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投稿日: 2022.07.20 12:08
更新日: 2022.07.20 12:37

排気音試験は「再来年や、その次の将来」に向けたもの。“待望の雨”にも収穫/SF次世代車両テスト第5回

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スーパーフォーミュラ | 排気音試験は「再来年や、その次の将来」に向けたもの。“待望の雨”にも収穫/SF次世代車両テスト第5回

 7月18〜19日、静岡県の富士スピードウェイにおいて、JRP(日本レースプロモーション)は、第5回となるカーボンニュートラル開発テスト(次世代車両開発テスト)を実施した。ホンダエンジン搭載の“白寅”、トヨタエンジン搭載の“赤寅”の2台のSF19開発車両が、それぞれ塚越広大と石浦宏明の手によってドライブされ、さまざまなテスト項目を評価した。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権をプロモートするJRPは、『SUPER FORMULA NEXT 50(ゴー)』を掲げ、この先の50年もモータースポーツが持続可能であるよう、さまざまな取り組みを行なっている。

 この次世代車両開発テストでは、『カーボンニュートラルの実現に向けた素材・タイヤ・燃料に関する実験』『ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクス(空力)の改善』『エンターテインメントの魅力向上に繋がる車両開発』という3つのテーマで、技術開発を進めていくとしている。

 春の開幕ラウンド前に続いて2回目の富士での実施となった今回は、テスト初日には既報のとおり、ホンダエンジン搭載の白寅号にて、排気音テストが実施された。また、今まで以上に少ないダウンフォース量での追従テストや、これまでテストしたデータをもとに更に改善された構造とコンパウンドのタイヤが持ち込まれ、精力的にテスト走行が行われた。

 2日目は午前のセッション開始直後から雨天に。土屋武士アンバサダーを中心に、各担当者と随時相談しながら、刻々と変化するコンディションに合わせたメニューを検討し、安全にテストは進行。一連のカーボンニュートラル開発テストを通じて初めてのウエットコンディションとなったため、ウエットタイヤのデータ取得や、麻素材が採用されているBcomp社のカウルの耐水性の確認など、有意義なテストが行われた。

排気音テストを行ったホンダエンジン搭載の“白寅”号
排気音テストを行ったホンダエンジン搭載の“白寅”号
新素材を使ったウエットタイヤでのテストも実施された
新素材を使ったウエットタイヤでのテストも実施された

 次回テストは、第9戦・10戦が開催される鈴鹿サーキットにて、10月26〜27日に実施される。なお、モビリティリゾートもてぎでの開発テストについては、当初計画の8月から日程を変更し、11月21〜22日に行うという。

 ふたりの開発ドライバー、およびテクニカル・アドバイザーを務める永井洋治氏のテスト後のコメントは、以下のとおり。

■石浦宏明

「今回のテストの特徴は、初めて同一サーキットで2回目ということでした。その中で、同じ空力のテストをするにしても、季節が違うことで空気密度なども違います。この開発テストは、最初からダウンフォース量を減らす方向でやって来ていますが、夏場は走れる下限(のダウンフォース量)も変化してきました。それをしっかり見ることができて良かったです」

「また、ダウンフォースを減らすと、タイヤへの負荷も変わってきますので、どういう方向のタイヤが良いのか、使いこなせるかというのを見ることもできました。初日のドライのテスト後に、ケーシング(構造部分)やコンパウンドの面からロングランで試してみたいことがあったのですが、翌日がウエットになり、ロングができなかったのは少し残念でした」

「ただ一方で、ウエットタイヤをテストする機会がこれまでなかったので、そのチャンスが来たのは良かったです。テストした中でも良さそうなものがありましたし、今後もなるべく多くの情報を得られるよう評価したいです」

富士での第5回テスト、トヨタエンジン搭載車はトムスがオペレーションを担当
富士での第5回テスト、トヨタエンジン搭載車はトムスがオペレーションを担当

■塚越広大

「富士のローダウンフォースで、しかも雨で走行できたのも大きかったと思います。順調にテストが進んで行っていますね。これまでずっとドライでテストしてきて、ある程度固まったところで、ウエットテストができたので、流れとしては素晴らしいです」

「ウエットテストでは、ウィングを23度にして走りましたが、それでも実際のレースウイークよりはレスダウンフォースなので、雨量が多いと少しハイドロが起きやすい感触はありました。それは今回走ってみて分かった課題です」

「また今回の目玉は排気音のテストでした。最初の持ち込みの物は、今までの音を綺麗にしたようなイメージで、若干静かでしたが、初日の午後からテストした物は、今までのエンジン音の中に、甲高い音があるような感じで、乗っていても変化を感じました。皆さんの話を聞くと、乗っているよりも聞いている方が変化は大きいようでした」

ホンダエンジン搭載車両はTEAM GOHがオペレーションを担当。佐藤蓮、三宅淳詞もテストを見守った
ホンダエンジン搭載車両はTEAM GOHがオペレーションを担当。佐藤蓮、三宅淳詞もテストを見守った

■永井洋治テクニカルアドバイザー

「今回、まずタイヤテストを行い、ドライの方はほぼ仕様が決まりました。今後に向けて、量産を考えた作り方をしたタイヤをしっかり評価できたというのがドライの成果でした」

「また、これまで1回もできていなかったウェットテストが、今回やっとできたというのも、ものすごく大きな収穫です。ウエットタイヤだけでなくBcompのカウルも雨の中でテストすることができ、水が進入する部分に対する対策がきちんと機能しているということも確認できました」

「今回は、HRCで音のテストもしましたが、これは来年からというよりも、再来年とか、その次の将来のことを考えて行なっています。自分たちのモータースポーツの中で、選択の幅を広げるという意味で、ものすごく価値のあるテストでした。まだまだ良くなる技術的なヒントがあるので、これはこれでものすごく評価できるテストでした」

報道陣に公開された、ホンダエンジン搭載、通称“白寅号”のエンジンルーム
報道陣に公開された、ホンダエンジン搭載、通称“白寅号”のエンジンルーム


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