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投稿日: 2022.05.25 14:02

横浜ゴム 2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート

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スーパーフォーミュラ | 横浜ゴム 2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート

【全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦/オートポリス】
抜群のスタートダッシュと力強い走りで、平川亮選手が8番スタートから大逆転の今季2勝目をゲット!!

 2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦がオートポリスで開催。昨年の同大会は悪天候によりレースが途中で終了となってしまったが、今シーズンは絶好のレース日和の中で42周にわたる戦いが繰り広げられ、予選8位の平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)が大逆転で今季2勝目を飾った。

 年1回、阿蘇山中腹に位置するオートポリスで行われるスーパーフォーミュラは、毎年九州・西日本地方のモータースポーツファンが多く詰めかけにぎわう大会だ。今年は2輪レースと併催の「2&4イベント」として開催された。スーパーフォーミュラでは、ここまでの3戦で昨年王者の野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が第2戦での勝利を含む3戦連続表彰台獲得でシリーズランキングをリード。開幕戦を制した平川選手が16ポイント差で追いかけている状況だ。

 公式予選日の5月21日(土)、午前中は時折小雨がぱらつきフリー走行ではWET宣言が出されたが、午後の公式予選では路面も完全に乾き、ドライコンディションで最速を争う戦いが展開された。2組に分けられて行われたQ1は、牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と野尻選手がそれぞれトップ通過を果たしたが、実際のタイムは牧野選手のほうが約0.3秒速く、今回のポールシッター候補筆頭に。しかし、Q2ではそれまで雲に覆われていた太陽が顔を出し、ところどころで強い日差しが照り付けるようになる。この影響でコンディションが変化してしまったのか、牧野選手のタイムはQ1での自己ベストにも届かない。一方の野尻選手は自己ベストを0.2秒削り、堂々のポールポジションを獲得。第2戦富士大会から3戦連続でのポールポジション獲得という快挙を成し遂げた。フロントローには宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が着け、牧野選手は3番手となった。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

 一夜明けた決勝日の22日(日)は朝から好天で、スーパーフォーミュラの決勝レースが始まるころには気温は24度、路面温度は44度にまで上昇した。今シーズンの最高温度を記録し、いよいよ42周の決勝レースが始まった。スタートダッシュを決めたのは野尻選手で、宮田選手はやや出遅れ牧野選手にかわされてしまう。そして8番グリッドからスタートした平川選手は6番手で1コーナーを通過。さらに2コーナーで1台に襲い掛かると、日立アステモコーナーまでで4番手までポジションアップに成功する。そして第1ヘアピンコーナーで、オーバーテイクシステム(OTS)を点滅させながら宮田選手のインに飛び込みオープニングラップで3番手に浮上した。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 決勝スタート
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 決勝スタート

 と、ここでレースはセーフティカー(SC)が導入される。集団で飛び込んで行った3コーナーで、アウト側からのポジションアップを狙った大湯都史樹選手がダスティな路面に足元をすくわれコースオフ。クラッシュを喫してしまったのだ。オープニングラップを終えての順位は、野尻選手を先頭に牧野選手、平川選手、宮田選手、笹原右京選手(TEAM MUGEN)、サッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)というトップ6。車両の回収はすぐに終わり、4周目からレースが再開した。

 リ・スタート直後の接近戦を狙っていた平川選手は、最終コーナーまでに牧野選手のテールに近づくと、5周目に入ったホームストレートでロックオン。OTSを使い一気に1コーナーで牧野選手を抜き去ると、これで2番手に浮上した。するとその直後、14番手を走行していた小林可夢偉選手(KCMG)が2コーナーで突如クラッシュ。後ろからオーバーテイクを試みた坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)が追突してしまい、タイヤにダメージを負ってしまったのだ。サイドウォールにヒットした小林選手のマシンは反動でコース上に戻ってきてストップ。これでレースは、2度目のSCランとなった。この車両回収には少し時間がかかり、2度目のリ・スタートは10周目に入るところで切られた。

 先頭の野尻選手がこの周回を終えると、タイヤ交換のためのピットウィンドウがオープンになる。まずは3番手を走行する牧野選手と、その後方で宮田選手と4番手争いを展開していた笹原選手がピットイン。牧野選手は暫定14番手でコースに復帰する。この時点で先頭に残った野尻選手と牧野選手との差は30秒以上。アンダーカットを狙って真っ先にピットインした牧野選手は、このギャップを削るべくもうプッシュし、12周目には暫定のファステストラップとなる1分29秒975をマークする。しかし野尻選手のペースも落ちることなく、結局35秒のギャップとなった15周終了時点で野尻選手はピットイン。メカニックたちの作業も素早く、野尻選手は牧野選手の先行を許さず、実質の先頭を守った状態でコースに復帰した。

