ。小池氏は昨年、野尻を担当する一瀬俊浩エンジニアを、パフォーマンスエンジニアとして支えていた。

　一瀬氏と小池氏は「すごくいいコンビで、分散させるのはもったいない部分もありました。ただ、小池が育つのはチームにとっていいことですし、情報共有もスムーズにできる」（田中監督）と、ふたりのエンジニアが別々のクルマを担当する体制になったという。

　若手エンジニアを新たに起用したのは、今季福住仁嶺が移籍加入したThreeBond Drago CORSEだ。ベテランの伊与木仁氏に代わり、昨年データエンジニアを務めていた新井凌氏が新たにトラックエンジニアに就く。伊与木氏は引き続きチーフエンジニアという形で新井氏をサポートし、さらにGT、フォーミュラ双方で経験豊富な渡邊信太郎氏がデータエンジニアとしてサポートするという充実の体制だ。

　道上龍監督が説明する。

「いまは1台体制ですけど、将来的に2台体制を採ろうとしたら、もうひとりエンジニアが必要になる。また、このコロナ禍で誰がいつ感染するかも分からない。そこで若い新井エンジニアに、伊与木さんとは異なるアプローチをしてもらうことで、さらにチームとしてもレベルアップできるのではないか、という判断です」

　今季はサインガードには道上監督、伊与木エチーフンジニア、新井トラックエンジニアの3人が立ち、戦略等の判断もしていくことになるという。

　オフのテストから好調なP.MU/CERUMO・INGINGでは、昨年まで阪口晴南を担当した田中耕太郎氏がエンジニアリングを統括する”テクニカルアドバイザー”職に就き、かわって阪口担当トラックエンジニアとして林寛幸氏が加入した。

　林氏は昨年まで、スーパーGTでTGR TEAM WedsSport BANDOHのトラックエンジニアを務めていた。

　チームアドバイザーの石浦宏明は、「今年、GT500で成澤（健二）さんがエンジニアとなり、林さんがデータ（パフォーマンス）エンジニア。フォーミュラではそのポジションが入れ替わる体制になります。これが相乗効果を生むんじゃないか、と。2台の連携は、耕太郎さんに見てもらっています」と説明する。

「林さんは本当にレースがすごい好きで負けず嫌いというか……セルモにはちょっと“新しい風”という感じなのですが、すごくいい効果が出ていると思います」

　ふたりのルーキードライバーを擁して参戦するTEAM GOHでは、スーパーGTでARTAのメンテナンスも請け負うセルブス所属のふたりのエンジニアが、スーパーフォーミュラも担当。GTでは昨年8号車を担当したライアン・ディングル氏が佐藤蓮を、GT300・55号車でトラックエンジニアを務めた岡島慎太郎氏が三宅淳詞を担当する。

　この他、docomo buisiness ROOKIEにはトムスから東條力エンジニアが移籍加入しているほか、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGでは昨年まで福住を担当していた杉崎公俊エンジニアが、今季は牧野任祐を担当。昨年牧野を担当していた吉田則光監督兼エンジニアは、新たに加入した大津弘樹を担当することになった。また、KCMGでは国本雄資の担当エンジニアが変更となり、北井修司氏がエンジニアに就任している。

■2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権　トラックエンジニア一覧