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投稿日: 2022.10.28 17:18

スーパーフォーミュラ新エアロは「最終形ではない」とJRP上野社長。導入時期などは12月に発表へ

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スーパーフォーミュラ | スーパーフォーミュラ新エアロは「最終形ではない」とJRP上野社長。導入時期などは12月に発表へ

 日本レースプロモーション(JRP)は10月28日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第9・10戦の週末を前に三重県の鈴鹿サーキットで定例会見を開き、今季続けてきた次世代車両開発の総括や、今後に向けた動きを報告した。

■接近戦実現で「バトルできる場所が変わる」

 今季レース開催前後のサーキットで、2台のSF19開発車両により行われてきた次世代車両の開発テストでは、『エンターテインメント性の向上』と『カーボンニュートラルへの対応』という二つの指針のもと、『空力』『素材』『タイヤ』『燃料』『音(排気音)』といった項目において、精力的な試験・走行が重ねられてきた。

 10月26〜27日に鈴鹿で行われた開発テストでは、そのひとつの成果である新たな空力パッケージをまとった車両が走行を開始。現行のダラーラSF19とモノコックは共通ながら、前後ウイング、アンダーフロア、サイドポンツーンなどが大きく変更された新空力パッケージでは、接近戦と『速い者が抜ける』ことを目的に後方乱気流の低減が目指されていたが、2日間の走行を終えた石浦宏明、塚越広大のふたりの開発ドライバーは「想像以上に近づける」と好感触を口にしていた。

 会見に登壇したふたりの開発ドライバーは、テスト走行での驚きを語るとともに、改めて“接近戦”実現に向けた成果を強調した。

「今回はたとえば車高を変えてどれだけ感度があるかとか、そのダウンフォースのデータを取るなど基本的なこともやりましたし、空力の特性が若干変わっているので、そこにメカニカル側が合わせ込める範囲にあるのか、といった基本的なところを評価しながら、一番大事な追走テストをやらせてもらいました。言い方は悪いかもしれないですが、思ったよりも近づけました」と石浦。

 ここで公式SNSにも投稿された、S字区間をかなり接近した状態で走る2台の映像が、会見場のモニターに放映された。

 塚越も「想像以上にすごく改善されていて、結構近くを走っていても、自分が乱れることは少なかったですし、S字だけでなく他のコーナーでも結構接近して走ることができました」と語り、さらに具体的な数字を交えて改善具合を説明した。

「スプーンカーブを立ち上がったところで言うと、SF19だと(前車から)1台半くらいの間合いが、自分に影響のないちょうどいい距離でしたけど、(今回の新空力パッケージでは)おそらく1台か、もう少し近いくらいの距離で立ち上がることができ、そのあとスリップにも早めに入ることができたので、そのままオーバーテイクシステム(OTS)を使わずに(日立Astemo)シケインで勝負できるような間合いに入ることができました」

「(ウイングを寝かせた)SF19でのテストの際は、そういったシーンはあまりなかったので、そういった意味でも速い人がちゃんと抜けるというシーンが増える期待は、結構あると思います」

鈴鹿で2日間のテストを行ったスーパーフォーミュラの開発車両
鈴鹿で2日間のテストを行ったスーパーフォーミュラの開発車両

 この映像内では前を走っていた石浦も、「もう、ミラーのなかで、だいぶ近いですよ(笑)」と以前との違いを説明する。

「すごい速いペースで前のクルマに追いついたとしても、(いままでは)S字では一定の距離を保たないと自分がふらふらで飛んでいっちゃいそうになる。勝負どころをシケインとすると、スプーンで近づきすぎても良くないので、ちょっと距離をとって、OTSを使ったりして130Rで一番近づいてから勝負、というイメージがあると思うんです」

「でも(新パッケージでは、スプーンの)立ち上がりの時点でミラーを見たら『結構、近いな』と思いましたし、そこからどんどんスリップが効いて130RまでにOTSなしで並ばれそうになりました。いままではシケインしか勝負のポイントがなかったのが、130Rでもバトルができてしまうんです」

「S字についても、いまはそこで距離をとって、デグナーでも距離とって、ヘアピンくらいから距離を詰めていって(コース)後半で勝負! と考えていることが多いのですが、前半で近づくことができればヘアピンで刺しに行くとか、いままでとちょっと違った場所がバトルのポイントになる可能性も出てくるなと思います」

スーパーフォーミュラの開発ドライバーを務める石浦宏明と塚越広大
スーパーフォーミュラの開発ドライバーを務める石浦宏明と塚越広大

■次のページへ:「課題はたくさんある」とJRP上野社長。費用負担は「協議中」


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