 これで見た目上のトップに立った平川選手。先ほどの野尻選手対牧野選手の戦い同様、「見えないギャップ」を作る戦いがスタートした。平川選手は1分30秒台のタイムを連発し安定したペースで周回。一方の野尻選手は1分30秒台後半から1分31秒台のタイム。16周目には31秒だった両者のギャップは、18周目には33秒近くにまで開いていく。ちょうどこの周は、平川選手の後方を走っていた宮田選手がピットインした周で、宮田選手は野尻選手の真横に並びかけるようにコース復帰。すでにタイヤが温まっている野尻選手は宮田選手をいったんは突き放していくが、宮田選手も食らいついていき接近戦に。その争いの間に、20周を終えたところで平川選手がピットに入り、野尻選手の前でコースに復帰した。アウトラップの1周、野尻選手を抑えきった平川選手はそのままペースアップ。後続を突き放していった。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

 レースの折り返し地点を過ぎ、タイヤ交換を済ませていないのは暫定トップ3となるフェネストラズ選手、三宅淳嗣選手(TEAM GOH)、佐藤蓮選手(TEAM GOH)の3名。このうちフェネストラズ選手と三宅選手は野尻選手とのギャップを30秒以上に広げており、タイヤ交換を終えて表彰台圏内にとどまる可能性が大きくなっていた。まずは28周終了時点でフェネストラズ選手がピットイン。左フロントタイヤを外すのに少し時間がかかってしまったが、野尻選手の前でコース復帰に成功する。そして32周を終えて三宅選手がピットへ。こちらも野尻選手よりも前でコースに戻り、野尻選手は表彰台圏内からドロップしてしまうことになった。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 三宅淳詞(TEAM GOH)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 三宅淳詞(TEAM GOH)

 これで全車がタイヤ交換を済ませ、平川選手が名実ともにトップに躍り出る。2番手のフェネストラズ選手とは4秒以上の差を広げ、残り10周はその差をコントロールするように周回。42周を走り切り、今季2度目のトップチェッカーを受けた。フェネストラズ選手は、開幕戦の3位表彰台を上回り自己最高位を記録。最後にタイヤを交換した三宅選手は、35周目にファステストラップとなる1分28秒747をたたき出してフェネストラズ選手に迫るも逆転はならず。それでも自身初となるスーパーフォーミュラ表彰台を獲得した。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮と星野一義監督(carenex TEAM IMPUL)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮と星野一義監督(carenex TEAM IMPUL)
第4戦オートポリス 表彰式 平川亮(carenex TEAM IMPUL)を讃えるサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 表彰式 平川亮(carenex TEAM IMPUL)を讃えるサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)

■平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)
【今回の成績:優勝】

「今日は予想していたよりも結果が良く、自分自身でも驚いています。一番の要因はいいスタートが切れたことです。野尻選手のピットイン後のペースが良くなかったので、僕自身は自分のタイヤのパフォーマンスを使い切るところまで、少しタイミングを引っ張りました。ピット作業もうまく決まり、チームワークでできた優勝だと感じています。まだ予選に対する課題は残っているので、次のSUGOは予選での調子を取り戻し、また優勝を狙っていきます」

■金子武士(横浜ゴムタイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発2グループ・グループリーダー)
「オートポリスでの大会は、過去には雨のレースや、コロナ禍でスケジュールが変わり涼しい時期の開催だったりしたので、今回のような暑い環境でのレース経験がありません。さらに今大会は2輪レースとの併催で、路面状況が時々刻々と変わっていました」

「タイヤにとっては、マシンのセッティングが決まらなければ厳しいレースだったでしょう。ゴムの付きが多く、それによってグリップが落ちるという意見も出ました。ワンメイクタイヤは、どんな時期、どんなサーキットにでも対応できるタイヤを用意することが重要なので、今回のような条件に合わせたタイヤにしていくというのは難しいですが、今後に向けた課題の一つだととらえています」

「ここまで4戦を終え、各チームやドライバーの皆さんも今季のタイヤに対する理解を進めていただいていると思います。次戦のスポーツランドSUGOはテクニカルなセクションや最終コーナーが特徴です。魔物が棲むと言われアクシデントも多く、セットアップを進めるのも大変かもしれませんが、それぞれが素晴らしい走りを披露してレースを盛り上げてくれることを期待しています」

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス ヨコハマタイヤのトレーラー
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス ヨコハマタイヤのトレーラー

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