全日本スーパーフォーミュラ選手権は8月21日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで第8戦の予選・決勝が行われた。前日第7戦決勝の雨から一転、終日ドライコンディションとなったうえ、午後の決勝では気温も上昇。夏らしい暑さのなかで、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が3年ぶりの優勝を遂げた。
決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、第8戦予選・決勝に挑んだドライバーたちの声をお届けする。
■山下健太(KONDO RACING)予選4番手/決勝規定周回数不足
セカンドロウ4番グリッドからスタートを迎えた山下。スタートも決めて4番手のままチームメイトのサッシャ・フェネストラズを追う展開だったが、11周目にマシンをガレージに収めてしまう。
「シフトができなくなって、ギヤを変えられなくなってしまったのでピットに戻りました」と山下。具体的にはシフトのエアーコンプレッサーが壊れたと説明する。
「(ピットインの)2周前くらいから警告アラームが出てたいたので、いろいろと対処したのですけど……コックピット内でできることはなく」
なお、部品交換を経て山下はコースへ復帰。その後はトラブルもなく走行を続けた。なお、チェッカーは受けたが周回数は29周となり、規定周回数の33周に届かず完走扱いとはならなかった。
「ロングランのペースやバランスも見ておきたかったので、コースに復帰したという感じです」と山下。久々の優勝に向けて、大きなチャンスだった第8戦だが、「正直、優勝は厳しかったかなとは思います」と振り返った。
「でも、いいレースはできたかなという手応えはあったので残念ですね」
■佐藤蓮(TEAM GOH)予選10番手/決勝7位
10番グリッドから、ピットストップを遅らせる作戦を敢行し、終始好ペースを見せた佐藤は今季4度目の入賞となる7位でフィニッシュを迎え、「スタートで順位も上げられましたし、レースペースも良かったです。レース全体としてはすごく良かったかなと思います」と振り返る。
ただ、満足だけではなく、「このペースを考えると、予選でももう少し前に行けたのかなというのがあるので、改善点だと思います」と自身の反省点を分析する。
また、ピットストップの際には左フロントタイヤの交換でタイムロス。「左フロントの交換で少し遅れてしまったみたいです。ただ、僕も前半スティントで、もう少しいいペースで走ることができれば、もっと上位のクルマとのギャップは詰まってたと思うので、チームとしてもドライバーとしても、今後に向けていろいろと見直す必要があると思いました」
「次は最終戦ですので、さまざまなものを見直して、予選からしっかりとパフォーマンス発揮できるように頑張っていきたいと思います」
■小林可夢偉(KCMG)予選12番手/決勝17位
オープニングラップで、福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)との接触があった可夢偉。
「スタートで1コーナー入った際、イン側から佐藤選手、アウト側から福住選手が来ました。続く2コーナーで佐藤選手がイン側から入って寄ってきて、僕も押される感じになり、行き場がなくなって、少しポンと当たって。僕はフロントウィングが壊れました」と接触の瞬間を説明する。
フロントウイングを破損した可夢偉はそのまま走行を続けたが、11周目にルーティンのピットストップを終えたあと、13周目に2度目のピットストップを敢行。ここでフロントウイング交換を行うこととなった。「無線の調子悪くて。ルーティンのピットストップの際には交換してもらえなかったんです」と説明する。
「フロントウイングを交換したら調子はよくなったので、もったいないレースだったなと思います。ただ、ここ数年ずっとレースペースが悪かったのですけど、今回のレースペースはここ数年で一番良かったので。そういう意味では、いい兆しは見えてきたのかなと思いますね」
■笹原右京(TEAM MUGEN)予選21番手/決勝8位
第7戦を終えた20日のミックスゾーンでは「ポールポジションしか見ていない」と話し、マシンへの手応えと自信を見せていた笹原。しかし、続く第8戦予選ではQ1でトラブルが襲った。
「インラップだったのですけど、ヘアピンに差し掛かるところでスロットルが物理的にスタックして戻らなくなりました。ただ、たまたまヘアピン直前で気付けたので、ギリギリグラベルの上で止まることができたという状況です」
「スロットルは全開だったので、かなり危険な場面だったと思います。瞬時にブレーキを踏み、クラッチを切ったりしたのですけど、それでもスロットルは前回のままでレブが当たるほどの状態でした」と笹原は振り返る。
さらに、決勝直前の8分間のウォームアップでドライブシャフトが折れてしまい、あわやピットスタートとなるところだったと明かした。
「でも、チームが懸命に修復してくれたのでなんとかグリッドにはつくことができました。あの修復劇があるのとないのとでは今日の結果は相当違ったと思います。チームに感謝ですね」
予選、ウォームアップと車両トラブルが相次いだ笹原だが、決勝では2番グリッドから8位までポジションを上げ、入賞を果たした。
「起きたことを取り戻せるのはコース上だけなので。今日はまさか8位に入れるとは思っていませんでしたけど、僕が一番オーバーテイクできたと思うので、よく頑張ったかなと、今日は自分自身にそう言える日かなと思います」