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投稿日: 2022.04.26 12:03
更新日: 2022.04.26 12:11

新素材カウルで“赤虎”“白虎”が鈴鹿を走行。現時点の課題は3つ/次世代車両開発テスト

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スーパーフォーミュラ | 新素材カウルで“赤虎”“白虎”が鈴鹿を走行。現時点の課題は3つ/次世代車両開発テスト

 この先の50年を見据えた次世代車両の開発のため、4月から始まっているスーパーフォーミュラの開発テスト。第3戦明けの4月25日から2日間、三重県の鈴鹿サーキットで第2回目となるテストが行われ、通称“赤虎”“白虎”と呼ばれる2台のSF19テスト車両が、石浦宏明と塚越広大の手により精力的に周回を重ねた。

 前回の富士でのテスト同様、今回もさまざまなテストメニューが用意されていたが、なかでもここ鈴鹿で初投入され注目を集めたのが、麻などの天然由来のバイオコンポジット素材を使用したBcomp社のボディカウルだ。

 ただ、100%この素材を用いるという部分では課題があるとのことで、今回は一部カーボンコンポジットの部分も取り入れたものなど複数パターンを持ち込み、データを収集していた。

 テスト初日、NEXT 50プロジェクトの永井洋治テクニカルアドバイザーは、現時点で懸念するところが3つあるとし、それらを踏まえた検証をしていきたいと語った。

「まずは熱に対してどうかという部分ですが、測温した感じを見ると基本的に問題ないので、そもそものターゲットとズレていないため、いけそうだなという感じです」

「ふたつ目、強度に関しては、絶対強度はカーボンと比べると低いですし、特に端のボディを留めるところが、長く使うと弱さが出てきてしまいます」

「3つ目は水です。樹脂で固めてはいますけど、麻繊維は水を吸いやすいので、隙間とかから水が入る可能性があり、そうなると(ボディが)ふにゃふにゃになってしまいます。その3つが課題に上がっています」

「それに対して今回持ってきたのはフルBcompのものと、3つの課題に対して手を打った“ハイブリッド版”のようなもの。後者はBcomp、リサイクルカーボン、通常のカーボンの3層構造にしてあるものです。これをテストしていきますが、1日目の午後にフルBcompをTCDのクルマ(赤虎号)に装着してテストをします」

■SUGOでは“エンジンの音づくり”も実験へ。音は「V8のよう」

 また前回の富士テスト同様に2台のマシンが接近戦を想定した走行を行い、ダウンフォースレベルの変化を検証することとなった。

 これについて永井氏は「今回もリヤウイングの角度を31度、21度、17度と3段階テストしました。富士と違って鈴鹿はハイダウンフォースサーキットなので、そこで後続車にどういう影響を及ぼすのかを検証するのが目的でした」と説明。実際に富士とは違った発見もあったようだ。

「まずベースとして、『後ろについた瞬間のダウンフォースの落ちしろが大きい』というドライバーからのコメントもありました」

「富士ではリヤウイングを寝かせても、接近戦が増える感じにはならないというコメントがありましたが、今回の鈴鹿では感度が出て、31度から21度にすると、絶対的なダウンフォースは落ちるけど、(後続車への)影響が少なくなるから、より(背後に)つきやすくなりそうだと。その感度が富士とは違うというのが分かったというのが、すごく収穫でした」

「17度はけっこう寝かせている状態なので、確認のためだけで、追走状態のテストはしませんでした。それでも130Rは全開でいけるそうで、絶対的なダウンフォースは、このクルマにはあるということですね」

富士に引き続き、2台連なってダンフォース削減効果を検証する走行も行われた
富士に引き続き、2台連なってダンフォース削減効果を検証する走行も行われた

 この他にも、前回の富士テストに引き続き、カーボンニュートラルフューエルのテストを実施。前回とは異なるメーカーのものを使用したという。また新素材が使われるタイヤのテストも継続して行われ、期間中にはロングランも予定しているという。

 また、次大会以降で用意しているテストメニューについても永井氏から言及があり、6月のスポーツランドSUGOで実施するテストでは“エンジンの音づくり”の実証実験も予定していることが明らかとなった。

「TCDがモノづくりに入っていて、レースで使う使わないは別として実証実験としてやりたいなと思っています。テストベンチではすでに回っていて、音を聞かせてもらったんですけど、V8のような音に聞こえます。実際に走るところが、すごく楽しみです」

 次回は、第4戦の舞台となるオートポリスで5月18〜19日の2日間、開発テストが行われる。

トヨタエンジン搭載車両のステアリングを握った石浦宏明
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ホンダエンジン搭載車両のステアリングを握った塚越広大
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